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抱きしめる俺たち3
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薬を塗るための優しい指の動きが甘い痺れに変わる。
痛むところにしかめる眉を見逃さないために見つめてくる眼差しにドキドキする。
心配してくれる囁きに脳みそが溶けそう。
それらが全て華南だと思うと、ギューっとした気持ちがして、もどかしさに身をよじる。
華南「どうしたの修二?」
修二「んんッ…ぃ…ぁ…」
華南「可愛い声出して…」
修二「…うっ…ン…」
華南「誘ってるの?」
修二「…ちがぁッ…ぁ…」
華南「…はい、お終い」
ヌルッと指が引き抜かれ、解放された安堵と、放置感に寂しさが混ざってハッとして顔が真っ赤になる。複雑な感情にすぐに足を閉じた。
僕ちゃんの息子さんは反応してないのに、ジンジンとした甘い痺れに心は乱されてる、後ろの蕾が物欲しそうにヒクヒクとしてるのが自分でも分かる。
華南はそんな僕を見て見ぬ振りして塗り薬をしまい、新しい水のペットボトルを持ってきて、頭痛に効く薬を飲ませてくれた。
水分とって間を開けたら、落ち着くかと思った。けど、再び華南に横から抱きしめられて、ドキドキもジンジンも一行に収まらない。
華南「…お腹すいた?」
修二「…ううん…」
壁掛けの時計が11時を指している。
多分、昼間だと思う。そうなると僕はまるまる1日固形物を何も口にしていない。
…覚えてる限りは…。
修二「…あの…」
華南「ん?」
華南の温もりに包まれて、耳元で優しすぎる甘い声。もう…心臓破裂しそう…です。
修二「…華南とむつは怪我とかしなかった?…ここにはどうやって?」
華南「覚えてないの?」
修二「むつにフェラされて…その後は…もう…よく…分からない…」
華南「…」
華南は少しのガッカリしたように考え込む。
修二「…あの…怒らないで…、あの…百目鬼さんは…どうなったかな?」
華南「あの人は、多分…、もう修二の前には現れないよ」
修二「…」
僕の言葉はあの人に届いたんだろうか?
百目鬼さんは…立ち止まった場所から動けたろうか?
華南「…修二は人のことばかりだな」
修二「…ぇ」
華南の苛立ちの混じる声に、少しうろたえる。
百目鬼さんのことなんか聞いたから、怒らせた?
華南「相手の事ばかりで自分をちっとも大事にしない」
修二「そんなことないよ…」
華南「じゃあどうして、助けを求めなかった」
修二「…、何の話し?」
華南「百目鬼に襲われて、マキに好き放題されて、どうして…」
修二「…マキが百目鬼とグルだと思ったし、叫んで助けを求めたところで、百目鬼さんを刺激するだけだよ」
華南「お前の考えは分かってる。俺たちを巻き込みたくなかったからだろ!」
修二「ッ、違う!!」
華南「違わない!奏一さんに、俺たちを関わらせないように裏で手を回してもらうよう頼んだってな!!」
修二「!!!!」
兄貴……バラした…?
違う…兄貴が言うわけない…。
修二「なんのこと?」
華南「とぼけんな、今更チャンネル変えたってもう遅いんだよ。お前と連絡取れなかった時、お前の携帯に奏一さんが出て、むつが嫌な予感がするって。谷崎にカマかけて奏一さんが引っかかった時。それでもとぼけようとした奏一さんに、むつが言ってやったんだ。『奏一さんが把握してる倍の回数、修二はあんたのせいで因縁つけられたりボコられたりしてたんだ』って」
なッ!?
…昔、ヤンチャだった兄貴は、それはそれは強くて、兄貴に仕返ししたくてもできない馬鹿が、よく僕ちゃんのとこに来た。
内緒に…してたのに…
華南「奏一さんは全部教えてくれたぜ、百目鬼の件にむつと俺を関わらせないように、情報を漏らさないように谷崎に口止めして、バイトの件も、奏一さんの後輩の本田さんが吉良さんと知り合いだったのを利用して、バイト先を手配したのも、全部だ」
修二「ッ…」
華南の目に、怒りの混じった色が炎のように揺れる。
華南が、怒ってる…。
華南「修二」
修二「…はい」
喉が張り付く…。
華南「俺はお前が好きだ」
華南が僕の両肩を持って正面で向き合わせる。
華南「お前とずっと一緒にいたい」
押し倒されてソファに押し付けられ…
華南「お前とむつと愛し合いたい」
修二「…ぁ…」
真剣で吸い込まれそうな瞳が近づいてきて、華南の唇が、震える僕の唇に触れる。
そっと離れた唇に目を奪われていると、情熱的な言葉を言った口が、ヒヤリとした言葉を吐いた。
華南「って、言ったら、お前は迷惑するのか?俺を嫌いになるか?」
修二「え!?」
あまりの展開に頭がついていかない。
華南の人差し指が僕の喉元に突きつけられる。
華南「さっきお前が俺に思ったことだ、〝変なことを言った、忘れて〟俺はお前にそばにいたいと言われて、迷惑するのか?、俺がお前に好きだと言うのは忘れたいことか?」
修二「は!?はぁ!?ズルイ!!また〝そういう〟言い方!、僕の言葉で仕返しするみたいな…」
華南「こう言わなきゃ反省しないだろ!そんなに俺たちが信用ならないか!?お前がいるのに女と二股の末にお前をポイ捨てするように見えるのか!」
修二「ッ!違う!信じてる!信じてるよ!」
華南「じゃあどうして忘れてくれなんて言う!どうして、もっと思ってることを言えない!」
修二「ッ…それは…」
華南「一度は本心を言えと言った!お前の過去を聞いた時、一度でいいからと…」
華南の腕に力が入る。
華南「一度でいいわけないだろ!!」
修二「!!」
華南「………呼んでくれれば…呼んでさえくれれば………お前を助けるために…お前を…、ッ…好きな人を強姦するみたいな真似しなくてすんだ…」
目の前の華南の顔が、泣きそうにしわくちゃに歪む。
華南「しゅ…じの…ために…、大人な…余裕…あるふりして…、信じてくれるのを…待った。…待った…結果が…あんな…あんな……」
あんな声…。
泉にヤられてると思って、
僕が叫んだ時の声…
初めて見る…華南の…激しい感情…
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