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俺たちの道〜修二〜
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華南「ゲットしました!!」
10月中旬、華南が初給料を手にした。
昼休みの学校の屋上。
僕ちゃんとむつと華南の3人で昼ごはんを食べてるところで、華南は初給料の額が記載された通帳を持って自慢してきた。
華南「それから同居の件、親からOKもらったぜ!」
むつ「マジ!?」
華南「まぁ、ちょっと条件付きだけど、要は努力が続くかってことだから」
むつ「俺はほぼOKなんだけど、就職決まったら正式にOK出るんだよな…、『修二君に迷惑かけるんじゃない、金は借りるな、自分の分は自分で払え』が条件だなぁ…ってか自分の分は自分で払うっつーの」
有言実行で確実に前進してる華南とむつ。
それに比べて僕ちゃんは、未だに兄貴から反対されてる…。
受験に向けての勉強もしてるし、バイトも頑張ってるのに、いくら話しても、兄貴の答えは「ノー」だ。
大学受験やめて…僕ちゃんも働こうかな…。
…でも、兄貴にそう言ったりしたら、ますます反対される気がする…。
兄貴は何も言ってこない…。
何か僕ちゃんに言いたいことがあるように見えるのに、兄貴からは何も要求してこない。
同居したいと頼むたび、繰り返し聞いてくるのは…
『卒業してまで2人にお前の面倒見せるのか?』
『お前は、そこまで2人に甘えるのか?』
…。
兄貴は、多分…。この言葉に、何らかの含みを持たせてる…。
でも…、今の僕ちゃんには…、その裏がわからない…。
ただただ、ずっと兄貴に苦労をかけてて申し訳なかったと反省するばかりだ……
むつ「修二」
修二「え?」
むつ「…何考えてる?」
修二「…ああ、何か…実感湧いてきたなぁって」
僕が呟くと、むつが不機嫌に一言。
むつ「今頃?」
修二「ふふ、ごめんごめん、華南の通帳見たら現実なんだなぁって、何か、夢みたいな話だったから…」
そう…、好きな人と付き合えて、毎日楽しくて、触れたいと思った時に触れられる事だけで幸せなのに。一緒に住むなんて…、今すぐどうこうの話じゃなくて、半年先ってことが、逆に夢見心地になって現実味がなかった。
兄貴に反対されてるだけに…余計に…。
むつ「現実だ現実!お前まさか、まだ付き合ってる実感無いとか言わないだろうな…」
修二「あはは、さすがにそれは大丈夫」
僕ちゃんが笑うと、むつが本当だろうなって疑いの眼差しを向けてきた。
大丈夫…そこはもう、ちゃんと実感した。
僕の表情を観察していた華南が、安心したのか肩の力を抜いたかと思ったら、ニヤリと笑った。
華南「フッ、実感がないなら、何度でも実感させてやるぞ」
明らかにいやらしいことの方を言っている華南。そして、恐ろしいことを口にする。
華南「俺もスキル上げるために、マキに教わろうかな?」
ぅえ!?や、やめて下さい!!
むつ「お前はいらないだろ!十分テクあるじゃんか!俺が教わるからお前は教わるな!」
修二「え!?また教わるの!?」
むつ「うん、何か講習してくれるって」
ぇえ!?いつの間にそんな約束を!?
華南「何!?むついつの間にそんな約束を!?1人でなんて危険だからやめなさい!」
むつ「じゃ、華南も行く?お前が受け役の実験台になってくれるなら連れてく」
華南「うぉい!恐ろしこと言うなよ!やだよ!」
むつ「じゃあ、ついてくんな」
む、むつが…
マキの世界に毒されてるぅ?!
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賑やかな昼間の楽しい時間は、いつもあっという間だ。
家に帰って1人でいると、勉強しながら、余計な虫が騒ぐ…それを払うために、勉強に没頭する…。だけど、受験勉強していると、時間はいくらあっても足りない…
机に座って何時間も勉強していると、いつも12時を過ぎている。
眠たい目を擦りながら、切りの良いところまで…とついつい遅くまでやりながら、頭の片隅には、いつも兄貴の言葉が繰り返される。
『卒業してまで2人にお前の面倒見せるのか?』
『お前は、そこまで2人に甘えるのか?』
受験に失敗したりしたら…、絶対に3人暮らしを許してもらえない…。
もっと…頑張らなきゃ…。
奏一「…じ…修二」
修二「…ッ!…はい!」
兄貴に肩を掴まれ、僕ちゃんは机で寝てし待っていたことに気がついた。
奏一「遅くまでやり過ぎるな、寝るなら布団で寝なさい」
修二「あ…うん」
恥ずかしいことに、ヨダレの垂れてしまったノートを拭きながら答え。僕ちゃんは机を片付けて布団を敷く。
奏一「修二風呂は?」
修二「…明日入る」
奏一「そうか、おやすみ」
修二「兄貴…あの」
奏一「…俺の意見は変わらないぞ」
修二「……」
僕ちゃんが言う前に、兄貴は背中越しに答え、シャワーを浴びに風呂場に入って行く。
兄貴の背中を見つめながら、どうしたらいいのか分からず。
かと言って、兄貴の許可なしにこの家を出て行こうとは思わない。
自分で説得しなければならない…。
華南とむつは、頑張って順調に進めている。
僕だけが立ち止まるわけにはいかない…
もっと、頑張んなきゃ…
奏一がシャワーから上がった頃には、疲れていた修二は布団で眠っていた。
修二の机は綺麗に片付けられ、リビングのテーブルには、温め直されたオカズと湯気の立つ味噌汁が置かれていた。
奏一が修二の顔を覗き込むと、修二はすでに寝息を立てている。その目元は、薄くクマができていた。
奏一「…分かってないなぁ…」
奏一がため息を漏らし、机に視線をやると、修二の机の上の卓上カレンダーには、修二のびっしり詰まった予定が書かれている。
そしてあと数日で、カレンダーについた赤丸印の文化祭が始まる。
奏一「……」
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