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俺たちの道〜修二〜
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《お疲れー!バイト終了!俺も帰ったらすぐ寝るし、修二も早く寝ろよ!!》
夜10時頃、むつからメールが来た。
バイトに行ったと、嘘のメール…。
…。
確かめなかったけど、もしかしたら、華南もバイトじゃなかったのかもしれない…。
2人でどこかに行った?
ハッ!
まさか!!マキのところに!?
いやいや、マキのところに行くのにワザワザ嘘をつく必要は無い…
じゃあ、なんだ?
2人で?
むつの単独?
……分からない…。
今日は早々に布団に入ったけど、僕ちゃんはぜんぜん眠れない。
深夜2時半を過ぎた頃、玄関の鍵を回す音がした。
兄貴が帰ってきた。
兄貴は家へ入ると、僕ちゃんと母さんの寝ている部屋へ真っ直ぐ来て、寝ている僕の方ををジッと見つめた。
奏一「………」
その沈黙の眼差しが、暗くてどんな表情が見えないから
とても怖かった。
奏一「………修二、起きてるんだろ?」
修二「…ぅん…」
僕が体を起こすと、少し厳しい表情の兄貴。
奏一「ちょっといいか?」
兄貴から話したいと言ってきたのは初めてで、妙な緊張感が息苦しい。
リビングに出て、寝ていた部屋の襖を締める。
椅子に座るように言われ、ちょこんと縮こまって座った。兄貴の声は硬くて、いつもより厳しい。
滅多に見ない鋭い瞳で、兄貴は口を開いた。
奏一「むつと華南と、縁を切れ」
え?……………
一瞬…
いや、まったく
兄貴が、何を言ってるか分からない…
頭も体も嫌な感じに痺れて、まったく動かない…
奏一「どうした、返事は?」
修二「……」
返事?
なんの返事?
突然すぎて…何言ってるか分からない…
ビリビリする指先、毒を飲んだんじゃないかくらい苦しくて体中痺れて、声が出ない。
奏一「了解ってことでいいんだな?」
修二「…な……んで…?」
やっと絞り出した言葉は、兄貴の睨みの前に墜落する。
奏一「なんでじゃない、縁を切れって言ったんだ、修二、返事は?」
縁を切れ?縁を切れって、もう一緒にいるなってこと?一緒にいるなってことは、むつと華南と別れろってことだよね?
修二「………ッ…む…り…無理だよ」
奏一「俺の言うことが聞けないなら、むつと華南を呼び出して俺の持てる力全てで修二に関わるなとクギを刺す」
修二「は?意味わかんない…、それって2人を脅すってこと?なんでそんなことするの!?」
奏一「お前は俺に楯突くのか?」
修二「兄貴…、どうして急にそんなこと言うの?意味が分かんないよ」
奏一「お前がダラダラ3人暮らしの許可を求めてくるからさっさと決着を付けようとしてるだけだろ?」
修二「!、…」
奏一「俺こそ聞きたいね、どうしてそんなに3人暮らしにこだわる、意味がわからない。俺の言うことを聞いて3人暮らしを諦めるか、諦めずに俺に楯突くのか、明日までに決めろ」
修二「あ…にき…」
奏一「分かったら寝ろ、明日また話しをする」
…………………………………………。
もしかして……
兄貴は、僕に言わそうとしてるの?
むつと華南と僕が付き合ってるって…
僕が男が好きだって…
僕の口から言わそうとしてる?
言わなきゃダメなの?
