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番外編46ひと夜咲く純白の花の願い
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百目鬼『黙れッ!!!!!』
ッ!?
言いたい事言って電話を切ろうとしたら、鼓膜が破れるんじゃないかくらいの怒声が耳を貫いて、思わず固まった…。
百目鬼『ベラベラへらへら一方的に電話で済ますんじゃねぇーよ!!居場所を吐けっつってんだよ!!』
はえ??何でそうなるの??
マキ「やだ♪」
百目鬼『はぁああ!?ふざけんな!』
マキ「ふざけて無いです♪」
百目鬼『てめぇーは言葉じゃ分かんねぇんだよ!』
分からない?分かるでしょ、百目鬼さんそこまで察しが悪くないはずじゃん!
僕は振られた!
だから帰るって言ってんじゃん!!
再会しなきゃよかったって言ったじゃん!
百目鬼『話しが半端なんだよ、へらへら拉致があかねぇし、ちゃんと話ししてぇーから、ツラよこせっツってんだ!!』
マキ「フッ、中途半端じゃ無いよ♪、ちゃんと終わった。だからやだ♪」
百目鬼『ッ!このクソガキが!!へらへらふざけんのもいい加減にしろ!!』
何が半端なの?
意味不だよ百目鬼さん。
早く切らなきゃと思うのに、百目鬼さんの声を聞いていたいと思ってしまう。
泉の余計な言葉のせいだ…でも…
僕を心配してくれてる…ってこと馬鹿みたいに嬉しいと思う気持ちが、電話を切る手を躊躇させる。
馬鹿だ!押せ!電話を切れ!
百目鬼さんが心配してくれるのは何も知ら無い電話だからだ。
会ってしまったら、僕が飛び出した後何してたか知られる。
百目鬼さんはきっと、僕を軽蔑する!。
僕のこの気持ちは信じて貰えなくなる…
賢史さんにバラされるなり何なりするのはもうどうでもいい、僕の居ない所で、僕の知らない所で軽蔑して罵って嫌いになってよ!!
限界を迎えた感情が、熱い雫になってボロボロ溢れる。必死でへらへら取り繕った声を出してるけど…、心の中は破綻寸前…
その時。
電話の向こうで、バシン!っと破裂音のようなものがして、百目鬼さんよりはるかにドスの効いた野太い怒声が響いた。
?『ふざけてんのは貴様だ神!!!!』
ぅッッ…え??
誰?……。
百目鬼さんより迫力のある声の登場に瞳を瞬く。電話の向こうでは、百目鬼さんのうめき声が聞こえて、戸惑った僕の涙が引っ込んだ。
?『レディーに対して何て言い方しやがんだ野蛮人!!』
何??
誰??
百目鬼『ツッッ…てぇーな!!菫!!』
すみれ?……。
オカマバーの菫ママの事?
菫『貴様は先に言う事があるだろうが!!』
百目鬼『ッ!!』
ワオ…。獰猛な猛獣を一声で黙らせるその迫力。あの着物着た優しい菫ママなのかとビックリして、だけど確かにあのゴツくて大柄な体と野太い声ならこの迫力も納得だと感じた………。
あまりに唐突な展開に面食らってると、怒られてペショリとなったティーカッププードルと化した百目鬼さんの申し訳なさそうな可愛い声がする。
百目鬼『…ッ…ぁ…マキ』
マキ「…はい…」
百目鬼『さっきは俺が悪かった…。〝迷惑って〟そうゆう意味じゃなくてだな…、誤解なんだよ…』
でもそれは、僕の聞きたくない言葉だった。
……止めて…
百目鬼『あれはお前に…いや、すまん。お前にはまず…ちゃんと謝って世話になった礼を言わなきゃ…』
そんな言葉いらない…
礼とか、看病してもらったのにあんな言い方して悪かったとか、そんなのいらない!
百目鬼『お前には感謝してる…』
マキ「…やだ!」
百目鬼『は?』
マキ「僕は誤解なんかしてない」
百目鬼『マキ、あのな…』
マキ「僕は百目鬼さんが好きなんだ」
百目鬼『ッ!…』
マキ「僕の気持ちに百目鬼さんは答えられない。諦めろって意味の〝迷惑〟だってちゃんと分かってる。百目鬼さんは気にする必要ない、百目鬼さんはちゃんと返事をくれた、百目鬼さんは…間違ってない!」
百目鬼『ッ…』
マキ「看病したのも、〝僕が〟一緒に居たかっただけだ。〝僕の〟我儘だ。百目鬼さんはお礼なんて言う必要ない」
百目鬼『いや、だから…』
マキ「それとも、〝迷惑じゃない〟とか言うつもりなら、僕と付き合ってくれる?」
百目鬼『ッ…それは無理だ…』
マキ「でしょ?ほら、解決。振られた僕はお家に帰る♪。終わったでしょ?」
百目鬼『マキ…聞けって』
マキ「聞かない。僕、〝惚れ直しても好きだから〟」
百目鬼『は?』
マキ「僕、百目鬼さんに会ったら、我慢なんか出来無い、きっと…絶対襲うから!」
百目鬼『ぐっ…、お前は!!』
マキ「そう!淫乱だよ!我慢なんか出来ない!僕はそうゆうやつなんだよ!!襲われたくないなら、もうかまっちゃ駄目だよ!お礼とか、十分優しくしてもらったから!看病できて一緒にいる時間が増えて、僕は不謹慎にも嬉しかった、百目鬼さんの隣に居られた時間全部が幸せだったから、僕は満足だから。
(好きなんだ!
惚れ薬で別の人を好きになった後でも…
好きだったんだ!)
本当にありがとうございました!」
百目鬼『マキ!!』
ーブツッ!!!
ハァ…
ハァ…
切った!!
全部言ってやって切った!!
これで
おわ……
ーブブブブブブブブブ!!!
百目鬼さんから着信!?
やだよ!!
意味わかんないよ!!
けたたましく鳴る携帯の電源を長押しして、百目鬼さんの名前の表示された携帯の電源を、断腸の思いで落としてやった…
〝百目鬼さん〟
と、愛しい5文字が
僕の気持ちのように
暗闇に消えていった…
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