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番外編88ひと夜咲く純白の花の願い
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泉「全く、何をやってるんですか。魔性の調教師と言われた人が聞いて呆れますね」
泉に全て話したら、超怒られた。
特に、ナイフの手掴みの辺りは相当罵られた。
百目鬼さんと寝てるのもバレてた。
「寝たのに落とせなかったんですか?望みないですね。もう諦めたらどうですか?」と、激辛コメント付き。
マキ「冷たいー。だってぇ〜♪♪…僕も男の子だもん♪好きな人を前にしたら我慢なんか出来ないしぃ♪ほらぁ、僕ってばセックス依存症じゃなぁい♪これでも最初はすっごい頑張って我慢したんだよぉ♪♪可愛い可愛い迷子の子犬ちゃんがプルプル震えてたらほっとけなくてぇ♪慰めてたらムラムラァっとしちゃってぇ♪でも百目鬼さん真面目だからぁ…」
僕がおちゃらけて喋ってると、冷めた瞳の眼鏡が僕をバッサリ切り落とす。
泉「気色悪い。頭の悪い喋り方は辞めて頂けますか?要するにどうするんですか?」
マキ「えへへ♪〝保留♪♪〟的な♪♪」
泉の眼鏡がギラッと光る。
泉「……そういうのは、辞めたんじゃないんですか?」
マキ「うふふ♪辞めた♪。〝あの人〟とは違うよ、子犬ちゃんはちゃんとしようとしてくれてるんだ、でも僕が跨って食べちゃった♪」
泉「では、貴方のやってることは、〝あの人〟と変わらないですね。マキは百目鬼さんの気持ちを無視してセックスを強要てるんですね?」
マキ「!?」
泉の冷ややかな目は、僕が目を逸らしてることを真っ直ぐ見つめる。
泉は僕にとってお父さん的存在。
僕のことを理解してくれながら、決して甘やかさない。泉は悪いことは悪いとハッキリ言う、暖かくて優しい修二たちとは違う。
僕は正直な泉が好きだ。だからつるんでるし、僕の事も話す。
泉「百目鬼さんがちゃんとしようとしてるなら、貴方もちゃんとするべきでは?」
……分かってる…。
分かってるけど我慢出来ない。
百目鬼さんに触れたい…抱きしめて欲しい…
快楽でうやむやにしなきゃ、僕は側に居られない…
マキ「泉が…きっかけ作ったんじゃないか」
泉「おや、私のせいですか?」
マキ「だって…僕と百目鬼さんが上手くいかないのは…泉だって分かってたろ…」
泉「……貴方と百目鬼さんは迷子の猛獣同士ですからねぇ」
マキ「なのに…、どうして迎えに来てくれなかったの?」
拗ねたように口を尖らせると、泉は小さい子を相手するみたいに呆れた瞳で答える。
泉「荒れ方が酷かったもので、そんなに荒れるなら本人にぶつかってきたら良いと思っただけですよ」
マキ「…無責任だ」
プクッとほっぺを膨らませて抗議したが、泉はため息まじりに諭す。
泉「貴方のやってることの方が無責任ですね。当たって砕けろぐらいには思いましたが、まさか過ちを繰り返すとは思いませんでした。お馬鹿さんですね。まぁ、今回は自業自得。どうせ、本音も言わず、我慢すれば良いとでも思ってるんでしょ」
まるで見てきたみたいな言葉のオンパレード。泉は本当に怖い。
泉「〝今回は〟お人形みたいにしてれば愛してもらえるなんて馬鹿なことは考えないことです」
マキ「百目鬼さんは…、僕に優しくしてくれて、僕を見ようとしてくれてる。百目鬼さんは悪いことなんか一つもしてない…、僕が我慢できないのがいけないんだ…」
泉「…となると、だいぶ無茶な事してるんですか?全部チェックしますよ。マキ、脱いでください」
マキ「あはは……」
体中の歯型と中の腫れ具合を見たら、また怒られるんだろうと思うと、乾いた笑いが漏れた…。
泉「馬鹿だろ…」
リビングで僕の全裸を見た泉が、ついに言葉遣いが乱れた。
色白の肌には、痛々しく見える傷ばかり。
