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番外編83ひと夜咲く純白の花の願い
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修二の普通の表情。
幸せそうな顔。
見るまでは複雑だったのに、怯えない修二を見れてホッとしたような…
ただただ、〝幸せそうでよかった〟と、思えてる自分が不思議な感覚…
修二「百目鬼さん、話したい事って?」
まっすぐ、俺を見つめる修二に、なんだか胸がつまる。
百目鬼「すまん。これが自己満足の行為だって分かってる。今はお前が幸せならそれでいい、お前らの邪魔をしたりとかそんなことは考えても無いから安心してほしい。ただ話がしたかった。俺の身勝手だ…」
修二「分かるよ。僕も話したかった。僕達は一度もちゃんと話しをして来なかった。いつも誤魔化して、繋がりで穴埋め出来てるって思ってた。僕も百目鬼さんに聞いてみたい事があったし…」
ドキッとした。
何を聞かれるか想像がついてる。
百目鬼「…何だ?」
修二「…どうして、友達を呼んだの?…」
それは、監禁した初日。
知り合いを呼んで修二を輪姦した事だ。
説明を求められ、俺は謝り倒した。俺には謝罪しかできない。
そしてゆっくりと説明した。
俺の身勝手で傲慢な心の内を…
当時、修二と関係して半年ほど経ち、修二に好きだと告白したが、修二は受け入れてくれず。信じてもくれなかった。
俺が好きなのは奏一で、自分は代わりだと、慰め合うのも止めようと俺を切ろうとした。
むつに告白するつもりかと聞いたら、「それは絶対にしない、むつのことは諦める」と言ってきたのを聞いて。俺でもむつでもなく他の男を選ぼうとしてると頭に血が上った。
関係を解消させないために、修二を陵辱して言うことを聞かそうとしたが、修二は首を縦には振らない。
知らない誰かにやるなら知ってるやつのほうがマシだと思った。
だが、俺の身勝手な行動が全てを破壊した。
俺の時はよがってた修二が、俺の仲間にペニスを突っ込まれた瞬間、泣き叫んだ。
泣き叫ぶ修二を見て、俺は我に返った。
全て壊れた音がして、俺はやってはならないことをしたと気付いた…。
だが、目の前の泣き叫ぶ修二が求めるのは〝むつ〟の名前。
後悔も胸の痛みも全て怒りに変わった。
今引き帰しても、修二は俺から離れていく…。それしか頭になくて、調教して俺しかいらない体になればいいと、修二を監禁して調教した。
全ては、修二の心をむつから奪いたいがため…
全ては、修二を丸ごと手に入れたかったから…。
奏一じゃなく、修二を好きだと信じて欲しかった。
半年頑張ったが、むつに勝つことは出来なかったし、奏一じゃなく修二を好きだとも信じてもらえなかった。
体を落とせば心も付いてくるなんて安易な考えで修二の体を開発した、修二は俺のだと、俺の身勝手な傲慢さが、修二の心に大きな傷を付けた。
好きだったはずなのに、最後は泣かせてすがらせることしか頭になかった。
奏一が修二を救出して、制裁を食らって入院したベッドの上で、俺は気付いた。
俺の欲が全てを不幸にしたんだってこと。
好きで好きで仕方ない筈の修二を傷つけ。
好きだった筈の奏一を踏みにじり激高させ。
仲間に憎しみの種を蒔き。
何もかも失った。
仲間も、親友も、好きな人も、全部不幸のどん底に引きずり込んだんだと………。
そんな悲惨過ぎることをしたのに。
心に残ったのは…、
修二が好きだと言うこと。
初めは、話を聞ければ良かった。
気晴らしに出かけて、笑って欲しくて甘いものを作れるように練習しり。修二がむつを好きでも、頼って相談してくれることが嬉しかった…、初めはそれで満足してた筈だった…。
強姦したような男を許し、隣にいてくれる修二が愛おしかっただけだった…
好きだったんだ…………
修二の心が壊れていくのを一週間喜んでた。
俺しかいなくなればいいと…
俺の手でとろけていく修二が俺を好きになると錯覚していた……。
修二「…」
修二の気持ちを考えない、俺の身勝手な話を修二は全部黙って聞いてくれた。
修二にとっては気分の悪い話だ。
だが修二は、最後まで俺の気持ちを…、当時口にできなかった気持ちを全部聞いてくれた。
修二「…正直、今でも男たちに囲まれた夢を見てうなされます」
百目鬼「ッ!」
修二「だけど、起きた時目の前にいるのは、むつと華南の心配そうな顔で…、うなされた僕を2人で抱きしめてくれます。
僕的には、夢に見るって言っても内容は起きると忘れてるし、普段甘えたりとか出来ないから、2人に甘やかされたりして得だなって思うくらいで…」
百目鬼「…まだ、全部預けられないのか?」
修二「ううん、そうじゃないよ。僕が甘えるより先に甘えて来いって言われると行きづらいって言うか…。心臓がもたないって言うか。まぁ、僕が行かないからむつと華南が痺れを切らしちゃうんだけどさ、いいんだ僕は。〝先は長いからゆっくりやるよ〟」
百目鬼「先…」
修二「ふふ、先はまだまだ長いからね、ちょっとずつお互いに歩み寄るよ」
百目鬼「…付き合ってもう1年半もするのに、むつや華南に言えないことがあるのか?甘えられないのか?お前はそれでいいのか?」
修二「…百目鬼さん、僕、幸せだよ。確かに前は言えないことや言いたくないことだらけで悩んだりもしたけど。華南は、僕の悩みや秘密ごと受け止めるって言ってくれた」
!?
