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(番外編)純愛♎︎狂愛14
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数日後、僕は走っていた。
首には、飛んでるみたいに跳ねて踊る羽根型籠のネックレス。
単純な僕は、百目鬼さんに言われたことをバカみたいに期待してる。
こんな風に期待するなんて、
こんなことをする日が来るなんて、僕は、百目鬼さんに出会って随分変わったと思う。
周りからしたら何も変わってないかもしれないけど、中身はびっくりするくらい変わったと思ってる。
本音を冗談交じりに言えるようになったし、百目鬼さんの前では何度も泣いちゃってる。
修二に頼んで料理を習うことにした。
まだまだ、時間がかかりそう。
百目鬼さんは、こないだからおかしいまま。
なんか前にも増して優しい。
なんでそうなったのか分からないけど、前は2人の時間はキャンセルばかりだったのに、会ってくれるようになった。
もしかして、あまりに盛るから距離を置かれてたのかな?ちょっと残念だけど仕方ない、それが百目鬼さんの理想だもの。
僕はというと、百目鬼さんに跨るのは我慢して、マイケル君9号のお世話になりっぱなし。
僕がエッチを我慢してから、百目鬼さんは和やかに過ごしてる。
まぁ、しなきゃしないで一つ問題が残るけど、それは〝僕の方の問題じゃない〟から、経過を見守るしかない。
悪い方へ転がらなきゃいいけど……
心配は尽きないけど、今は平気。
百目鬼さんは〝今の所〟和やかて優しい。
僕は、走ってる、溢れる笑いが止まらない。
手に持ったレシートが、それが形になる証拠。
僕は、単純な馬鹿だから、買ってしまった。
百目鬼さんに寝室をヌイグルミで埋めるなよって言われただけなのに、それが実現するんじゃないかと期待してる。
好きとは言われないけど、僕と来年も一緒にいてくれるって言葉を僕は確かに聞いた。
だから買っちゃった。
百目鬼さんからもらった青い文字盤の腕時計と似たデザインになるよう注文した世界にただ一つの腕時計。
僕は、腕時計にその意味を込めて、買ってしまった。
〝同じ時を刻みたい…〟
ニヤニヤしながら走るから、通り過ぎる人がみんな振り返る。
僕って単純。
弾むような走っていたが、百目鬼事務所の前まで来て立ち止まった。息を整え、レシートを財布にしまい込む。
大学とバイトの合間に急いで買った。百目鬼さんにプレゼントするのは10月の誕生日だから、まだまだだけど、10月になっても、きっと渡せると思うから。
マキ「おはようございます!」
百目鬼「遅かったな」
ちょっと睨まれたけど、百目鬼さんは別に怒ってない。額に汗がある僕を見て、百目鬼さんは杏子さんに水を飲ませつやれって言ってくれた。
杏子さんなすぐにコップ一杯の水をくれ、飲み干して一息ついてから、考えておいた言い訳をくちにする。
マキ「ごめんなさい、提出物一つ忘れてて書いてから来た」
百目鬼「おい、大学のことが出来ないならバイト来なくていいんだぞ」
百目鬼さんは、バイトして欲しいと誘った癖に、直ぐにバイトを辞めても良いとか口にする。
そんなに気を使わなくても、僕はしっかり勉強出来てるのに、僕って頭いいんだぞ♪
マキ「ごめん、うっかりミス♪、でももう提出したから安心して」
百目鬼「…そうか。ならいいが。
今日は、母親の見舞いに行く姫香さんの護衛だ。妹役じゃなく、カツラかぶって別人になりすまし、俺と一緒に姫香さんの後ろから歩く」
マキ「うん、わかった」
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姫香さんと輝彦さんが病院に行くのを、後ろから見守るように歩く。
百目鬼さんの腕に絡まって、僕は外人色を前面に出した格好。今日はカラコンを外し、明るい色のカツラをかぶって大人でシックな服装でデートを装う。
もう、結婚式まで日がない。
出来ればもう一度犯人の姿を捉えて捕まえたいところ。行きの道は何事もなく、姫香さん達が無事に病院に着いた。
病院内には、僕らとバトンタッチで杏さんが付き添う。病院は街中にあるので、別の場所で待機もできる、今の所、病院の周りに怪しい人影は見当たらない。
早く犯人を捕まえて、姫香さんを安心させてあげたいなぁ……
あの仲睦まじい2人を早く安心させてあげたい…
百目鬼さんは裏情報をかき集めて、必死に犯人を探してる。
病院を一周したくらいで、そろそろ別の場所に行って待機しようとしたその時だった。
「よお、百目鬼」
真横から、ドスの聞いた聞き覚えのある声がして、振り向くと、そこには修二の兄、奏一さんが凄い形相でこちらを睨んでいた。
百目鬼さんは振り向く前から声だけで相手がわかってたみたいで、腕に絡めていた僕の腕を百目鬼さんは直ぐに振り払った。
解けた手がジンとして、見上げた百目鬼さんの表情は、完全に強張ってた。震える声で振り返る。
百目鬼「そ…いち…」
奏一さんの、冷たいばかりの視線に声を震わせ。
百目鬼さんは緊張から拳をを握りしめた。鬼の形相の奏一さんを前に、僕から距離をとった百目鬼さんは、物凄く緊張した顔していた。
奏一さんがズイッと近づき、低い声で静かに言った。
奏一「それは彼女か?」
百目鬼「…違う」
質問に驚いて、唾を飲み込んだ百目鬼さんが、強く否定して、僕は理解した。
2人が今、どういう心理状態か。
まずは、奏一さんの誤解を解こう。奏一さんは僕が誰か分かってない。まぁ、分かったところで違う問題が生まれるけど、それは誤魔化せばいい。
僕はニコニコしながら百目鬼さんの前に出て、奏一さんに近づいた。
マキ「ワァーイ♪奏一さんだぁ♪こんにちは♪えへへ僕だよ♪」
奏一「…あっ」
変装してるけど、顔を近づけたから、気がついたみたい。少し困惑した表情で、名前を思い出そうとしてくれたけど、すんなりは出てこない
奏一「…ま…」
マキ「マキ♪」
僕がニッコリ答えると、奏一さんは毒気を削がれたみたいに呆気にとられた顔をした。
百目鬼「こら、お前は引っ込んでろ!」
百目鬼さんが慌てて僕を引っ張り戻す。
マキ「はーい♪
奏一さん、僕たち仕事中なんだよ、今ね、尾行中♪」
百目鬼「黙れマキ!」
今の百目鬼さんじゃ、まともな説明出来なさそうたから、先にチャチャッと説明。
百目鬼さんは今、〝修二の友達〟の、僕といることへの罪悪感が大きくてテンパってるみたい。
百目鬼「悪い奏一、直ぐに見えないところに移動する」
奏一「あっ、いや、いきなり仕事の邪魔して悪かった、ちょっと気が立ってて。すまない、俺は終わって帰るところだから、仕事を続けてくれ…」
百目鬼「終わって?病院からでてきたよな、まさかどっか悪いのか?」
奏一「いや、違う。店の社員が怪我を…」
少し離れたところにいた社員を指さす奏一さん。そこには白のワイシャツに黒いズボンの店員さんが。
百目鬼「トラブルか?」
奏一「…いや」
百目鬼「嘘だな、奏一は嘘つくと唇に力が入る」
ツキン……
あっ………
そっか、百目鬼さんって、修二の前は奏一さんが好きだったんだ。
奏一さんの癖を指摘した百目鬼さんの言葉に、嫌な感触を覚えた。
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