百目鬼さんの歯型、手首の痕、二箇所の青痣…、さらに手の切り傷。
そして、後ろが赤くなっていた事。
泉「足開いて、中に傷が無いか触りますよ」
マキ「無いと思うよ♪自分でも触ってみたし♪」
へらっと言ったら、乱暴に指を突っ込まれ、気遣いの欠片もない指がぐるっと中を一周した。
マキ「ッ!もっと優しくしてよ、もう…」
拗ねる僕に、泉は無視を決め込む。
泉「傷は無さそうですが、腫れ気味じゃないですか、手当はしたんですか?」
マキ「百目鬼さんがちゃんとしてくれたよ」
泉「左手は?」
マキ「左手は平気、関節のところだから治りズラいって言われたけど、左手はぜーんぜん使わないでおいたからもう塞がるよ♪」
僕が左手を見せると、泉の綺麗な指がそっと触れ、包帯を解いた。
泉「…、確かにもう塞がりそうですね」
マキ「今回は頑張っていい子にしてたよ♪」
泉「百目鬼さんが居たからですか?」
マキ「いつまでも居られても困るし」
側にいたら、襲っちゃう。
それに、彼はちゃんとしたいんだ。
百目鬼さんは修二と話せて変わろうとしてる。その邪魔を、僕はきっとしてしまう。
泉「……我慢できない?」
泉の言葉にフフッと笑って、ペロリと舌なめずりする。ソファーに座ってる泉の首にしなだれるように巻きつき甘えた声で囁いた。
マキ「そうそう♪だからさぁ…、今夜は泉が僕の相手してぇ♪♪」
泉「…」
マキ「いいでしょ〜?久々に♪♪」
泉「僕にかまってる暇があったらさっさと落としてきたらどうですか?魔性が聞いて呆れますね」
マキ「そんなこと言ったってぜーんぜん落ちないんだもん、僕のお色気もダメだし優しくしてもダメだし〜〜」
泉「フッ、そりゃ凄い。とりあえず、左手に薬を塗りましょうか」
巻きついた僕の左手を取り、塞がりかけた傷に触れる。
泉「綺麗に治るといいですね」
マキ「ふふ♪大丈夫♪。僕、若いか……!…」
言いかけて、気が付いた。
窓に人影が映ってる。
その人影は、全裸で泉に抱きついてる僕を見ていた。
僕は、泉に抱きつき怪我した左手を泉に触れられてる体勢で…
窓に写る彼は、僕をジッと苛立った瞳で見つめていた。
振り返ると、そこには買い物袋を手にした百目鬼さんが立ってた。
マキ「……。お帰りなさい♪、百目鬼さん♪」
ニッコリと微笑んで声をかける。
百目鬼「……なにやってんだ?」
低く静かで不機嫌な声。
さて、いつから立ってたいたのか。
マキ「あは♪身体検査♪怪我し過ぎたからね♪全部報告中♪」
百目鬼「…そうか」
静かに答えた百目鬼さん。
百目鬼さんが今、何を考えてるのかだいたい想像がつく…
僕が泉を誘ってるように見えたんだろう。
どこかピリつく空気に、泉は視線だけ百目鬼さんと僕を交互に見て、冷静に伺ってる。
泉「こんばんは、百目鬼さん」
百目鬼「…こんばんは。邪魔したみたいで悪かった」
泉「いえ、もうほぼ終わりました。左手に薬を塗れば終了です」
百目鬼「…そうか。先生様も帰ってるのか?」
泉「いいえ、怪我の事が気になって、私だけ先に帰ってきました。でも、たいした事ないみたいなので、私は自宅に帰ります」
え!?泉帰っちゃうの?
僕が驚いて泉を見ると、泉は〝あとは当人でやってくれ〟とでも言うように目を逸らし、帰り支度をしだした。
この状態でも放置とか。
さすが泉。
百目鬼「ここに住んでるんじゃないのか?」
泉「いいえ、私は水森家本宅の離れに住んでます。良かったら今度はマキと遊びに来て下さい、お茶を立てておもてなしします」
そう言って泉は綺麗で品のある会釈をして、立ち去った。
残ったのは、全裸の僕と、百目鬼さん。
…………さて、どうしたものか。
百目鬼さんは僕らの話を聞いていたのか?
それとも僕が全裸で泉に抱きついていたのを不節制と呆れたのか…、はたまた両方か…。
少なくとも、機嫌は悪い。
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