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番外編51ひと夜咲く純白の花の願い
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檸檬「いやぁー、マキちゃん来てからいい事だらけだなぁー。普通の依頼来るし、百目鬼さんは健康的だし。インフルエンザもすぐ治ったし!マキちゃんもウチの事務所で働いたら?」
杏子「それは助かりますね。接客のスキルも高いし、ちょこっと書類をやってくだされば私も楽になりますし、檸檬も探偵業が出来ますね」
檸檬「マジ!やった!。マキちゃんマジバイトとかしない?」
檸檬さんが酔った赤い顔ではしゃいで、杏子さんは飲み過ぎよって呆れたけど、それはいい提案ねって乗ってきた。
マキ「ふふっ、楽しそうですね」
百目鬼「おい、檸檬仕事は遊びじゃねぇーんだぞ」
矢田「そ、そうですよ檸檬さん!」
まぁ、百目鬼さんはダメって言うと思ったけど、矢田さんも僕のバイトを全否定。
だけど矢田さんの反対意見に檸檬さんが即座に反撃。
檸檬「えー、マキちゃんは、矢田ちゃんより優秀じゃん」
矢田「うっ、お、俺は運転できるっす!」
百目鬼「そうだ檸檬、飲み過ぎだ。仕事は遊びじゃない」
百目鬼さんは断固反対。檸檬さんはでもでもだってって酔った口調で繰り返しブツブツ言ってた。
嬉しいけど、僕が百目鬼事務所に入れてもらえることは絶対無い。
賑やかな食事は、矢田さんと檸檬さんが酔っぱらってしまった事で、終わりに近い空気が流れ出した。
僕はトイレに立ち、誰もいないトイレの鏡の前でため息を漏らす。1日中、気を張り続けて、少し疲れてた。
鏡の中のうさぎは結構可愛いいんだけどな。
だけどどれだけ可愛くしても意味がない。
僕の女装は百目鬼さんには効果がない。百目鬼さんはゲイで、女の子が好きなノンケじゃない。しかもミニスカートも背中の開いた露出の多いい服も嫌い…。修二みたいな健気系を好きなんだから確かに納得だ、今までもどこかイラっとしてたのは、女装とかミニスカートが嫌いだったからか…。
だけど、僕の女装は百目鬼さんのためなんだから…あんなに睨まなくても良くない?
矢田さんには、僕が男だってバレたけど、僕は女装する男好きだと認識してるはず…。ココにいる間は、矢田さんにそう思わせ続け、百目鬼さんがゲイだってバレないようにしてなきゃならない。まぁ、してなきゃって言っても、矢田さんが〝憧れの百目鬼さんが男を好き〟って思考にはたどり着かないだろうけどね。
…。僕の女装…、文化祭なんかでは凄く人気なのに…。百目鬼さんには男に媚び売る為の格好って嫌悪感にしかならない…、結局そこ止まりなんだなぁ…。
ふふっ、残念♪。
鏡の中のうさぎに笑いかけ、トイレから出たら、そこには賢史さんがいた。
ちょっと驚いたけど、僕も聞きたい事があったから丁度いいと思った。
賢史「長かったな、泣いてたのか?」
マキ「ふふ♪、何の用?」
賢史「そろそろお開きになりそうだろ、お前どうすんの?まさか神の所に行こうとか考えてる?」
マキ「ハハッ、見てれば分かるじゃん♪無理無理、それに僕は帰るって言ってるでしょ?僕は帰りたいの。ねぇ、賢史さんでしょ、僕の居場所教えたの」
賢史さんは、流石察しがいいなぁといった風に、ふーんって顔をした。
まぁ、そうだと思ったけど、それはどうでもいいんだ。僕にはもっと大事なことがある。
マキ「あのさ、一つ聞きたいんだけど、真面目に答えてよ。そしたらあんたや百目鬼さんの前には2度と現れないって約束する」
賢史「………なんだよ」
顔を顰めた賢史さんは、僕に不審な目を向ける。信じてないって顔だ。
マキ「僕の〝探し物〟は持ってるの?持ってないなら、どうすれば返してくれる?」
賢史「…あれがそんな大事か?」
マキ「ねぇ、持ってるの?持ってないの?」
賢史「…あれは、区役所が保管してる。巣の撤去は区がやったからな、紛失届けの品以外は全部区役所に行けば見つかるはずだ」
…、そうなんだ…。
賢史さんは持ってないと分かったけど、区役所へ行けば良いのだと分かって気持ちが一気に浮上した。
マキ「ありがとう♪」
ニッコリ微笑むと、賢史さんは不審で不思議そうな顔をした。
賢史「あれがそんな大事か?だいぶ汚れた代物じゃんか」
マキ「物の価値は人それぞれじゃない?大量生産品だろうと何だろうと、僕にとってはアレしかないからね」
賢史「…まぁ」
納得したような納得しないような顔。僕には賢史さんが納得したかどうかなんてどうでもいい。
区役所明日やってるのかな?