悩みや秘密ごと?
修二「むつは、少し百目鬼さんに似た考えだから、全部見せろって言うけど。今は、少しだけ待ってくれるようになった。付き合ったら付き合ったで、今までと関係が変わったし。お互い悩んだりもしたけど、僕らは三人だから、それぞれの意見を聞いたりして、丁度いい所を探しながら上手くやってるよ」
百目鬼「…そうか…」
話しながら、はにかむ修二。そんな修二は見たことがない。昔、むつのことを話す時は、いつも諦めたように、どこか苦しげに語っていた。
今の修二は、嬉しそうで幸せそうで…、むつが、去り際に言ったことを果たしているんだと実感した。
『俺には覚悟がある!!』
引きずっても離さないと前に進むむつ。
傷つけないように包んで守ろうとする華南。
お互いが足りない部分を埋め合って、お互いを支えて、成長しようと叱ったり励ましたり。
修二の顔が生き生きしてる。
俺の見たかった修二の顔が、ココにある。全て、むつと華南の手によって生まれてる。
百目鬼「俺と出会わなければ…、もっと早く幸せになれたのにな…」
修二「たらればはいくら話してもキリがないし、起きたことを無くすことは出来ない。でもね。僕、百目鬼さんと出会ってなければむつと華南と一緒に暮らす今は無かったと思う」
百目鬼「は?俺に会わなきゃ、綺麗なままむつといられたろ」
修二「…百目鬼さんと出会う直前に、むつで夢精したことがあるんだ。その時、自分はむつを汚したと思って、限界だった」
百目鬼「…」
修二「百目鬼さんに襲われて、でも、百目鬼さんも好きな人が居て、耐えかねて暴走したのを聞いた時。自分の姿だと思ったんだ、百目鬼さんのしたことは、僕がむつにやったかもしれないことだって…。そして、百目鬼さんは、僕に〝人を好きになるのは自由だ〟って教えてくれた。夢精やエッチなこと考えるのも、普通のことだって教えてくれた。あの言葉が無かったら、中学生の僕は全部投げ捨てて逃げたと思う。男を好きなことにも、友達を汚い目で見てることも、騙して偽って生活してることにも疲れてた…」
百目鬼「…お前は汚くなんかない…」
修二「あの時も百目鬼さんはそう言ってくれた…。それに今日、百目鬼さんの気持ちを全部聞けてよかったよ、そんなに好かれてるって思ってなかった」
百目鬼「…全然、伝わってなかったんだな」
修二「ふはっ、伝わらないよ、僕ちゃんも百目鬼さんも本当の気持ちなんか言ったことなかった。お互いのことじっくり話したの今日が初めて?ってくらいだよ。あんなに一緒にいたのに、お互い本音は言わなかった。だから百目鬼さんの告白も信じられなかった…。ごめんね」
百目鬼「修二…聞いてもいいか?」
修二「うん」
百目鬼「俺が告白した後、お前が俺に、『自分がどんな顔してシてるか分かってない、目を逸らしてる』って言ったの覚えてるか?」
修二「うん、覚えてるよ」
百目鬼「あれは、どういう意味だった?、俺はどんな顔してた?」
修二「百目鬼さんは、僕とする時、いつも
〝泣きそうな顔してたよ〟。
百目鬼さんは僕といてもいつも苦しそうだった、だから、自分が本当は何がしたいのか、目を逸らしてることに目を向けて欲しかった」
百目鬼「…………………………」
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夕日が沈み出す。
窓辺からそれを眺め、
左手の包帯を解いた。
傷口はふさがり初めている。
百目鬼さんの心は、修二が開放してくれる…。
修二にしかできない…
そして軽くなった心で、
好きなように周りを見ることが出来る…
…よかったね百目鬼さん…
これで…少し楽に息が出来るようになるね…
軽くなったら好きなところへ行けるよ…
良かったね百目鬼さん…
百目鬼さんの心は…
修二にしか開放できない…
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