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番外編68ひと夜咲く純白の花の願い
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修二は、僕の好きな人が百目鬼さんだと気づいてた。
まぁ、気付いてるだろうと思ってたけどね。
修二は、1度も相手の名前を聞かなかった。
心の中に守るものの多いい修二の性格からすれば、他人の詮索を無闇にしない。って説明でも納得はいく。だけど、僕と修二は似てる。僕に修二の想い人が直ぐ分かってしまったように、修二にも分かってしまうのだろう…。相手が誰か検討が付いたから聞かなかったんだ。
バレたのは恐らく…、卒業祝いで僕のマンションに来た日。不覚にもむつの発した百目鬼さんの名前に反応してしまった時だろう…。
修二が僕に何かアドバイスする時、まるで相手のことを知ってるかのようなニュアンスが混じっていたのが気になってた。
『2人共不器用だから…』
マキ「…ふっ、違うよ」
修二「マキ」
マキ「もう、終わったから」
修二「…、終わってないから僕の所に来たんじゃないの?」
マキ「んー、難しい質問だな。最初は慰めてもらいに行こうかな♪って思ったけど…、なんか…、今修二たちと一緒にいたら襲っちゃうな♪って思ってぇ」
修二「…」
マキ「携帯解約したのは、別に君たちを切る為じゃないよ。まだ新しい携帯買ってないだけ。僕さ、決断するの遅いの。だからどの機種にするか決まらなかった。だから迷うものは目に見えるとこに置いときたくないんだよね。メモリーに彼の名前があるのもダメ…、だから携帯は解約した」
そうしないと、置いてきたお金のことで電話がかかってきても困る。
マキ「僕さ、諦めが悪い性格だから、断ち切らないとまた手を出しちゃうんだ…。修二だって分かるだろ?ダメだと思いながら12年もむつを好きだったんだから」
修二「…うん」
マキ「僕は、初恋を諦める為に、じい様頼って海外留学した」
修二「えっ!?…それで1個ダブったの?」
マキ「まぁ、他にも面倒くさいこと色々あったけど、全部捨ててきた。じい様は一緒に暮らせて大喜びだし、海外はアレが大きくて気持ちいし♪」
修二「…マーキー」
チャラける僕に、修二が話題を戻そうとするけど、僕としては、このまま修二に引き下がってもらいたい。
今日の今日だ、まだなんの整理もできてない。
マキ「ふはッ、修二ってエロエロなのに下ネタ嫌いだよね♪」
修二「マーキー!」
マキ「はいはい。今日はちょっとパァッとヤりたくなっただけ、さっきの奴らは〝調教師マキ〟を奴隷にしたいとか言うから、お仕置きしようとしてたの。まぁ、僕は対抗策尽きてピンチ気味だったのは認めるけど、あんなの昔はしょっちゅうだったし、ああいう頭の足りない奴はフェラしてガブッと噛み付けば済む話しだし、災厄突っ込まれても……」
饒舌に言った言葉が行き過ぎて、ヒヤリと刺すような視線を向けられてることに気付いた。
しまった。強姦ネタは修二にしちゃまずかった。
マキ「あぁ、酔ってちょっと喋りすぎた…」
目の前の修二が、無言で滅茶滅茶怒ってるのに気が付いた。
今の僕は頭の回転が鈍い。修二相手じゃ不利だ。
マキ「分かったよ。帰って寝るからさ、話しも説教も明日にしてよ。流石に今日は疲れた…」
修二「…僕はそれで構わないけど、むつは黙ってないと思うよ」
マキ「君の彼氏だろ、なとか上手いこと言っといてよ」
修二「キレたむつは、僕の話しも聞かないよ。マキなら分かるだろ?」
むつも中々獰猛な獣だからなぁ…確かに無理かも…。このままドロンしようかなぁ…。
そうこう考えていたら、修二の携帯が鳴った。携帯の表示を見た修二が首をかしげて電話に出たと思ったら、受話器を取った途端真っ青になった。
修二「あ、兄貴…」
兄貴?奏一さんから?
