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夏休みな俺たち〜修二〜
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商店街の先にある大きな公園。
春には桜並木が続き、大きな噴水もある。
ここは、むつとつよしがカツアゲの後再会した場所。
噴水から逸れた道の先に、大きな広場があり、夏になるとそこでステージが組まれ、ジャンケン大会や盆踊りなど賑やかになる。
毎年参加しているが、3人で浴衣を着て来るのは初めてだった。
マキ「うわ〜、お祭り凄〜い♪」
マキの瞳がキラキラと輝いている。子供のようにはしゃいで、僕ちゃんの袖を引いて屋台に近づこうとする。
マキは、何があったかも言わないし、何かあったかさえ感じさせない。
ただ、カラ元気ではしゃいでる風でもないから、僕ちゃんもあえて何も言わない。
マキ「あんず飴!あんず飴食べたい!」
むつ「バカ、あんず飴最初に食べるなよ、飴じゃ時間かかるし、腹減ったよ」
マキ「そっか、分かった。じぁ、食べやすくて、お腹にたまるものね…、フランクフルト!」
むつ「あっ、いいね、俺も食う」
マキ「キュウリも売ってるよ」
むつ「ああ、あれうまいよなぁ」
マキ「あっ!チュロス♪」
むつ「それ、お菓子じゃん」
マキ「チョコバナナは?」
むつ「それは食いたい…」
マキ「僕、チョコバナナはチョコを舐めてから食べるんだ♪」
マキがニコニコしながら、むつにバカなことを言っている。しかし、鈍感なむつは気づかない。
全部、棒状の物じゃないかまったく。
僕ちゃんは呆れながらツッコむ。
修二「マキ、やめなさい」
マキ「あは、怒られちゃった♪」
ルンルンとスキップしだしたマキ。
むつは未だに意味に気づかず首をかしげ。
華南が気にするなとなだめる。
華南「ジャンケン大会あるし、簡単に摘めるたこ焼きにしねぇ?」
マキ「たこ焼きー♪」
むつ「俺もー!」
北斗「僕もー」
ちゃっかり皆に混じって手を挙げる北斗に、華南がその手をはたき落とす。
ーベチン
華南「お前はダチ探して回れよ!」
北斗「えー、いいじゃん友達と合流するまで」
華南「はぁ!?」
兄弟で揉め初め、その横ではマキとむつが六個入りのたこ焼きを2パック買った。
戻ってきても橘兄弟が揉めてるので、僕ちゃんはたこ焼きを串に刺して、華南の口に押し付けた。
修二「ほらほら、揉めてないの」
華南「ぅあチッ!」
修二「はい、食べて」
華南の口の中にたこ焼きを収めると、熱さで華南がハフハフしていた。
むつ「修二、俺もぉ〜、あ〜ん」
修二「えっ…ぁ…うん」
むつが、僕にたこ焼きをせがんで口を開ける。僕は恥ずかしくて、誤魔化すみたいにたこ焼きを冷ますのに時間をかけてしまった。
その横で北斗が羨ましそうに僕たちを眺めていた。すると、マキがたこ焼きを串に刺し、たこ焼きにフーフーしてから、北斗の口元に持ってきて微笑む。
マキ「はいどうぞ、熱いから気をつけてね♪」
北斗「ぁ…」
マキの色っぽい仕草にドキリとした北斗が、マキの笑顔に目を奪われながら口を開ける。
マキ「ふふ、美味しい?」
北斗「はい、おいしいれす…」
マキ「僕も食べたいな♪」
北斗「は、はひ」
完全に見惚れてる北斗に、後ろから華南が頭にチョップした。
北斗「イテッ!」
華南「ほらマキ、俺が食べさしてやるから、北斗に絡むな」
マキ「はーい♪」
北斗「ちょっ、ちょっと!」
華南にたこ焼きを食べさせてもらいご満悦なマキ。
北斗が残念そうに自分の頭をさする。
むつ「北斗、マキはお前の手に負える相手じゃないぞ」
北斗「え?」
むつ「それにあいつ男だぞ」
北斗「分かってますよ」
むつ「お前男が好きな訳じゃないだろ?」
北斗「まぁ、好きになったことは無いですけど…、マキさんと修二さんは女の子みたいに綺麗だし、むつさんは可愛いし」
可愛いって言葉にむつが北斗をギロリと睨む。僕ちゃんはすぐに間に入って、むつにたこ焼きを差し出した。
修二「はい、アーンして」
むつ「ッ…あ〜ん」
ーピンポンパンポーン!