一度帰って明日取りに行こう。
そうしよう。
マキ「約束通りこのまま消えるから、僕は帰ったって皆んなに言っといて♪」
僕はVIPルームではない方に行こうと足を向ける、すると賢史さんが急に僕を引き止めるように肩を抱いてきた。
賢史「…。送ってやろうか?」
マキ「ふふ♪、そこ、僕が頷くと思う?」
バカじゃないのって意味で、至近距離で見つめてニッコリ微笑むと、賢史さんは可笑しそうに笑う。
賢史「いやぁ、肝の座った女王様だと感心するよ」
マキ「どうも♪」
賢史「俺はどっちかっていうと気の弱い方が好きだけど、お前見てると何か自分に従わせたくなるわ」
マキ「あは♪それば絶対無理♪」
賢史「へらへらしながら、生意気だけどツンツンするわけじゃなくて、頭もキレるし度胸もある。真ん中に折れない柱が一本凛と立ってて、いくら揺さぶってもブレねぇからワクワクするわ。なぁ、今晩俺ん家泊めてやろうか?可愛くするなら慰めてやっても良いぜ?」
口説くみたいに耳元で囁いて、僕の露出してる肩をいやらしく撫で、反対の手でチョーカーのリボンをエロい手つきで撫でた。
マキ「…あは♪賢史さんが僕を慰めてくれるの?…」
この人、超ふざけてる♪
へらっと笑いながら、さすがにイラっとして仕事モードのスイッチを入れようとした…
その時。
「オイッ!!」
僕たちの横から強い口調の言葉が飛んできて、ビックリした。
振り返ると、そこには仁王立の百目鬼さんが不機嫌MAXで立っていた。
え?!百目鬼さん!?
気づかなかった。聞こえた?いや…、聞こえてて不都合な話はしてない…はず…。
会話を振り返ってみたけど、キーホルダーって単語は言ってない…多分大丈夫。
百目鬼さんは、その鋭い眼光で僕を抱き寄せてる賢史さんの左手をチラッと見て、それから僕に視線を向けてギロッと睨んだ。
百目鬼「お開きだ、帰るぞ」
マキ「あ、うん。分かった」
檸檬さんだいぶ酔ってたもんな。
時間も時間だし、解散するんだとホッとした。
ずっと一緒にいたかったはずのなのに、百目鬼さんと同じ空間にいるのが辛い…。
これでやっと、先生の家に帰れる…。
帰ったらお風呂に入ろう。
広いお風呂に潜って疲れを取って…
それから…何しよう…
先生も泉も帰省してる…。
今日から年始過ぎの数日間一人きり。
そうだ、桜木さんに電話しよう。
桜木さんに今日のこと謝って、後日マッサージでもしてあげよう。
僕は百目鬼さんに返事だけして、賢史さんに抱かれたままでいた。
次の瞬間。
百目鬼さんの手が急に僕の腕をガシッと掴む。
マキ「はぇ?」
意味が分からず変な声が出た僕に、全く構うことない百目鬼さんは、酔っているのか体温が高く、掴まれた腕が熱い。僕を不機嫌に睨みつけながら賢史さんから引き剥がし百目鬼はん側へ強引に引き寄せた。
なッ!?
賢史「!」
僕も、賢史さんも凄くビックリな行動。
百目鬼さん側に引き寄せられて、一気に混乱状態に陥った僕を、熱い百目鬼さんの手がキツく掴んでる。百目鬼さんは僕を睨むように見下ろしながら低く唸るように言った。
百目鬼「俺と帰るぞ、マキ」
は!?!?
帰る??!!
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