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狭い世界の外側と俺たち〜むつ〜
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奈々「…それでねそれでね、むつ君自分より大きい人をポーンと軽々投げて、もう一人の長身男をバーンとやっつけちゃって。超カッコ良かったんですぅ!!」
真美「へー、そうなんだ」
舞子「むつ君、中学でも1番強かったもんねぇ。でもナンパ男から女の子を守るなんて、いつもなら修二君がやるのに、むつ君男前になったんだねぇー」
どうしてこんなことになってるんだ?…。
断ったはずなのに、何故か今…
舞子と真美と華南、
奈々とオレと吉良さん、
の順で座って夕ご飯を食べに来ていた。
奈々「むつ君本当にありがとう!」
奈々が興奮して俺の腕に抱きついてきた。
うわっ!胸!胸当たってる!
副店長の爆乳に比べたら小さいけど、ムニュッっと柔らかい感触にドキッとした。
腕に抱きつかれて、夕方の修二とシたのを思い出したが、男同士は柔らかいところが無い。だからこの抱きついてるのが女の子だって感触で分かるけど、なんだか女の子は柔らかくてなんだか気持ちいい。
真美「やだぁ、むつ君赤くなってるぅ」
むつ「ちげぇよ、こいつが胸押し付けてくるから!」
奈々「!、ごごごゴメンね!」
奈々が慌てて体を離した。俺の指摘に吉良さんが笑を堪えてそっぽを向き、舞子が冷たい眼差しを向けてくる。
舞子「むつ君そういうとこは変わんないんだねぇー、デリカシーな〜い」
何故こんなことになってるかというと、奈々が勝手に約束を進めていたらしい。
舞子が彼女じゃないって誤解は解けたが…まだまだ面倒そうだ。
こんなとこ修二の耳に入ったらどうなるよ!今度こそ修羅場?
って、修二は嫉妬しないんだった…。俺が女といてもなんとも思わないのかな?
場の空気が微妙になったので、俺はトイレに立った。
俺は昔から言いたいことを言う。だから、女にモテたことは無い。
舞子「むつ君」
トイレから出たら、舞子がいた。
舞子「むつ君彼女できたんだね、もしかして、例の初めての相手?」
むつ「ああ、そうだよ」
舞子「お酒の勢いでヤっちゃった子だったよね?」
媚薬もられて男の修二とシた、とは説明できず、酔った勢いって事にしてあった。
舞子「その後どうなの?どんな子?むつ君短気なのに喧嘩とかしないの?」
むつ「ラブラブだぜ、奈々が言ってたろ?あいつは、喧嘩っていうか、言い合うくらいはするけど、直ぐ向こうが折れちまうし、優しいけど素直じゃないし、可愛いけど全然甘えてくんないし、強がるし目が離せない」
そう、全然思いどうりにならない。さっきだって〝我慢できなくて会いにきた〟なんて可愛いとこあるくせに、それを悪いことだと思ってやがる。
可愛いのに、ちっとも可愛くあろうとしない。もっとグズグズになっちまえばいいのに。
そんな俺を舞子はニヤニヤして見ていた。
舞子「ふーん、そうなんだぁ」
むつ「な、何だよ」
舞子「ん?ベタ惚れなんだなーって」
からかうように言った舞子に、むつは、真顔で即答する。
むつ「好きだから付き合ってんだし」
舞子「えっ、あはは。むつ君って想像してたのと違うな、なんか勿体無いことしたかな」
むつ「嘘つけよ」
舞子「だって、そんな一途ぽく見えなかったんだもん」
むつ「は?俺ってそんな風に見られてた?」
舞子「うん、釣った魚に餌やりそうに無い」
俺って不誠実に見える?
そりゃ、空気読めないし、短気だし、直ぐ怒鳴るけど。俺の憧れの恋愛は、ラブラブでベタベタして、少女漫画にあるめっちゃ甘い展開を目指していた。
黒髪ストレートの勉強できる子と初めてのどうし、優しく、いつまでもラブラブで居るのが理想だった。
実際は欲望のままガツガツして、修二を泣かして…
その後もヤってばっかで、女に置き換えたら、ぜってぇー振られてるよな…。
修二には申し訳ないことをした。
今はちゃんとしたい。だが、餌はやりたいが、魚が口を開けない場合はどうしたらいい?