会場のアナウンスが鳴って、ジャンケン大会大会の知らせが入った。
みんなでステージに並び、3組がステージでジャンケン大会をして、5人勝ち抜いた人に景品が与えられる。
5人で並んで挑戦したが、勝ち抜いて商品をゲットしたのは、マキだけだった。
むつ「チキショー!!後ちょっとだったのに!!」
むつは4人抜きで負けてしまって悔しさに地団駄踏む。
僕ちゃんはというと、1人目で負けてしまいました。
むつ「よし!勝負だ!マキ、こうなったら他ので勝ってやる!」
勝負魂に火のついたむつが、次々とマキを誘ってゲームに参加する。
射的に、ヨーヨー釣りに、輪投げに、型抜き、金魚すくい……。
見事なまでのむちの惨敗。
最後の金魚すくいに至っては、紙が破れずおわんいっぱい金魚を取り、店の親父が降参する始末。
結局大量金魚はいらないので、親父がゲーム台をただにしてくれた。
仕方ない、あのままでは紙が破れず店中の金魚がマキに取り尽くされてしまう。
マキ「えへへー♪次は何で勝負する〜むつぅ?」
ルンルンスキップするマキと、惨敗に生気を失うむつ。
修二「あはは…、そろそろ終わりにしてなんか食べない?」
マキ「食べるー!♪」
何を食べるか決めようとしても、マキがあれもこれも目移りして指を咥えるものだから、俺たちは色々買ってちょっとづつ分けることにした。
1度二手に分かれ、僕ちゃんとマキ、華南と北斗とむつで買い出し。北斗はこっちに来たがったけど、華南に首根っこを掴まれた。
僕らはお好み焼き屋に並び、それからジャガバターを買う。
修二「飲み物買おう」
マキ「アレがいいな、あの、タピオカ入ってるやつ♪」
修二「ああ、向こうに売ってたよ」
次に向かっていると、目に止まったトルネードポテトにマキが興味を示した。
マキ「あー、あれ面白い♪」
修二「もう、ジャガバター買ったから、ジャガイモ被るよ」
マキ「僕が食べる♪」
修二「マキって大食い?」
マキ「ふふ、そこまでじゃないけど、いっぱい食べるよ♪夜運動するからね♪」
僕ちゃんはノーコメントでサラッと交わすと、マキのがつまらなさそうに口を尖らせた。
マキはトルネードポテトを一つ買って早速食べ始める。
食べながら、他の屋台をチェックして、デザートに食べる甘いものを食べる順番を楽しそうに決めていた。
「あっ!マキ様!!」
突然、後ろから男が叫んだ。
マキ「ふえ?」
声に振り向くと、そこには、シマと、ヤナギと、イダテがうんこ座りしながらイカ焼きとたこ焼きを食べていた。
ヤナギ「しゅ…じ…」
イダテ「ゲッ!」
シマ「マ、マキ様!また会えた!」
ヤナギが僕ちゃんを見て立ち上がり、イダテは座ったまま嫌そうな顔をした。そして僕ちゃんたちを呼び止めたシマは、完全にマキ信者と化していた。
面倒くさいのに出くわした、と僕ちゃんも眉をしかめたが、呼び止められた当のマキは、トルネードポテトを食べながら、のんきにいつも通りへらっと笑う。
マキ「あっ、駄犬3人組だ」
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