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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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矢田「百目鬼さん!!」
矢田さんが百目鬼をかばうように俺との間に入り込み、百目鬼を心配したが、百目鬼は直ぐに矢田さんを脇に押す。
百目鬼「矢田、黙ってろ」
矢田「でも!」
百目鬼「黙れねぇなら消えろ」
矢田さんは悔しそうに涙目で口をつぐむ。百目鬼は俺に向き直り、その長身で再び見下ろしてきた。
百目鬼「気は済んだか?」
百目鬼は、殴られても平然としてた。俺のパンチなんか効いちゃいない。180の百目鬼と165の俺。百目鬼は避けれたのに避けなかった。
むつ「済むわけねぇーだろ!何で避けねぇんだ!!」
百目鬼「おかしなこと言うな。殴りたかったんだろ?ずっとマキと別れりゃいいって思ってた癖に?別れた今何故怒る」
むつ「ッ!俺がどう思うかは関係ねぇだろ!マキはお前のことが泣くほど好きだ!だから、別れた理由を聞きに来たんだよ!」
俺がこんなに感情的に怒鳴ってても意味がない。百目鬼は、俺が熱くなる分冷めたみたいに淡々と喋りやがる。
百目鬼「今説明したろ、めんどくさい子供だから別れた。半年付き合った結果だ」
むつ「ッ…。瀧本の件で何があった?」
百目鬼「ガキがいちいち首突っ込むな、あれは刑事事件になった。警察が取り扱ってる。子供が嗅ぎ回る事じゃない。それに、マキに関しては、マキが1人で動いた結果だ」
むつ「ッ!!」
血管がブチ切れる音で、飛びかかろうとしたら、後ろから修二に止められた。
振り切ろうとしたら、俺を掴んでる修二の指の爪が食い込むほど強く握られ、後ろの修二を振り返ると、修二は表情は静かだが、その瞳は激昂してた。
修二「百目鬼さん、ちゃんと話しを聞かせて。部屋に入れてください」
百目鬼「お前たちを家に上げる気はない」
修二「兄貴の許可は取ってある、だから、上辺だけ聞いて帰る気はないです」
百目鬼「どうせ直ぐにお迎えが来る」
修二「兄貴が来ても帰らない」
百目鬼「奏一が許すわけない」
修二「兄貴に怒られたって今回は引かない。大事な話をしてる」
百目鬼「奏一が来たら、嫌でも連れ帰られるさ」
修二「僕は帰らないッ」
百目鬼「こんな夜に出歩いて許されるわけないだろ。ここら辺は物騒なんだ、お前が争ったって奏一は止められない。弟なんだから奏一の恐さはよくわかってるだろ」
修二「時間稼ぎは沢山だ。
瀧本からマキを守るために内緒で動いてたのに、マキが1人で乗り込んだのがムカついたんでしょ?悔しかったんでしょ?」
百目鬼「…」
むつ「え?」
内緒で動いてた?
修二「兄貴から聞いた。兄貴の店の営業妨害の犯人は瀧本で、僕やマキを近づけないようにしてたって」
そう、なんだ…。マキは、それを知って1人で…。馬鹿だな、誰かに相談すりゃいいのに、マキのやつ…。
修二「なのに、結果、守れなくて辛かったんでしょ?マキのことめんどくさいなんて思ってないくせに、兄貴が来れば、言い渋ってることもバレるんだよ」
百目鬼「……結果はまだだ。まだ居る。マキの居場所を瀧本に売った奴がいる。何の足取りも掴めてない。それに、瀧本がマキを連れ出す前に、別のやつらがマキを攫おうとした。目星をつけてた奴らはみんな外れてた。今、一から探してる。お前らは奏一と帰れ。その犯人はここを見張ってる可能性がある」
修二「……もしかして、それで別れたの?」
百目鬼「…何でそうなる」
百目鬼はとぼけてる。それだけは分かった。
俺は、会話について行けず、何のことかさっぱり分からない。修二は何でそんな色々知ってるんだ?
