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蝉しぐれ
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股間を強打された禅がのたうち回るのを目の端にしながら、着流しの襟と裾を直し、タオルで口をゴシゴシ拭いた。
認めたくないが、僕のファーストキスだ。マキからも死守していたのに…
禅が股間を押さえながら、悲痛な声を絞り出す。
禅「…目の前で、拭くとか…酷でぇ…」
嘆く禅を冷たい眼差しで見下ろしす。
泉「除菌したいくらいです」
禅「フッ、ククッ、でもまぁ、泉の初チュー貰ったし」
!!
股間を押さえながら、すでにポジティブにハニカム禅に、メラッと羞恥の怒りが湧き、勉強机に置いてあった30センチ定規を掴み、禅の頭の真横の畳に突き刺した。
ーダンッ!!
禅「ッ!!」
泉「初めてじゃありません」
冷たい視線で見下ろし凄んで言い放つ。
しかし、禅は睨む僕の顔より、片膝ついた着物の合わせから覗く僕の太ももに「いい眺め」と手を伸ばす。
再び定規を振り上げて顔面に振り下ろす。真剣白刃取りで止められ、僕がどんなに力を入れてもビクともしない。
禅「初めてだね。キスの息継ぎの仕方も知らないみたいだったし、たどたどしかったぜ」
なッ!!
恥ずかしいことを言われてカッとなったところで定規ごと捻ねられ投げ飛ばされてしまい、体制が入れ替わる。
またしても僕が下で、禅がマウントを取る。
禅「動揺してるし」
泉「うるさい!」
キッと睨みあげても全く効果がなくて、僕の腕は禅の膝の下。身動きが取れず、もがいていたら、スッと眼鏡を取られた。
禅「それに、感じてただろ」
ニヤリといやらしく笑った禅が顔を近づけてニヤニヤ笑う。僕は顔をそらさず全力で睨む。
泉「…残念ながら苦しいだけでした」
禅「手ェ抜いたら噛みつかれそうだったからな。ファーストキスにしては刺激が強すぎたか?」
泉「ふっ、独りよがりの行為をテクニックと勘違いしてるなんて…」
と、ここまで俺様だった禅が、突然真剣な目の色に変わり、息がかかるほど顔を近づけた。
なッ!近い近い!
夏の日焼けした健康的な肌の毛穴まで見えそうで、大きな鷹のような鋭い瞳が僕を睨むように見つめる。
真剣な眼差しの禅に、息を呑む。
それぐらいの他を圧倒するオーラが、彼には生まれつきあるのだ…。
禅「泉、俺は本気だ」
禅はまた唇を重ねる。
だけど僕は歯を食いしばり、その侵入を許さない。
禅「…」
かつて、これほど真剣な彼を見たことなどない。
少しだけ眉を寄せ、拒絶に対して傷ついた様子。
ゆっくり唇が離れたので、僕は告げた。
泉「本気なら、襲ってもいいわけではないでしょう」
真剣な禅に、真剣に答える。
彼の瞳は動じない。
禅「俺は、泉を俺のものにしたい。お前だって、俺に少しは気があるだろ」
それは、身に覚えのあること。
だが、禅は大きな勘違いをしている。僕の禅に対する好意は、そうゆうものではない。
泉「私が、貴方に抱いている気持ちは、貴方の思うものとは違うし、今の貴方には抱いてない気持ちです」
禅「恥ずかしがるなよ」
泉「…恥ずかしいのは禅さんの方ですよ。その先走った考え方、それが貴方の悪い癖です。
私は貴方をそう言う意味で見ていたわけじゃありません。私は、将来の主になるかもしれない人物を見ていました。禅さんは昔からオーラがあって、私は憧れていましたからね」
禅「…」
泉「今の貴方には、憧れません。巫としても、人としても、男としても…」
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