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夏休みな俺たち〜修二〜
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僕ちゃんが今こうして、〝恋人〟として、むつと華南の隣に居られるのは、ほとんどマキのおかげだと言っても大袈裟じゃない。
マキは、人の心を見透かすみたいに意味深にニコニコとして、いつでも勝手に現れて、僕の心の確信をつついて遊んでるのかと思いきや、ヒントを教えてくれる。
マキは一体どんな人物なのか…。
気にするなって方が難しい。
マキ『ねぇ、修二。……今幸せ?』
マキに何かあったのは明白。
僕ちゃんマキに助けてもらってばかりで、少しは何か返せたらって思うけど…。
難しいだろうな…、彼、複雑そうだし…、そして頑固な僕ちゃんに少し似てる。
せめて気晴らしになればと思ったのに…。
マキは、迎えに来た泉さんに連れられて帰って行ってしまった。
一応、帰り際に、『お祭りは夕方から9時までやってるから待ってるよ』って言っといたけど…。マキは答えずに手を振った。
夕方5時頃。
汗を流すためにシャワーして、借りた浴衣に着替える。
むつは、ちぢみ綿麻の黒地に、赤紫の細い縞が少し入っている物で、帯は紅色グラデーションに龍の模様のデザインされてる物(遠目からは紅帯に見える)。
華南は、ちぢみ綿麻の白地に、細い薄墨で描かれた白い龍のデザインされた物に、帯は山吹色に近い太枠のまばら縞。
僕ちゃんは紺地に、薄い青や青でススキや龍や花の柄の入った物で、帯は白。
華南は、おばあちゃんに着方を教わって知ってるらしく、自分でサッと着て帯を結ぶ。
浴衣をスッと着れる男って、ちょっと…ってか、かなりカッコいい。しかも白っていうのが、男の色気を感じる。
僕ちゃんは浴衣着たことあるけど、思い出しながらだから、少し戸惑う。
そんな僕らの間をむつがパンツ一丁でウロウロ観察して回り、楽しそうしていた。
むつ「華南、おっとこ前じゃん!」
着たての浴衣を褒められて、華南はキリッとポーズを取り、渋く答える。
華南「ありがとよ」
華南は、シャワーの後の湿った前髪を垂らしたままだから、ちょっと別人みたいに見えてドキドキする。
それに前髪を下ろすのはセックスや風呂に入った時だけだから、そっちの想像が脳裏をよぎると頬が熱くなってきて困る。
華南「修二結べた?」
修二「う、うん」
浴衣姿で近づかれて、ドキッとしてしまい、思わず目を伏せた。
今までなら、笑って誤魔化せてたのに、最近、誤魔化すより先に照れてしまう。
なんとかしないと、このままじゃ…
華南「…修二…、お前ってさ、顔隠してうつむいても、うなじに全部出ちゃってて、返って煽られるんだけど…」
照れた華南の声にハッと顔を上げる。
そこには、『襲いたくなるから勘弁して』と言いたげな表情の華南がいた。
むつ「浴衣のうなじ…強烈だな…」
華南「左側で結ばないで、今回は後ろで結んどかない?」
むつが頬を赤らめて
華南が鼻を押さえて言う
修二「ぁ…うん…」
言われて僕ちゃんは髪の結ぶ位置を直す。
その間、華南がむつに浴衣を着せようとした。
ーピリリリリン♪、ピリリリリン♪
僕ちゃんの携帯の音だ。
表示画面の名前に驚いたが、普通を心がけて受話器を取った。
修二「はい」
受話器の向こうで一度言葉を発しようとして息を吸い込んだのが聞こえたが、言葉は無かった。
耳をすませると、人の多そうな雑音と、かすかに太鼓の音が混じってる。
修二「公園にいるの?」
僕の電話する声音に、華南とむつが動きを止め僕ちゃんを見た。
『あ、もしもし?まだ公園にいたりする?上着返そうと思って…』