吉良「2人っきりで何してんの?」
舞子「ちょっと昔話ししてましたぁ」
吉良「睦美、男子校から一時解放されて目移りしてるのか?」
俺たちの様子を見に来た吉良さんが、眉を寄せて言った一言に、ふと、修二の怯えを垣間見た気がした。
俺、今はすっかり華南と修二一色で、女の子と接する機会も無く、もう女に何にも感じないかと思ってた。
実際、舞子と再会して、特に特別な感情は湧かなかった。
でも、可愛いとは思う、柔らかい感触はやっぱりいいとは思う…。
修二や吉良さんが言ってた。
高校を卒業したら…。
それって、こうゆう女が普通にいる生活のこと…か。
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その日は少し、風呂に浸かりすぎて、共同スペースの縁側のソファーで、1人涼んでいた。
吉良「コーヒー牛乳、飲む?」
吉良さんが、風呂上がりの濡れた髪にTシャツに短パンで現れた。
むつ「あ、ありがとうございまっス」
冷えたコーヒー牛乳を喉に流し込むと、火照った体がスッキリする。
むつ「あ〜、うまっ」
吉良「睦美は…、やっぱり、女の子の方がいい?」
むつ「はぁ!?」
吉良さんの突然の台詞に、驚きすぎて危うくコーヒー牛乳を零すところだった。
むつ「何言ってんすか!?俺、2人とラブラブだし!!」
吉良「…昼間揉めてなかった?」
揉めたというか、あれは色々な要素が重なりすぎたというか…
むつ「あれは、マキが勝手に引っ掻き回して楽しんでただけで。修二は全然嫉妬なんかしてくんないし、揉めてないっスよ、その後ラブラブしたし」
そう、別に揉めてない。修二は結局嫉妬しなかったし、俺と華南が無駄に慌てただけ…。
吉良「トイレの前で、舞子ちゃんと話し込んでたみたいだけど」
むつ「変な誤解はしないで下さいよ、アレは、俺が釣った魚に餌をやらなく見えるって言われて…」
吉良「…餌…、ああ。むつは、釣った魚を食べてばっかだよね」
むつ「うわー、痛いところ突かないで下さいよぉ」
ケラケラ笑った吉良さんは、笑ったけど、少し真面目な顔をした。
吉良「修二や華南より、女の子のほうがいいとか思わないの?」
むつ「は?何それ、思わないっス。俺が好きなのは修二と華南だし」
俺がキッパリ言うと、吉良さんは驚いて、そして笑った。
吉良「あはは、やっぱソコはブレ無いんだ」
むつ「ブレないっスよ、そもそもソコがブルたらお終いじゃないっスか」
吉良「…」
むつ「好きだって思うから、一緒に居たいし、好きだから手を繋いで、セックスだってしたいし…、好きだから付き合うんだし」
吉良「シンプルだね…。でも、男だよ?」
むつ「はぁ?そんなもん好きだって認めちまったらどうでもいい事じゃないっすか?。俺、修二と華南を〝ちゃんと〟好きだもん。男だとか、そんなもん、もうちゃんと分かってっし。迷うなんて男じゃないね、俺のポリシーに反する」
吉良さんは、俺の言葉に目を見開く、そして何かに思いを馳せて、そして、目を細めた。
今まで見たことのない、真剣な瞳は、何処か遠くを見ている。
むつ「っていうか、俺らの場合、悩むのは修二がやるからいいかなって」
吉良「…」
むつ「俺は、気持ちに嘘付く嫌いだから、こうゆう風にしか生きらんないし、修二はキッチリ周りを見て悩んで判断して、俺たちを導いたり守ったりしてくれっし、華南は何気に色々知ってし、色々バランスとれるやつだし、頼りになるし、何か、3人で丁度いいし、付き合ったのは最近だけど、俺たちのバランスの元は、もう5年ものだし」
そう、恋愛としては初心者に近いけど、お互いのことはよく知ってる、知った上で、付き合ってる。
むつ「だから、高校を卒業して、女が間に挟まったところで、そっちの方がいいとかなんないと思うんスよ。女が挟まったくらいで心変わりするなら、たとえ気持ちが本物だったとしても〝覚悟〟が足らないんじゃねぇかな?」
吉良「睦美はまだ、外の世界を知らない」
むつ「…知らないけど…、好きな気持ちってそんな簡単に消えちまうかな?」
吉良「…」
むつ「俺、修二を見てるから…、あいつの一途な気持ち見たから、あんな真っ直ぐな気持ち知って、他とか考えらんない…。ってか、そもそも、今、スッゲー好きな奴いるのに、将来は別の人を好きになるとか普通考える?」
吉良「…無い…な」
むつ「でしょ?男だからとか、偏見とか差別とか、俺にはまだ経験ないから分かんねぇけど、俺、負けんの嫌いだし、好きな相手となら戦って行く〝覚悟〟はしたよ」
修二がずっと言ってた。
〝男と恋愛する意味〟
俺は俺なりにちゃんと考えた。
吉良「覚悟…か…」
吉良さんが言葉を噛み締めるように呟く。
吉良「なるほど…ふふ、覚悟かぁ…」
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