修二「どこ、と言われましても…、初めての場所で名前が…、えっ?近くまで来てる!?なんで??うえ!?〝匿名〟のタレコミ?なにそれ。あっはい、すいません。えっと…近くに見えるもの?あー…ちょっと先にカラオケ屋が……。あっ、切れた…」
マキ「修二、ここがどんな所か知らないで来たの?」
修二「知らないよ、近所の人がマキがよくこっちの方来てるって」
マキ「お兄さんが怒るのも無理ないよ、ここら辺ハッテン場だから」
修二「は?」
マキ「ゲイのハッテン場があるんだよ」
修二「ええ¨っ!!」
修二が金魚みたいに口をパクパクしてる。
あぁ、修二みたいな純粋ちゃんには刺激の強い場所だね。百目鬼さんは修二をこういう場所には連れてこなかったんだね。修二みたいな右も左も分からない癒し系は格好の餌食だ。悪い虫が群がる。百目鬼さんは修二を大事にしてたんだな…。映画館に水族館…まともなデートコースだったもんな。
僕みたいに、ハッテン場で相手見つけてホテルでセックスするだけじゃないもんな。
マキ「修二もさっさと帰りな、兄貴にシバかれるよ、あの人厳しそうだもんね」
修二「もう遅いよ。シバかれ…ッッ!!マキ!!!」
突然修二が叫んで、背後に気配を感じて避けると、瀧本が空気を切ってこちらをギロッと睨んだ。その次の瞬間懐に隠してた刃物を振り上げた。
「キャー!!」と、周りにいた人の声が響いてそこら中の人が僕達3人に注目する。
騒ぎになってしまい周りが慌てる中、状況がスロー再生されれように僕には写って、ナイフの軌道を冷静に見てかわす。が、ナイフは僕の服に引っかかり切り裂いた。瀧本の血走った目がニヤリと笑う。彼は興奮と酔いとで現状を冷静に判断できてない。騒ぎになれば不利なのは自分なのに…
慌てた修二が、僕と瀧本の間に止めに入ろうとして、それが目に入った瀧本のナイフが、標的を修二に変えた。
ザワつく周囲に反して僕の頭は冷えるように冷静だった。それは、瀧本が僕の1番嫌いなことをやろうとしたからだ。
ーガシッ!!
瀧本「は!?」
修二「ッ!!」
マキ「僕のものに手を出すなんていい度胸してるな」
それは、マキが修二と初めての出会った時、修二に言った言葉。
マキは、瀧本の振りかざしたナイフの刃を掴んで動きを封じる。今までヘラヘラしていた表情からは想像が付かないような冷えた瞳で瀧本を睨みつけ。瀧本がどんなに力を入れても、その腕は動かない。
修二はマキの行動にゾッとして、その刃を握りしめた手をなんとかしようとしたが、ナイフを掴んだマキは眉すら歪めず、見るものを凍らすほどの怒りでナイフを持つ瀧本の腕を封じた。
しかし、瀧本にはまだスタンガンが残っていて。それを取り出そうとした手に修二が掴みかかる。
修二の目の前で、マキの手から血が滲み出した。
真っ赤な血にゾッとして、修二は心の中で、兄貴でも!華南でも!むつでも誰でもいいから〝早く来て!!〟と叫んだ!。
ーゴッ!!
鈍い音と共に、瀧本がふらりと崩れて地面に沈んだ。
マキと修二は倒れた瀧本に目をやる、瀧本は完全に白目をむいていた。
そして、瀧本の背後に立っていた人物に目をやる。
マキは、気づかれないようにサッと手を後ろに隠した。
その人と修二の目が合った瞬間「大丈夫か!?」と大きな声に修二はビクッとした。
心配した怒鳴り声に驚いて、あまりの慌てぶりに修二も僕も目を見開く。
「修二!怪我は?!」
修二「…」
マキ「…」
それと同時に、道の向こうから、むつと華南が走ってきて、マキと修二の目の前の人物に驚き、むつは怒りをあらわにした。
むつ「てめぇー!!どっから湧きやがった!修二に触んじゃねぇ!!百目鬼!!」
僕の瞳に映る、修二を心配する百目鬼さん。
真剣な瞳で必死な横顔。
僕と修二を助けた百目鬼さんは、むつの敵意むき出しの怒声に、心配して修二に出し掛けた手を引っ込めた。
現状は複雑だけど、僕は素直に思った。
〝大切な人〟を守った百目鬼さんの姿は、凄く凄くかっこいい……って……
……。
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