修二「ごめんね〝マキ〟僕ら移動しちゃったんだ、ちょっと待ってて直ぐそっち行くよ」
マキの名前と僕の喋り方に、むつが直ぐに反応して、羽織った浴衣を脱いで、洋服に着替えてくれた。
マキ『移動したのにワザワザ?また今度会った時でいいならその時返すよ』
修二「そのパーカー兄貴が買ってくれたやつでね、うち過保護だから、無いと怒られちゃうんだ」
むつは僕の言いたいことに気がついて、そっと部屋を出て、公園に向かった。
パーカーは、兄貴が買ったものじゃない。
マキは、電話してきたくせに、会うのを拒もうとしている。多分、なんか嫌なことがあったのだろうと思う。
僕も、嫌なことがあると昔はむつに会いにいった。でも、何があったか話したい訳じゃない…。むつは、普段空気を読まずにズケズケ聞くけど。僕が本当にダメな時、ただ黙って抱きしめてくれる。アレには何度も助けらるた。
修二「それに、お祭り一緒に行こうって言ったろ?」
マキ『あー、それはぁ、また、今度しよっかなぁー、泉に怒られちゃうし♪』
修二「えー、お祭り今日が最終日だよ。景品のあるジャンケン大会とかあるし、美味しい物もいっぱいあるよ」
マキ『ぁっ…』
マキが興味を示した。
修二「かき氷とか綿あめとか、ソースせんべいとか、りんご飴と水飴に、ベビーカステラとか、色々あるのになぁ〜」
マキは子供っぽい一面を持ち合わせている、だから、喰いつくと思った。
受話器の向こうでゴクリと唾を飲み込む音がする。
修二「ふふ、ね。一緒に行って食べようよ」
マキ「…行く」
一瞬考えたようだが、素直な返事が返ってきた。マキに、泉さんにちゃんと居場所を言えば許してもらえるんじゃない?と言って、少し電話していると、受話器の向こうでむつの声が聞こえてマキの驚いた声がした。
華南の家から公園まで自転車使えば5分もかからない、さらに飛ばせばもっと早く着く。
マキはむつに連れられて華南の家までやってきた。
そして玄関で華南と2人でマキを迎えた。
華南「よぉマキ、いらっしゃい」
マキ「…わお、和風イケメン」
浴衣姿っていうのと、前髪を下ろしてるのとで、マキが感心したように華南を見上げる。
修二「マキ、一緒に浴衣着てお祭り行こうよ」
そお声をかけると、僕ちゃんの浴衣姿を見て、マキが急にテンションの高いおかま口調でプリプリ喋り出した。
マキ「…ヤダ勿体無い!、襟締めすぎよ!もっと開けて!うなじのところもぴっちりし過ぎ!髪は後ろじゃなくて横にずらすか上で結びなさいよ!カッコ悪い!」
修二「ギャッ!マ、マキ!」
僕ちゃんに詰め寄って胸元を開こうと手を掛けてきた。
僕ちゃんが抵抗して、むつと華南が止めに入る。
華南「マキ!」
むつ「おい、やめろ!」
マキ「浴衣はちゃんと着ないとカッコ悪いんですよ!」
バタバタと騒いでいると、その騒動にリビングから北斗が顔を出した。
北斗「騒ぎすぎ、何やって……」
言いかけて、北斗が目を見開いて、ぽっかり口を開けた。
浴衣姿の僕ちゃんと、短すぎるホットパンツ姿のマキに見とれて、完全に停止している。
マキ「こんにちは♪お邪魔してます♪」
マキがフェロモンたっぷりの笑顔でニッコリ微笑むと、北斗の顔が真っ赤になった。
北斗「……ッ…あ、僕…」
華南「マキ!!俺の弟を惑わすな!!」
マキ「あは♪、似てるけど、可愛い系イケメンだね♪」
華南「さっさと部屋に行くぞ!!」
マキは、3人に連行され二階の華南の部屋に連れて行かれ、北斗にウインクして行った。
騒がしい4人のいなくなった玄関で、北斗は、1人真っ赤に惚けた顔で二階を見上げる。開いた口がやっと動いて、先ほど兄華南が口にした名前を復唱する。
北斗「マ…キ…、マキさん?…綺麗な人…」
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