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俺たちを壊す媚薬〜修二〜4
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8月10日19時43分
【海の家sid】
『プルルル、プルルル、プルルル、プルルル』
むつは、携帯のコール音に苛立っていた。
夕方、修二が《今日は行けない》ってメールをよこしてから連絡が取れない。
電話に出ないし、メールの返事もない。
華南「また修二出ねぇの?」
むつ「チッ、何だよ!バイト長引いても、今日来るくらい出来んだろうが…」
華南「…奏一さんに聞いてみようか?」
むつ「…もう一回かけてダメだったら」
むつはリダイヤルで、もう一度修二の携帯を鳴らした。
やはり耳に聞こえるのはコール音だけ。待っても待っても電子音が響くばかり。諦めようとしたその時。
プッとコール音が切れ、受話器の向こうで修二ではない男の声がした
『はい』
むつ「!?、誰だ!?」
嫌な予感に緊迫した空気が張り詰め。
むつの隣では、華南が拳を握りしめた。
『むつ、俺だよ、奏一』
数日ぶりに聞いた奏一の声は、重たく普段と違う空気が漂っていた。
むつ「奏一さん?」
奏一『悪い、修二は寝てるんだ。体調崩してるから、悪いけど寝かせといてくれる?』
むつ「えっ?具合悪いの?大丈夫ですか?」
奏一『ああ、寝てれば平気、夏バテかな?』
むつ「バイトで何があったんですか?」
奏一『え?……ああ、たいしたことない、悪いけど、俺、仕事残ってるから…』
むつ「えっ、あっ、奏一さ…」
ープッ、ツーツー。
冷たく切られ、むつは何だが胸の辺りがモヤッとした。
華南が隣で訝しみ、考え込むむつ顔を覗く。
華南「何て?…」
むつ「修二が夏バテだって…」
華南「えっ…マジ?…」
むつ「修二のやつ、なにやってんだよ…」
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8月10日19時43分同上時刻。
【修二sid】
肌寒い…。
いくら夏だって言っても、夜にコンクリートの床の上で、全裸で放置はお腹が冷える。
まぁ、お腹が冷えても困らないんだけど…。
なんせ、ここはトイレ。
僕ちゃんは、事務所っぽい創り二階建ての、一階の廊下に面したトイレ、ドアノブの内側に繋がれ拘束されている。ドアを開けると便座が横向きに見えるタイプのやつ。
両手を後ろ手に結ばれ、足は一束にされて、口にはガムテープ。
監禁される時って、トイレとか犯人に頼み込まなきゃ連れてってもらえなくて、まぁそれを突破口にして逃げるとかあるじゃない?
すでにその望みが潰されてるわけ…最悪。
でもまぁ、1番最悪なのは、トイレに連れてってもらえず、その場でしろって言われた時だよねー。そう考えると僕ちゃんってトイレ使いたい放題♪(ドア閉めれば便座にギリギリ届く)
ッてぇ!誰が喜ぶか!
マジ勘弁してよ!!人生でトイレに繋がれたの二回目なんだけど!!そんな経験普通しないよ!!
こんな時、日本には不吉なことわざがあるのを思い出す。『二度ある事は三度ある』。
フラグ?ねぇ、フラグなの?だったら前回は半裸で今回は全裸。次は一体どんな格好なのかなー。いらないフラグを立てないでくれ!
