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〔裏番外〕狂愛♎︎純愛31
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息苦しさと、後悔。
脳裏に残るのは、最後にしてしまったマキへの暴行。ベッドに拘束されて失神したマキは、まるで死体のようだった。
修二を鎖に繋いで1週間犯して感情を奪った時のことが、内臓を締め付けるように思い出されて、タバコを吸ってないと自分を保っていられない。
ずっと泥を飲み込み続けてるような気分だ。
俺は気持ちを切り替えるのが下手だ…、そのせいで、奏一にも修二にも酷いことをした。
いつまでもいつまでも、吐き出さなかった気持ちが渦巻く。
寝覚めの悪い夢を見て、ふと浮上した意識は、左腕の温もりに驚いて目を見開いた。
百目鬼「マ…」
腕に乗っていた小さな温もりは、俺の顔を見るなり、「ニャァアー」と鳴いた。
百目鬼「あぁ…ミケ…」
お腹が空いたのか、ミケが俺の目の前にドンと居座ってる。いつもはこんなとこに居ないのに…
百目鬼「お前も寂しいか?」
ミケの頭を優しく撫でると、「ニャァー」と鳴くミケ。マキは、ミケが大好きでよく構い倒してた。ミケは食いしん坊だから、餌をあげたくてウズウズしてた、その姿は、猫じゃらしを目の前にしたミケみたいだった、どっちが猫か分からない。
支度するために起き上がり、寝室を出る。マキが居なければ台所に立つこともない。ミケにエサをやり、コーヒーを飲んで家を出た。
マキのことを考えてる暇はない。
今日は、気合が必要だった。
今晩、奏一に会う。
デスクには、相変わらず山盛りタバコの灰皿。
仕事を黙々とこなし、夜の奏一への報告に備える。外野が時々「今日もやばい顔してるよ」とか言ってるが、無視だ。無視無視無視。
夜、奏一と待ち合わせてる夜月という居酒屋に足を運んだ。
毎回奏一に会うのは緊張する。さらに今回は、内緒で付き合ってたマキの事での罪悪感が募る。兎に角背筋を伸ばし、仕事の話をした。
あとは証拠さえつかめれば警察へ突き出すこともできるのだが…。待つしかないってことで今回の話は終了し、お互い酒を飲み始めた。
奏一は、酒に弱いからチビチビ飲んでいたが、何か思いつめた顔をして、半分くらいあったビールを一気に飲み干し口を開いた。
奏一「昔より落ち着いたな」
奏一の口から、昔という言葉を聞いて緊張した。奏一は、俺のことなんか話したくないはずだ、だけど最近は、何かを知りたがってるように、昔の話を口にする。
修二監禁事件以来、俺からの説明は断固拒否した奏一。最近なんの心境の変化があったのか、いろいろ聞いてくる。
俺は謝った。謝りながら、奏一の質問に答えていたら、奏一がずっと避けていただろう質問をしてきた。
奏一「その、そんなに俺が好きだったの?」
真剣に伺う瞳。男の、しかも弟を汚した男の話など聞きたくないだろうが、奏一は真剣な瞳で俺を見ていた。
奏一にとって気色の悪い答えになるだろうが、俺は、この質問に正直に答えなきゃならない、義務がある。
百目鬼「ああ、好きだった。どうしようもないくらい、自分が普通じゃないって押さえ込もうとすればするほど、奏一のことが好きで…、好きになればなるほど訳のわからない感情が増えて暴れた。俺を好きだと泣かせたいと思った……、ガキだったんだ…欲望が爆発して…とんでもないことを…」
奏一「俺は、俺への恨みがあって修二をやったのかと思った事もある…」
百目鬼「奏一が好きだったんだ。好きすぎて、思わず修二を襲った……奏一を恨んだことなど一度もない、気が狂う程好きだった…。修二はそんな俺を理解してくれた、理不尽で酷い仕打ちを受けて、謝る俺に怯えながら〝兄貴はカッコイイもんね、片想いとか辛いですよね分かります〟って、俺はそれまで他の人に、性癖に悩みがあることを話したことがなかった、話したら、軽蔑されると思ってた。…修二を好きになるのに時間はかからなかった…勝手な話だが…、修二は俺にとって初めての理解者だ。
なのに…あんなこと…、修二にも奏一にも胸糞悪い思いをさせて…」
奏一「……本当に、好きがゆえだった?」
百目鬼「奏一には聞きたくもない話だろうが…。好き過ぎた……」
奏一「修二も……俺も…?…」
百目鬼「………奏一のことは、初めて我慢が効かない程、本気で好きな人だ。今でも人としては尊敬するし、お前みたいに抱擁力のある穏やかな人間になりたいと思うよ。全然俺にはなれそうもないが…、側にいるだけで満足できるような穏やかな人間になれたら……」
そう思っていた。
だが、俺の気持ちは、皆んなを不幸にしただけだった…。
俺には、穏やかな心なんかない……
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マキと会わなくなって1週間ほどたったある日。
矢田がやらかした。
矢田「百目鬼さん百目鬼さん!マキちゃんが顔に怪我してる理由は本当っすか?」
百目鬼「はッ!?」
ゾッとした。
瀧本の動きも朱雀の動きも監視の目を光らせていたのに、マキが怪我だと?!
なんのために離れたんだ!!
矢田の話しはこうだった。
マキが事務所に来ないのを不思議に思った矢田は、俺との仲直りもして欲しくてマキに電話したそうだ。俺は、矢田にマキが来なくなったことを伝えてなかった。
マキは「謹慎中だから」と説明したらしいが、矢田は、最近の俺の荒れ具合に、なんとか来てくれまいかと頼み込んだらしい。だがマキはどうしても行けないと断る。そこで、大学に乗り込んだそうだ。
そしたらマキの顎に痣があり、ギョッとして、俺がやったのかと聞いたそうだ。マキは慌てて弁解。大学内でトラブルがあり、仲裁に入ったら一発顎に食らったと笑っていたそうだ。
絶対嘘だ!!
マキの身に何かあったんだ。
問い詰めに行きたかったが、俺が請け負ってる案件の仕事が今日入ってて動けない。
兎に角、各所に電話して情報を集めたが、瀧本も朱雀も動いた形跡がなかった。
手放せば、安全に暮らさせてやれると思ったのに、いったい何があった??
檸檬「ただいま帰りましたぁーッウワッ!」
出先から戻ってきた檸檬は、修羅のような俺を見て後ずさった。
檸檬「何々!?」
矢田「あの、それが、マキちゃんが顔に痣作ってバイトお休みで…」
檸檬「痣ッ?!」
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