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百目鬼から見たマキ…
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マキ「凄かった凄かったね!ちょー綺麗だった!!」
イルカショーが終わって興奮冷めやらぬマキが、身振り手振りで大興奮。
マキ「イルカすっごい可愛いね!頭もいいし、最後のジャンプすっごい高さで水しぶきがザパァーと広がって、プールがあんな風にキラキラライトアップされてて♪僕もイルカと泳ぎたぁいなぁ♪そんでイルカにスイーっと乗ってこうやってイルカサーフィンして!ザバーンって飛び出してジャンプしたい!」
百目鬼「おい!転ぶぞ!」
お嬢様風の女装してるのを、すっかり忘れてはしゃぐマキは、ショーの会場の階段に差し掛かっても手を広げて話に夢中。一緒に見た俺に一生懸命説明する姿は、まるで小学生低学年。俺はマキの手を掴み、手を引いて階段を下りる間も足元なんか見ちゃいない。
確かに、1年半前の夏に来た時と違って、水族館は進化していた。水槽がライトアップされ、幻想的な雰囲気のショーに加え、滝のようにシャワーを上から流して描く模様で、見る楽しさが増えていた。
俺も水族館の進化に感心していたが…
マキ!、頼むから足元を見ろ!
マキ「そんでさ♪そんでさ♪、わっ!!」
百目鬼「バカ!」
案の定、最後の段差でマキがカクンと挫いて転びそうになり、百目鬼が繋いでいた手を瞬時に引いて抱きとめる。
百目鬼の胸に飛び込むような形になり、腕の中にすっぽり収まったマキは、ペロッと舌を出した。
マキ「てへ♪ごめん百目鬼さん」
百目鬼「アホ!」
ベチッとおでこを小突かれたマキは「イテっ」っとおでこを押さえ、俺を見上げたかと思ったら「テヘペロ♪」なんてふざけて悪戯っぽく笑った。
俺は眉間にシワを寄せ、低い声で尋ねる。
百目鬼「足は?」
マキ「うん、何ともない」
ケロっとしてるが、怪しいので睨み付ける。俺の険しい表情に、マキは周りの視線に気がついて、俺にもたれるように抱きつき、綺麗な淡いピンクのネイルの施された細い指で俺の眉間のシワに触れた。
マキ「百目鬼さぁん、ありがと♪」
百目鬼「ッ」
マキは俺のシワを伸ばし、そのまま俺の首に腕を回して抱きついて、耳元で甘く囁いた。
マキ「百目鬼さんが早く来てくれたから最後の回のショーに間に合った、とっても素敵で見れて嬉しかった♪
ありがとう百目鬼さん♪。大好き♡」
百目鬼「ッ!!」
余りに唐突の甘い告白。
悪戯っぽく艶を含んだその声に、一瞬体の熱が湧いた。
慌てて引き剥がそうとしてマキの顔を見たら、妖艶に目を細めニヤリと笑ってやがった。
こいつ!
マキ「駆けっこ僕が負けたから、なんでも命令して♪ご主人様♪♪」
艶めかしく腰を擦りつけ、見えないはずの尻尾が誘惑するように俺の腰にまとわりつく。
一瞬で、子供から妖艶な大人なの表情に変わる。黒のカラコンをしてないから、ジュピター色の瞳で妖艶差も誘惑の威力も倍増…
危なく傾きそうな理性を立て直し、低い声で牽制した。
百目鬼「…………なら、その卑猥なフェロモンしまっとけ」
マキ「はーい♡」
軽い返事で離れたマキは、てくてく俺の先を歩く。
油断も隙もありゃしない…、水族館に入った時はあんな可愛かったのに、もう憎たらしい淫乱エロガキになりやがった。
不本意に早鐘を打つ心臓を、マキに悟られないよう、不機嫌な顔してマキの後ろを歩く。
水族館に着いてからずっと絡まって繋いでいた手が離れ、わずかにホッとした。
このままでは誘惑に負ける。
2人は離れて歩きながら、お互いの機嫌を伺っていた。
百目鬼のテンパりに、残念ながらマキは気付かない。
マキは、なんでもないフリをしながら、「怒らせたかなぁ」と不安になりつつ、後ろを歩く百目鬼の様子をチラチラ確認して歩く。
なぜなら、マキはマキで、今日一日中テンパりっぱなしだからだ。
マキ(もう!百目鬼さんいちいちドキドキするからやめてほしい!、可愛いし!ライオンだかティーカッププードルだかはっきりしてよ!抱きとめるとか反則なんだよ!マジ勘弁してよ!)
マキの心の声は聞こえないが、百目鬼の様子をチラチラ見るマキの後ろ姿は、見えないはずの猫耳と尻尾が不安からシュンと項垂れ下がり、哀愁を漂わせる。
百目鬼(クソッ!可愛いなんて思って損した!からかってきやがって。その猫耳と尻尾を止めろ!理性がもたねぇよ!普通にお礼が言えないのか!下ネタ挟まないと普通に喋れないのか!ひねくれ者が!)
幻覚にまで文句を言う始末。
百目鬼もマキも、お互いの本当の胸の内を明かすことなく、少々のすれ違いのまま、水族館のあちらこちらに貼られたポスターが勧める、冬季限定イベントエリアに差し掛かった。
それは3Dプロジェクターを使った、室内のペンギンコーナーに、オーロラを作り出す、幻想的な空間。
マキ「うわぁぁ♪♪」
百目鬼「…」
マキも百目鬼も立ち止まり、その美しさに見惚れた。
薄暗い会場に、エメラルドやグリーン、ワインレッドやイエローといった何とも言えないオーロラカーテンが広がる。
ゆるい動きで色の変化するオーロラカーテンに、会場ひんやりした空気とペンギン達。
気がつけば、マキが百目鬼の隣で寄り添って、スーツの裾をちょこっと持っていた。
オーロラに見惚れるキラキラしたジュピター色の瞳は、綺麗で…
マキ「……………あのね…百目鬼さん」
百目鬼「ん?」
マキ「…オーロラの下(もと)で結ばれた人は幸せになるんだって……」
は?
ジュピター色の瞳で百目鬼を見上げ、潤む瞳にオーロラが反射して輝いて魅せる。
ねだるように見つめて、少し背伸びをしたマキが、百目鬼のスーツの裾を引きながら、艶のある唇が薄く開いてそっとよせられた………………
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