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番外編20ひと夜咲く純白の花の願い
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百目鬼さんの事務所から数十メートルの距離の喫茶店に、百目鬼さんの友達だという賢史さんと一緒に入った。
百目鬼『お前のこと気に入ったってさ』
それって、恋愛対象としてこいつはどうだ?ってことだよね…。
まさか、誰かを紹介されるなんて考えたこともなくて、喉の奥が痛くなった…。
って言うか、この賢史さん、百目鬼さん以上の曲者だ。表情と、目の奥に感情のズレを感じる。
賢史「オムライスだけでいいの?」
早速注文したメニューから会話に入る賢史。ニコニコしながらその目は笑ってない。
刑事独特の威圧感。
マキ「はい」
賢史「そんな硬くならないでよ、ほら、窓から百目鬼の事務所も見えるし、安心だろ?」
マキ「はい」
百目鬼さんが僕に気持ちが無いのは知っていた。でも、賢史さんを紹介された時のショックは、自分でも驚くほどだった。
賢史「さっきは簡単に自己紹介しちゃったから、よくわかんなくて緊張してるのかな?俺は、本豪賢史(ほんごうけんし)28才未婚で恋人募集中、職業は刑事さん」
ニコニコしながらこっちを見る賢史さんは、「次は君ね」と言いたげだ。
マキ「マキです。18です」
賢史「18?大人っぽいね、ってか、マキちゃん名字はなんていうの?」
マキ「…」
賢史「あれれ?もしかして警戒してる?」
マキ「…警戒してるのは、賢史さんですよね…」
それを聞いた途端、賢史は笑顔を作るのを止めて、ソファーの背もたれにふんぞり返った。
賢史「ああ、悪い悪い、殺気立ちすぎた、刑事失格だな」
可笑しそうに笑って、口角を上げた。
そこへ丁度店員が来て、賢史の頼んだパスタとサラダ、マキのオムライスを置いていった。賢史はフォークでパスタを巻きながら、不敵に笑う。
賢史「まぁ食えよ」
勧められたが、マキはオムライスに手をつけず、賢史をジッと見つめる。
賢史「単刀直入に聞くけどさ、お前さん何が目的で神に近寄ったの?」
マキ「…目的?会ったのは偶然です」
僕が何か企んで近づいたと思われてる?
まぁ、帰れるのに帰らなかったのは事実だ。
賢史「とぼけてるの?君達が神を恨むのは分かるよ、あいつがやったことは許されることじゃない」
恨む?君達?
賢史「…偶然?の割にはちゃっかり泊まり込んじゃってるじゃない。神を引っ掛けるつもりだろうが、神はそんなのには引っかからないぜ、それとも本気だとでも言うつもりか?」
パスタを頬張りながら、鋭い目でマキを見る賢史。
マキは、表情を少しも変えず、真っ直ぐ賢史を見つめ返す。
動揺しないマキに、賢史はまたパスタを巻いて口に頬張った。
賢史「んー、んぐんぐ、こんなこと言うのアレだけどよ、神のセックスって酷いだろ?君、酔った神に襲われたんだって?それなのに一緒にいようとするなんて君ってマゾ?俺にはそうは見えないなぁ。だとすると、わざと近づいた事になる」
マキ「…」
賢史「神に何かしようとしてるならやめてくんない?当の本人に仕返しされるならまだしも横から他人が手を出すことじゃないと思うなぁ…」
当の本人に仕返し?
マキ「なんのことですか?」
マキが尋ねると、賢史のパスタを巻く手が止まった。
マキを暴こうとするような鋭い観察眼を向け、フッと笑う。
賢史「分からないなら、いいけど。どっちにしても、神は君がなんか企んでるの気づいてるよ。神が責任感じてるのを利用するなよ」
語尾にドスを利かせ、怒りの篭った瞳で見られた。
この人は、〝何か〟から百目鬼さんを守ろうとしてるんだ。
マキ「ここに来たのは本当に偶然で、百目鬼さんを傷つけるつもりはありません、約束は2日後なんで、そしたら出て行きますから安心してください」
マキがニコリと笑う。
賢史はこちらの隙を伺うような目で見つめ、マキは賢史の瞳を真っ直ぐ見て微笑む。
賢史「ふーん。2日後ね…。まぁ、それ以上居るようなら、マキちゃんの事は俺が食べちゃおうかな?君綺麗だし、な?」
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賢史さんは、事務所に帰ると、『いやー、美人と食べる食事は格別だなぁー、神、またマキちゃんとデートさせろよ』と僕を気に入ったとアピールし、百目鬼さんは、『当人同士で勝手にやれよ』と、投げやりだった。
午後は、依頼人探しがてら、キーホルダーを探す。もう、長くはここにいられ無い。
いよいよ明日に迫ったクリスマスイブ。
人通りは更に増して、もう、キーホルダーは見つかりそうもなかった。
ーピロン♪
携帯の着信音、見ると、メールはむつからだった。
《修二から聞いた、何が恋人同士でイチャイチャしとけだ(♯`∧´)明日4時に待ってるからな、来なかったら迎えに行くぞ!知らないおじさんについて行くな!お菓子に吊られるなよ!(−_−#)。むつ》
小学生じゃないんだから…。
知らないおじさんって…、桜木さんはまだ20代なんだよ…。
むつ君相変わらず強引なんだから…。ってか修二も、僕がまた避けてると思ってんのかな…うーん。仕方ないなぁ…。
えっと、今年は僕も一緒に過ごす人が出来たから、行けませんよ♪っと、送信。
すると、返事が直ぐ帰ってきた。
《嘘つくな!本当なら写メ寄越せ!(♯`∧´)》
おう…むつ君賢い…。
桜木さんの顔はむつが見ちゃってるから無理だし、矢田さんと百目鬼さんはむつに見せるとマズイし…、檸檬さんに協力してもらうか?うーん、檸檬さん見た目がチャラいんだよな…、あとの男と言ったら…賢史さん?それもどうだろう?
悩んでいたらまた携帯が鳴った。今度は華南。
《修二に聞いた。傘を返しにおいでよ、ついでにケーキ食べよう( •̀ .̫ •́ )✧。華南》
まったく…、この人達は…。
ってか、僕が今こんな事になってるのは、彼らの傘のせいだ。
仕方ないので修二に、今、例の人の家に居候中、後2日居る予定だから慰める準備しといて♪
と送信した。
すると修二から直ぐに返事が…
《マキもその人も素直じゃないから、じっくりゆっくりね、マキは素直なら可愛いんだから、一生のうちその人と一緒に居る2日間だけでも〝素直に、ずっと一緒にいたい〟と言ったら?じゃないと本当にむつか華南が迎えに行っちゃうかもよ(笑)僕はいつでも家で待ってるけど。修二》
?…。
なんか修二のメールに疑問が浮かんだが、そこは、まさかな…と、スルーした。
それより、素直にずっとって…完全な仕返しじゃない…。
この子達3人に、今では敵う気がしない…。
彼らは、上手くいくと思ってた、だから修二に素直になるように言った。だって勿体無いじゃない、愛されてるのに…、嫌われると思ってるなんて…
さて、この子達からどうやって逃げよう…。
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