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蝉しぐれ
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番外編☆水森泉☆
『蝉しぐれ』
リクエストの短編。
注意。このお話には、オカルト要素があります。
水森泉のキャラは、マキ同様、別の小説のキャラで、そちらですでに書かれていた設定の為。こんな話しになりました。
オカルトと言っも、占い程度の内容でお化けではありません。
ちょこっと設定が凝ってますが、そんなに難しくないと思いますが、分からない場合はコメントして下さい。補足します。
そういうの嫌だという方は回れ右で。
大丈夫って方は、そこを踏まえてご覧下さい。
登場人物
水森泉
マキ
他、新キャラ。
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大きな温室の中に、様々な植物が育てられている。
その奥の部屋に、今年もこれから大輪を咲かすため、大きく育った物がある。
マキ「わぁあ♪今年も立派に育ってるねぇ♪」
マキがはしゃぎながらその植物を見て回る。
泉「ええ、マキにあげた花の苗はこれですよ。夏にはまた大きな花が咲きます」
ここは、水森泉の世話する温室。
泉が指したのは、5株ある月下美人の真ん中。
今年の正月に、この花の焼酎漬けをプレゼントして、マキと百目鬼の仲を取り持った。月下美人をプレゼントしようと言い出したのは修二。
マキは修二と出会ってから、確実にいい方向に変わっている。一部不安はあるが、それはもう当人にしかどうすることもできない。
泉「貴方に月下美人をプレゼントしてから6ヶ月になりますね。その後はどうですか?」
マキ「……んー。んふふ、普通だよ」
照れ笑いするマキ。こういう表情も、今年に入ってから見るようになった…
泉「…マキは、百目鬼さんと同棲すると思ってました」
マキ「あー、それは絶対無い」
泉「何故?」
マキ「ふふ♪」
マキがヘラヘラ笑いだしたので、答えが聞けないのだと分かり、泉は呆れたように肩を落とした。
泉が深く突っ込まないと分かると、マキはニヤニヤしながら話題を変えた。
マキ「そういう泉は?その後進展した?」
泉「…」
マキ「泉ってさ、普段クールで毒舌なのに、僕と百目鬼さんのこと、やたらと首突っ込んできたよね。もしかして、〝あの時〟の仕返しのつもり?」
意味深に笑うマキ。
マキは百目鬼と再会した時からテンパって勘が鈍くなってた。だけど、百目鬼と付き合い始め、6ヶ月たった最近やっと落ち着きを取り戻していた。
泉「…あの時とは?」
とぼける泉に、マキは確信を持ってニヤリと笑う。
マキ「あれからどうなったの?」
「あれから」とは、去年の夏を指している。
高校3年生最後の夏。
マキは百目鬼にフラれて自暴自棄になっていた時期。
マキを自宅に招き入れたことで、泉の人生は大きな分岐点わ迎えた。
泉「お見通しじゃないんですか?」
マキ「予想はあるけど、僕は別にエスパーじゃないから、真実を見通す訳じゃないし♪」
泉「…はぁー、言わなくても分かってそうな顔してますよ」
マキ「そりゃぁ、泉が僕のこと分かるくらいには、僕も泉のこと分かるつもりだよ♪」
ニコニコするマキに、少しげんなりした気持ちがありながら、いつかは話そうと思っていたので、月下美人の前に腰を降ろして、マキを真っ直ぐ見つめた。
泉「貴方のせいで去年の夏は酷い目に遭いました」
それは、去年の夏。
沢山の蝉が鳴きわめき、始まった夏休み初日。
僕は、前々から分かっていたことを、父に告げられた。
それは、18才の誕生日が来たら、許嫁との婚約を発表するということだった。
僕には、美琴(みこと)という同い年の許嫁がいる。
彼女とは昔から知り合いで、仲良しだ。
僕は彼女とだったら結婚してもいいと思っていた。
「泉、この婚約は強制ではない。心に決めた方がいるなら、お断りしてもいいんだぞ…。私の後を継ぐのも、決して強制ではない」
泉「私は、父上の仕事を誇りに思っております。幼少の頃から、いつか父上の後を継いで巫様を支えたいと願っておりました。婚約は彼女の意思を尊重し、美琴さんと2人で話し合い決めたいと思います」
「そうか、そうか…。お前の思う通りにするといい」
僕の家、水森家は、この土地一帯を占める地主の〝神明〟(しんめい)家にお仕えする者。
僕やマキの通っている神明学園もこの神明家の物。
神明家は、古くからこの土地に住まう〝神託〟神の言葉を聞く一族として繁栄し。今は、お偉いさんを相手に〝神託〟をする、言わば〝占い師〟だ。
昔は何十人といた〝巫〟も力が衰え、今では2人しか巫女がいない。
水森家は、昔から神明家に仕え、補佐の役割を担ってきた。
この日は、夏休みに入った初日。
自暴自棄になってるマキを寮に置いとくと被害が出るので、一旦僕の家に連れてきていた。
僕の家は、神明家の立派な日本式家屋。東京ドーム1個分。その隣の庭付き一軒家で住んでいた。
僕が部屋に戻ると、マキは僕のタンスから着物を出して勝手に着ていた。
マキは何度も来た事があるから、我が物顔で物色。あとは気晴らしを邪魔された嫌がらせだ。
マキ「お父さんの話し、なんだって?」
泉「マキ、僕の着物をだらしなく着るのはやめて頂けませんか?」
マキは、胸元も太ももも曝け出した状態で、女性でいう遊女のように色気を振りまいていた。
マキ「ムラっとこない?」
泉「私が貴方〝なんか〟で反応しないのは、とうに分かってるでしょ?でなきゃ、貴方の世話係なんかできませんからね」
マキ「ふふふ♪泉って清々しいぐらい毒舌だから大好き♪♪」
泉「そりゃどうも」
マキの着物を直してやり、自分も着流しで身支度した。
すると、玄関の方から僕の泉の部屋に向かってドカドカと不機嫌な足音が響いてきて、泉の部屋の襖が断りなくスパーンと開け放たれた。
襖を開け放った男性は、今時の青年。
日本式家屋に似つかわしくない派手な格好で、現れ、怒りを露わに怒鳴った。
「泉!!婚約するってマジか!?」
泉を真っ直ぐ睨みながら怒鳴った男性に、泉は、眉一つ動かさず、サラッと答える。
泉「禅(ぜん)さん、落ち着いてください。まだですよ」
禅(ぜん)と呼ばれた男性は、神明家の第二子で、長男の神明禅20才。泉の2歳年上。183㎝の身長は大きくて、襖の枠に頭が付きそうだ。
今時の服装に茶髪。
彼は…
神託の力を持ちながら、巫にならなかった人。
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