赤薙「はぁアあ!?小日向奏一!?」
あっ、ヤバイ…、僕の身元がバレたっぽい。
突き当たりの部屋で、赤薙の青ざめた声が響き渡った。
先ほど、仲間の一人がボロボロの状態でここに入って来た。そいつは、僕ちゃんが逃げようとして股間に膝蹴り入れた男。
この建物にいるのは、赤薙と、運転してた村黄、そしてさっき入ってきた男、青田。
青田「はい、あいつは小日向修二。元朱雀特攻隊長の小日向奏一の弟です」
赤薙「ハッ、人質じゃなくて、朱雀の導火線持ってきて火つけちまったってことか。敵増やしてどうすんだ馬鹿どもが…」
青田「す、すんません」
赤薙「どの道もう後戻りできない、攫っちまったんだから、返したって報復にくるに決まってる」
青田「あの、一つ、情報が」
赤薙「何だ」
青田「修二は、百目鬼が朱雀にいた頃、出入りしていたみたいで…、百目鬼が朱雀を追い出される前はよくつるんでいたと…」
赤薙「…やっぱり、知り合いじゃないか…」
ワナワナと震えた赤薙は怒りのオーラをあらわに、僕ちゃんの前まで来て、顎を掴んで持ち上げ、口のガムテープを引き剥がして凄い形相で僕ちゃんを見下ろす。
赤薙「修二君、百目鬼のお友達だねぇ」
修二「…」
赤薙「チッ、黙りかよ」
僕はここに至るまで口を開かず黙っていた。
赤薙たちは、僕ちゃんが怖くて口を聞かないと思い込み、さらに逃走の準備に追われて僕を放置していた。
赤薙はしばらく僕ちゃんを黙って睨み、見下ろしていたが、僕ちゃんの裸を見て、何かを思い出したようにニヤリと笑った。
赤薙「おい、青田、見張ってろ」
そう言って赤薙は建物の二階に消えた。数分して戻ってきた赤薙は、何やら透明の瓶に入った薬を手にしていて。
薬?カプセル?もしかしてヤバ目?
いやらしくニヤリと笑った赤薙が、僕の両頬を片手で掴む。
赤薙「…気持ち悪りぃが、時間がねぇ、お前の知ってる事を吐いてもらうぞ、口開けろ」
赤薙がカプセルを口に押し付けてきたが、僕ちゃんは歯を食いしばって抵抗した。
赤薙は苛立って舌打ちし、平手で一発入れてきたが、僕は黙って赤薙を見据える。
兄貴の平手に比べたら、こんなのたいしたことない。
赤薙「口がダメなら下に押し込んでやる」
は!?
赤薙が、青田に支持して暴れる僕ちゃんをうつ伏せにお尻を突き出させる。すでに裸だから、お尻丸出しで、抵抗も意味無くお尻にカプセルを入れられ「男の尻なんてマジ汚ねぇ」と言ってさらに薬をねじ込むためにボールペンを突っ込まれた。
修二「痛ッーー!!」
ガリッと中を傷つけられたような痛みが走り、仰け反ったら。赤薙に髪を掴まれ引っ張り上げられ、痛みに顔が歪む。
赤薙「俺の質問に素直に応えられるように、新作のブツぶち込んでやったよ。元々男娼買ってるボスのお楽しみ用だったけど、ハイになって自白効果もあるからな」
修二「ド、ドラック!?」
赤薙「バーカ、そんな高価なもんじゃねぇー、ただの催淫剤だよ。裏もんの強烈な新作な。男の喘ぎ声なんてキモいけど、時間がねぇ、1時間もすりゃあ、男が欲しくて意識混濁でゲロってくれんだろうよ、用済みになったら変態に売ってやるから安心しろ。俺らの逃走資金になってもらう」
ヤ、ヤバイ!!
薬を出そうとお腹に力を入れても、ボールペンが邪魔して出てこない。
さっきのはカプセルだった。すぐに取れば影響は出ないはず!
しかし、僕は薬を出すことも出来ないまま、赤薙は、見張り番に青田を置いて、突き当たりの部屋に引っ込んだ。
どうしよう!赤薙は1時間って言ったけど、僕にはきっと1時間もいらない。
どうしよう!意識がとんだら百目鬼との関係を話してしまうだろう。それだけで済めばいいけど、僕はむつや華南の名前を口走るかも…そんなことになったら2人を巻き込む…。
嫌だ!
修二の脳裏には、あの日見た、むつの涙が…
自分が名前を呼んだがために、むつを深く傷つけた…。後から後から流れたあの涙。あの悲痛な怒鳴り声、もう、二度とむつにそんな思いはさせまいと…
なんとか自分のところまでで食い止めなきゃと…
修二の脳裏に、一瞬、むつと華南に言われた事がよぎりそうになり、2人の顔が浮かんだが…、その大事な言葉は、思い出されることなく…。
むつの涙に誓った修二の新たな決意の前に、埋れて行く…
僕は、もう二度と名前を言ったりしない!
もう二度と、危険を近づけたりしない!
むつと華南の名は、絶対に口にしたりしない!
なんとかしなくちゃ、2人を巻き込む前に…
僕が!!…
むつ『今度は………よ……ぜっ………から』
華南『あま…じゃん……………んでくのに』
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