できれば…言わずに済ませたい…
薄々感ずいてたとしても…そこは
〝良い弟〟で済ませたい…
…………でも…
…僕は兄貴に逆らいたいんじゃない…
僕は……
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
むつ「…」
華南「…」
学校の屋上で、いつも通りお昼を食べているが、むつと華南は、いつも通りにしようとしている修二の様子に気付いていた。
むつ「修二」
修二「ん?」
むつ「お前、ちゃんと寝てるか?」
学校で、普通にしているつもりでも、むつと華南に、今では、すぐに見破られてしまう。
気付いて心配してくれてることに、申し訳ないと思いながら、嬉しくもある。
僕…完全に2人に甘えてる…。
駄目だ、しっかりしなきゃ…
修二「うん、寝てる寝てる。12時にはいつもおやすみメールしてるじゃん。いくら受験勉強でも閉店作業した兄貴が帰って来る時間に起きてたら怒られちゃうし」
僕ちゃんの顔を覗き込んだむつが、納得いかないって表情で、僕ちゃんのほっぺをムギュッとつねってきた。
修二「いひゃい…」
むつ「俺は、今回かなり我慢した、すげー頑張った」
へ?
僕のほっぺをつねるむつが、ニッコリしながら青筋立てて、意味の分からないことを言いっている。
むつ「だけどもう限界、たとえ怒られたって構うもんか、なぁ、そうだろ華南?」
僕ちゃんのほっぺをつねりながら、華南に話しを振ると、華南も僕の空いてるほっぺをムギュッとつねって、ニコニコ怒っていた。
うぇえ??!
何々!?
華南「そうだねー、むつにしては頑張ったよねー、2ヶ月だもんね。ってか、さすがに俺も無理だわ」
あ、あれ?
なんか、このパターン、聞いたことがあるような…。
むつ「お前、俺たちと別れようとか考えてんじゃないだろうな?」
は?
え?
何々?
むつ「何かまたグチャグチャと選択肢増やして悩んで!結局男だからとか、卒業したらとか、くだらねーことぐちゃぐちゃ考えてるんだろ!」
修二「え!?違うよ!」
全力で否定したのに、むつの疑いの眼差しがキッと凄みを増す。
華南の手が僕の頭にポンと置かれた。
華南「何かあったろ?」
修二「何もないよ」
華南「悩み事?」
修二「悩んでないよ」
軽くかわして答えたが、華南の瞳はジッとこっちを見ていた。
悩んでない。別れようなんて悩んでなんかない。
兄貴の事は色々考えてるけど、それは兄貴をどう説得するか…、僕が男しか好きになれないって言わなきゃいけないのかってことで…
どうしたらいいか考えはしてるけど、それは僕がやらなければならないことで…
だって2人はちゃんと説得して許可を取ったんだ、僕だって…
僕ちゃんはこうやって気遣われて2人に甘やかされてる…
こうゆうのがいけないのかな…
ちゃんと心配かけないように出来ないから、むつに誤解させたのかな…、もっとしっかりしなきゃ、もっと頑張んなきゃ、2人に甘えてばかりいないで、上手くやらなきゃ。
前は、もっと上手くかわせてたのに…
修二「そんなこと考えてない…悩んでないよ」
むつ「だー!!なんでそうなんだよ!!」
修二「へ?」
むつ「なんでちっとも甘えてくんないんだよ!そんなに俺らって頼りないのか!?」
え!?ぇえ!?
何々!?
甘えてるじゃん!
すっごい甘えてるじゃん!?
華南「修二、俺たちの問題を1人で抱え込むなよ、俺らもいるんだからもっとこっちに寄りかかってくれよ」
寄りかかる?
これ以上無いくらい寄りかかってるよ?
2人が疲れちゃうんじゃないかって心配なくらい、めちゃめちゃ甘えて寄りかかってるよ!?
修二「え?…僕…、2人には凄く甘えてるし、これ以上無いほど迷惑かけっぱなしだと…」
むつ・華南「はあ!!?」
息ぴったりの2人が同時に吠えた。
むつは恐い顔になり、華南はあきれ顔だ。
えっ…?
むつ「どこが甘えてんだよ!!1ミリも甘えてねぇじゃねぇかよ!」
修二「そんなことないよ、凄い甘えてるよ」
むつ「はあ?!甘えられたことなんてねぇんだけど!!全然なんだけど!!甘えたってんなら、いつだよ!いったい、いつ!どこで!地球が何回まわった時だよ!!」
ふえ??地球!?
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