アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お兄ちゃん相関図模様
-
目の前の羚凰は、確かに可愛い弟分だ。だけど、欲情して鼻息荒くしてる今のこいつは、ただの男のように見えてくる。〝あんな事にはならない〟と、思ってはいるが、だんだん手が汗ばんでくる。
彩さんはそんな俺を観察するように、相変わらず俺のうなじから耳あたりを撫でて弄ってて。
彩さんは無理強いしない、それなりの信頼がある。
彩さんが羚凰を止めないのは、〝乗り越えるチャンス〟だと協力してくれてると信じて。
俺は羚凰を可愛い犬のように思おうとしてるが、やはり、不安は拭えない。
奏一「羚凰……お前は、最終的に、俺のこと抱きたいのか?」
羚凰「ハイ!」
呆れるほど素直すぎる即答。
真っ直ぐ俺を見つめ真剣な瞳。
奏一「………やっぱ無理だ羚凰。お前を一人の人として見るので精一杯だ。あのな。俺は、お前を気持ち悪いとは思わないが、体を合わせるとかは無理だ」
なるべく傷つけないように言いたい。
今の俺には、この羚凰の大きな体が、あんな非道なことはしないしないって思えてるだけで精一杯だ。
羚凰「…今すぐ好きだって思ってもらえるとは思ってません。だって、俺と知り合って3ヶ月弱だし。俺の方は、前から奏一さん知ってたけど。だからゆっくり知ってもらってって思ってた、だけど今告白しとかなきゃ、取られちゃうし」
奏一「イヤイヤ、取られるとかじゃないから」
羚凰「もう告白したし、心も体もゆっくり俺を好きになってもらえるようにする」
奏一「体は有り得ない。俺は無理だ!それに、そもそもどうして俺が下なんだ!お前が下やれよ!心底好きならどっちでもいいだろ」
『ヤりたいだけだ』って言葉はかろうじて飲み込んだ。
羚凰が唖然とした顔してる。
これでも抑えて発言してる。酷いって言われようと、俺には男同士のセックス=百目鬼と同じってイメージを消せきれてない。あの人を人とも思わないように鎖で繋いで、苦しめるように犯す行為。今は、少しだけ分かった、百目鬼と飲みに行くようになってその話しも聞いた。今は少しづつ、分かってきてる。修二が散々百目鬼を庇った理由も……
羚凰「俺を抱けるんすか?」
奏一「抱けるか抱けないかじゃない!何故俺が下だと決めつける」
羚凰「決め付けたわけじゃなくて、俺が奏一さんを好きで抱きたいなって思ったから。だって奏一さん時々可愛いんすよ」
奏一「元朱雀特攻隊長を捕まえて可愛いだと?」
羚凰「確かに最初は伝説の特攻隊長様って目で見てたけど、肩書きとか関係ないし、俺は本物に出会って奏一さんの中身知って好きになったし。鬼だって武勇伝いっぱいあるけど、弟の修二君といる時すっごい暖かい顔するし、厳しいけど平等で正しいし、色々抱えてても仕事きっちりこなすし、なのに酒弱かったりとか時々可愛いし…、今の奏一さんスゲー好きだ」
羚凰が俺に迫ってくる、ウルウルした子犬みたいな顔して必死に好きだと言っている。
奏一「ッ…」
全くめげない。
羚凰「奏一さんのこと知れば知るほど好きになるし、抱きたいって思った、俺、奏一さんのこと人として尊敬するし、大好きだ」
すでに息がかかるほど迫ってきてて、俺はソファに座ったまま追い込まれてる。
ちょっと前進するだけで唇が触れそうだ。
奏一「……………だったらお前が下になれよ」
羚凰のおでこを手で押して遠ざける。
すると羚凰はシュンと困ったような悲しそうな顔をした。
好きだという気持ちが真っ直ぐなのは理解した。羚凰の事は傷つけたくないし、男を好きだというセクシャリティーを理解してやりたい。しかし、知って理解するからと、いきなり掘られるのを受け入れられる訳もない。百目鬼から話を聞いて、彼はサドっ気があり、縛って泣かせることに性的興奮を覚えると聞いた。だから、振られたショックで〝ああなった〟と聞き、〝アレ〟が特殊な例であると知った。
だから、世の中のゲイやホモ達が、皆んなあんな酷いわけじゃないと知ったし、アレはSMの世界ではほんの触りであることも知った。中には血を見るのが好きだったり、スカトロだったり、首を絞めたりといったことが興奮要素の人たちもいると…。
百目鬼を理解は出来ないが、そういう性癖で、今も治らず苦しんでいると、こないだ聞いた。
俺が目をそらしていたことを一つ一つ向き合っていくと、拉致事件の後、修二がなぜ百目鬼をかばったのかが分かってきた。百目鬼を…というより、修二が何故恨まないのかを考えると、絡まっていたものが、苦悩がだんだんと綻びを見せる。
最初こそゾッとして怖いと思ったが、ここにいるのは、百目鬼ではなく羚凰で、主人に構って欲しくてラブコールをする超大型犬の子犬。羚凰や彩さんはあんな事しないと 、信じてもいい気がした。だけど、気を許すのと、掘られるのは違う。悪いが、男に突っ込まれるとかは勘弁してほしい。
羚凰「…」
奏一「もういいだろ」
羚凰には、悪いが帰ってもらおう。
冷たいようだが、未練はないようにすっぱりの方がいい。同じ職場だし、吉良のように引きずるような傷は追わせたくない。
羚凰「……………分かりました」
奏一「じゃあ…今日はこれで…」
羚凰「俺、奏一さんが望むなら、下でも構いません」
奏一「ッ!?」
羚凰の真剣な瞳が俺を見上げる。
これで引いてもらえると思ったのに、ウルウルした瞳でこっちを見上げ、またしても俺の目と鼻の先に顔を近づけた。
困って固まっていると、俺と羚凰のやり取りを聞いていた彩さんがクスクス笑い出した。
忽那「ふふっ」
羚凰「ちょっ、笑わないで下さいよ忽那さん!図体でっかい俺なんかがネコなの可笑しいのは分かるけど、俺真剣だし」
すると彩さんは、咳払いしてから、羚凰に向き直る。
忽那「すみません、羚凰君を笑ったんじゃないんですよ」
優しい口調で言う彩さんに、羚凰は嘘だと言わんばかりに眉を寄せる。
忽那「奏一は分かってないなと思いまして」
奏一「俺?」
忽那「男同士のセックスに抵抗のある貴方が、男のアナルに突っ込むなんて出来ますか?出来ないでしょ」
アナル!?
思わず想像してぶるっと身震い。
そのとうりだった。
その反応を見て、彩さんがクスクス笑ってる。
忽那「奏一はせっかちさんですね。何をそんなに慌ててるんです?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
619 / 1004