もしかして、修二は修二で色々調べてたのか?俺、怒り任せに「冷たい」って言っちまった。
修二「まだ、狙われてるかも知れない、守りながらじゃ犯人探せないから…」
修二の真っ直ぐ見つめる瞳に、ついに百目鬼が耐えられなくなって視線を外した。
百目鬼「…修二、お前の頭はどうかしてる。そんな話ししてないだろ、調べてるのは警察だ、俺じゃない。俺は、マキの奴が子供過ぎて勝手だから捨てたんだ。
それに、お前は俺が過去にお前に何したか忘れてないか?そんな人間の側に、友達を置いておいてお前は何とも思わないのか?」
修二「僕と百目鬼さんの間で起こったことに、マキは関係ないだろ。百目鬼さんは、マキのこと真剣に考えてた、マキを凄く凄く大事にしてた。だからそんな言い方おかしい」
修二は、真っ直ぐ百目鬼に言葉をぶつける。
堂々と、そして純粋に真っ直ぐに、百目鬼のマキへの気持ちを信じてる。
百目鬼「修二、お前何しに来たんだ。俺がマキを捨てたから文句言いに来たんじゃないのか?」
俺も、修二の言動には驚く。過去に自分を襲った人間に対しての言葉とは思えない。
修二「違う。僕とむつは、百目鬼さんの本当の気持ちを聞きに来た」
百目鬼「俺の気持ちはさっき話した。マキがめんどくさいから捨てた。ナイフの前には飛び出すし、瀧本の所に1人で乗り込むし、面倒見切れない。それに、俺はもう新しい奴と付き合ってる。
悪いが、奏一が来たら帰ってくれ」
修二「自分を悪く言って、悪者になって攻められて終わりにしようとしてるなら、そうはいかないから」
修二の静かな怒り方は、奏一さんにそっりで、その静かだが圧のあるオーラに百目鬼が身じろいだ。
修二「百目鬼さん、百目鬼さんが適当な気持ちでマキと付き合ったんじゃ無いって、僕が一番よく知ってる。マキと付き合うために、過去と、僕と兄貴と向き合った。僕とちゃんと過去を話し合って、それからマキとの事、僕に話した。〝ダメだって分かってて手を出した〟〝手放したくない〟って、頭を下げたよね?」
百目鬼「…」
修二「百目鬼さん!」
百目鬼の表情が歪んだ。
百目鬼は、何かを必死に隠してる風だ。
この胸糞悪くなるほどのムカつく頑固さ、どっかの誰かさんと同じだ。
百目鬼「…すまない…、気の迷いだった」
百目鬼が何をしたいのかさっぱり理解できない。修二の言う様に嘘をついているとして、なぜ嘘をつく必要があるのか分からない。
修二「……気の迷い?」
百目鬼「お前と一緒で、泣かないから泣かしてみたかっただけだ」
埒があかねぇー!!!
むつ「マキは泣き虫だ!!今も泣いてる!てめぇーが好きだって泣いてるんだよ!!」
百目鬼「そのうち忘れる」
むつ「クソ野郎が!!」
修二を押しのけて百目鬼の胸倉を引っ掴み、怒鳴り散らした。
むつ「お前じゃないとダメだって、食事もまともにしねぇーし!あのままじゃ死んじまいそうなんだよ!!」
百目鬼「!!…」
百目鬼の表情が動いた。
むつ「泉に、俺たちにマキをフォローする様に言ったのお前なんだろ?だったら、お前がフォローしろよ!お前がそばにいてやれよ!」
百目鬼の感情が明らかに動いた。俺を睨んで声を荒げる。
百目鬼「ッ!あのクソ眼鏡!。まさかッ!マキに言ったのか!?」
修二「マキは知らないよ」
百目鬼「絶対マキに言うな!俺は、マキを捨てたんだ」
修二「じゃあ、マキに教えるよ」
百目鬼「修二!」
修二「別れた百目鬼さんが、マキを攫おうとした奴と、マキの居場所を売った奴を探してるって事もね」
百目鬼「余計な事するな!また、マキが怪我することになるぞ!マキは、自分の身を犠牲にすりゃいいと思ってる。襲われた事も俺に黙ってた!守りようがない!犯人探しながら勝手に動くマキを守るなんて出来ない!だから余計なことするな!」
百目鬼の言わんとすることは、何となくわかったけど、俺はずっと知りたかったことが口から出た。
むつ「ぐちゃぐちゃめんどくせぇーな!てめーは結局何なんだよ!大事なとこが曖昧なんだよ!マキをどうしたいんだよ!マキの事を好きなのか!?好きじゃないのか!?」
百目鬼「めんどくせぇーとはなんだ!!」
突然、百目鬼がキレて俺の胸倉を掴む。
百目鬼「マキの身の安全の話だろーが!!」
むつ「そんなに心配なら24時間自分で守れよ!!」
百目鬼「できるならやってんだよ!!ガキが!非現実的なことぬかすんじゃねぇ!」
むつ「努力が足りねぇーからだろ!!」
百目鬼「なんだと!!守っても飛び出す奴をどうやって守んだよ!!」
むつ「ちゃんと叱って躾けりゃいいだろうが!!」
百目鬼「やったさ!あの生意気なマキが聞くわけねぇだろ!!」
むつ「そこは愛の力で何とかしろよ!!お前に何かあったら悲しいとか、泣いちゃうとでも言えよ!!」
百目鬼「ッ…。アホが…そんなんで…」
馬鹿馬鹿しいと言いたげに、俺から手を離した百目鬼、だが、俺は離さない。
むつ「お前、マキに好きだって言ったことあるのかよ?!」
百目鬼「…」
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