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番外編9ひと夜咲く純白の花の願い
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僕は、百目鬼さんの家に泊まるのを諦め。
手荷物のボディーバックを取りに寝室に向かう。
百目鬼「…待て」
百目鬼に呼び止められたが、構わずカバンを手にとって、リビングを通過しようとして。目が合った百目鬼が複雑に顔を歪めるから、マキは優しく微笑んだ。
その顔はどんな意味がある?
追い出すには夜だから、気にしてるのかな?
優しいね…
でもね、百目鬼さん、僕はただで転ぶ気は無いよ。
マキ「…、いいよ、気にしないで。僕は、矢田さんの家に泊めてもらうから♪」
玄関に向かうマキを、百目鬼が慌てて捕まえる。
百目鬼「ちょっと待て!帰るんじゃないのか!?」
引き留められ、振り返ったマキは、子供みたいに頬を膨らませた。
マキ「ブゥー。だからぁ、帰れないの。僕は、マジに困ってるの。怪我して帰ったら3学期始まるまで缶詰だよ…、そんなの絶対無理」
百目鬼「…だからってなんで矢田?」
マキ「だって、最初は矢田にさんの家に行く予定だったんだもん」
百目鬼「は?」
マキ「でもあの日、僕は百目鬼さんにヒョイパクされちゃってぇ〜、4回中出しされて、お腹に1回、イマラチオで口に1回、あと……」
百目鬼「分かった分かった!俺が悪かった。分かったから黙れ!帰らないならここに居ろ」
何故か意見を変える百目鬼。
矢田の元に行くのを阻止したいようだ。
マキ「いいよ無理しなくて、あの日ことはもういいよ気に病むことないから♪。激しかったけど大丈夫♪」
百目鬼「うッ…」
マキ「そんだけ情熱的に愛する人間が百目鬼さんに出来たことはいいことだから♪」
百目鬼「!!」
マキ「でも、他の子で間違えて襲ったりしたらダメだよ♪僕だったから良かったけど、お仕事とお酒はほどほどにね♪」
マキの言葉に目を見開いた百目鬼が、何かを言いかけて、苦悩し、口が動いたかと思ったら、歪んで…うつむいた。
マキを掴んだ手首に力を入れ、マキを引き寄せて両肩を掴んだ。
百目鬼「ッ………悪かった!本当に俺が悪かった!」
近い…
マキ「だから、気にしてないって♪」
へらっと笑ったら、百目鬼さんは僕の肩を握る手にグッと力を込めた。
百目鬼「俺を見ろ、マキ!」
!?
百目鬼が、真剣で怖い瞳でマキを見る。
その瞳に…名前を呼ばれたことに驚いて、マキは流暢に喋っていた口が止まった。
百目鬼「本当に悪かった。矢田は、1度思い込んだら突っ走るから、あの後も〝彼女できてよかったっすね〟ってうるさいし。俺も寝不足でイライラしてて…、すまん言い訳だ。
矢田のところはやめておけ、あいつは何するかわかったもんじゃない、傷口に辛子を塗りかねない男だ、生きて帰れなくなるぞ」
マキ「…」
百目鬼「泊まるなら、俺のところにしとけ」
百目鬼はアベコベなことを言っている。
泊まるなって言ったり、泊まれって言ったり。
彼の複雑な心境が分からないでもない、自分が襲った相手に冷たくできないのだろう…。
修二との過去があるから…。
マキ「…泊めてくれるの?」
百目鬼「泊まれ」
マキ「嫌なんじゃ…」
百目鬼「嫌なんじゃなくて…」
…。
その言葉の続きは出てこない。
マキ「……なら、お金、しまって」
テーブルの上のお金を指さすと、百目鬼の眉間にシワが寄せ、困った様子。
百目鬼「…しかし、泊まるだけじゃ釣り合わないだろ、お前はこの後も女装するんだぞ?」
マキ「どうして?泊めて欲しいのは僕、そのための女装でしょ?」
百目鬼「…そもそも、元を正せば、お前が女装しなきゃいけないのは、俺がお前を無理やり襲って、ゲイだと隠したいからで…」
マキ「もう、百目鬼さん、昨日のは、同意!無理やりじゃないの」
百目鬼「嘘をつくな」
記憶が曖昧だと言っていたのに、強い意志で見つめられ、距離を取りたくなった。
掴まれた腕を話して欲しくて、わざとふざけたことを口にした。
マキ「…そんなに気にするなら、今日もう一回セックスする?フフッ、今度は僕が百目鬼さんを縛ってやりたい放題♪それならアイコになるよ♪」
百目鬼「…無理だ…」
無理…。
だろうね
百目鬼「今日は眠すぎる…」
百目鬼は心底眠そうに頭を抱えた。
マキ「はえ?」
冷たくあしらわれると思っていたのに、そうなる答えだと思ったのに。
今日は?
今日…じゃなきゃいいの?
百目鬼「今日は、お前が満足する前に寝落ちする」
よっぽど罪悪感に苛まれてるのか、仕返しされることに何の抵抗も示さない。
ティーカッププードルは、よほど、過去に修二にしたことを後悔しているようだ。
マキ「…んー。じゃあ、それは今度元気な時でいいけどさ。今、どうしても、罪悪感でそれ以上したいならさ、現金じゃ無くてさ、手料理作って食べさせてよ♪」
百目鬼「は?」
マキ「猫にもエサやるでしょ?あっ、レトルトはやめてね、後カップラーメンも、僕の体質に合わないから、お腹痛くなっちゃうんだ」
嘘だけど…
百目鬼さんの体に良くないからね。
百目鬼「普通女役のお前が台所に立つだろ?」
マキ「残念、僕、料理作れないんだ♪僕の指入り料理とかになってもいいなら、僕作るけど?…」
女の子みたいにわざと可愛らしく嘆きながら、人差し指を咥えて百目鬼をうるっと見つめる。
こちらを唖然と見る百目鬼に、マキはニコッと笑うと。
百目鬼が渋い顔をしながら想像したらしく、少し青ざめ。手料理を作るのを承諾した。
百目鬼「好き嫌いは受付けねぇぞ」
マキ「うん♪」
百目鬼「今日は冷蔵庫の残り物だからな」
そう吐き捨てるように言って、大きな手がポンと僕の頭に触れて、僕をリビングの方に押した。
…。
この人は、よくわからない。
百目鬼さんの…手料理を食べれる
…嬉しいさ…
でも…
胸の痛みが消えず悲しい感情が渦巻いてる。
それを冷ややかに見下ろして。
マキは…
ニッコリキレイに笑う。
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