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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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【華南side】
マキが静かに眠りについてる間。
百目鬼さんたちと修二とむつは、取り敢えず話せたようだ。
修二とむつの話を聞く限り、百目鬼さんはマキを嫌いになったわけじゃなさそうだ。だが、あの人、修二の時にあんなに揉めたし、この後すんなり行くか心配だ。
それに、マキにもダメなところがある。マキはマキで治さなきゃいけない。
ただ、今の衰弱したマキに、百目鬼さんに立ち向かうだけの力が残ってるかって問題もある…。
マキは、百目鬼さんとヨリを戻したいのだろうか?それとも諦めるのか…。
むつは終始ブチ切れてて
「あんな奴のことを好きになるからこんな目に合うんだ!だから百目鬼なんか辞めとけって言ったのに!結局泣かされやがって!チキショウ!泣くなよ!好きなら離すなよ!百目鬼の馬鹿がマキにちゃんと気持ちを言って、しっかり捕まえて、マキを離さなきゃいいんだよ」
と、鼻を膨らましてお怒り。
むつ、無茶苦茶なこと言ってるぞ。まぁ、むつらしい回答だし、それも一理ある。
事態はそんな簡単じゃないと修二が苦笑いしながら、むつのストレートさに修二の胸が熱くなってるって瞳が語ってる。惚れ直しちゃったって感じだな。修二は、何度むつを好きになるんだか。
修二は、百目鬼の気持ちもマキの気持ちも分かるんだろうから、何とかしたいと切ないだろう。
そして予想外だったのが、奏一さんがこの事態に加わった事。もう、ハラハラする。戦争になるんじゃないかって気が気じゃないけど。奏一さんは、きっと話を聞いて力になってくれると信じてた。…うん。信じてたよ。
修二達とマンションに帰ってきてから、ずっと修二と話し込んで、何やら相談中。雰囲気は真剣だけど険悪じゃないから、揉めてはいないだろう。むつに、修二が奏一さんにキレたって聞いた時は驚いたけど、大丈夫そうだ。
そうして、眠れるマキの周りで、マキに世話になった俺たちは、なんとかならないかって一晩奮闘して、夜は明けた。
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カーテンは閉まってるが、夏の今は日が昇るのも早く、部屋は明るく照らされてしまう。
マキは、眩しいのか、閉じてる瞼がピクピク動き寝返りでうつ伏せになった、何やら左手でモソモソと何かを探しだす。見たあらないのか、目を瞑ったまま自分の左側に手を伸ばす。しかし、そこには何もない。
修二が寝ていた場所だが、修二はもう起きてて布団はものけの空。
俺たちは畳の部屋の奥から、むつ、マキ、修二、俺の順で寝ていた。むつは仰向けで腹出して上下逆さまになって寝ていて、俺はそんな可愛いおへそが見て、むつは朝から俺を誘ってるのかと思いながら、寝てるマキを眺めていた。
マキは、誰もいないシーツの上に左手をスーッと滑らせ、重い瞼を開けた。
寝ぼけているのか、目が開いてるのに動かない。ジッと表情を伺うと、誰もいないシーツを見つめて悲しそうに見えた。
もしかして、修二を探してる?
それとも……百目鬼?
誰もいない布団の向こう側の俺と目が合ってるはずなんだが、定まらない視線がボーッとしてる。
やがて、その目がちゃんと開いた時、マキは目を見開いてガバッと起き上がった。
マキ「無いッ!!」
マキは自分の右手の甲を見て叫ぶ。
マキ「無い!無い!」
慌てて辺りを見回して、俺と目が合うと、ココがどこだか思い出したのか、〝いつもの〟表情に戻った。
マキ「てへ♪そうだった、ここは修二達のマンションでした…」
弱々しく笑って誤魔化してるが、かなり疲れた顔をしてて、とても見てられない。
華南「はよっ。腕時計なら枕元にあるぜ」
そう教えてやると、マキは直ぐに自分の使ってた枕を持ち上げて腕時計を見つけた。
マキは、見つけだ腕時計を直ぐに耳に当て、動いてるか確認してやっと安堵の表情を浮かべる。
華南「悪りぃ、寝てるのに邪魔かと思って」
マキ「あ、…ううん。大丈夫。…。」
視線を落としてへらっと笑うマキは、何故か俺に対して少し引き気味。
何でだ?
修二「どうしたの?」
マキの絶叫を聞きつけて、あるいは、この場の変な空気に気づいて修二が顔を出すと、マキの表情が和らいだ。
マキ「しゅーじー♪」
修二「おはようマキ」
マキ「おはよー」
〝抱っこして〟と言わんばかりに両手を広げるマキ。修二はマキのそばまで行って抱き起こしてあげた。
まるで小さい子供とお母さんだ。
そのまま手を引いてリビングに連れてくと、マキはトテトテついて行く。
修二「歯ブラシ出しといたよ」
マキ「うん」
この家には、マキのお泊まり用の荷物が幾つかある。しょっちゅうマキが泊まりに来るから、みんなで買い物して揃えた物。マキは修二とお揃いばかり選び、むつが嫉妬でキリキリするのを見て楽しんでた。
修二「マキ、何飲む?いつもの?」
マキ「うん、修二の紅茶。今日はそれだけでいい」
甘えた表情でそう言うマキが、朝の支度を終えリビングに戻ると、怖い顔した奏一さんが台所からマキを睨んでた。
マキ「あっ!奏一さんだ♪おはようございます、奏一さんもお泊まり?」
マキは睨まれててもへらっと笑って、人懐っこい笑顔で笑う。さすがマキ。でも、今日はその笑顔、多分奏一さんには通用しないぜ。
奏一「おはようマキ君」
厳しいトーンに、マキは察してるんだろう。疑問の表情を浮かべずニコニコしてるが…。マキよ、奏一さんだけは怒らせないほうが良いぞ。
奏一「修二から聞いたよ、怪我して入院してたって」
奏一さんはマキに近づき、至近距離で向かい合うと、小さい子を叱るようにワザと頬を膨らませて、緩いゲンコツでコチンとマキの頭を叩いた。
マキ「ニャッ!痛い…」
奏一「ダメじゃ無いか危ない事したら」
俺の知る限り、今まででいちばーん優しく叱ってる奏一さん、しかしマキにはそんな事分からないから、一番やってはいけないことをしてしまった。
マキ「でも、僕のせいで迷惑かけたから」
奏一さんがマキの一言にピクっとして、修二が慌ててフォローする。
修二「マキ、兄貴は心配したんだよ」
マキ「でも、元々僕のせいだし…」
あーあ、修二がせっかく助け舟出したのに、マキは不正解の回答連発で、早々奏一さんが苛立つ。
奏一「マキ君、今回はそのくらいで済んだけど、最悪帰って来れなかったかもしれなかったんだよ」
ピシャッと言われて、マキは驚いて何度も瞬きする。
マキ「でも奏一さん、元々僕のせいだから…」
奏一「マキ君!」
それでも続けたマキに、ついに怒った奏一さんの雷が落ちたのは当たり前の事。
マキは、朝から奏一さんにはコッテリ怒られた。流石のマキも、この強力な雷には驚いたようで、シュンとして奏一さんに叱られてた。
奏一「…と言う訳で、そんな考えなら、根性叩き直してやるから。今後は、ここに居る3人同様の扱いで俺が面倒見るから、そのつもりで」
マキ「え?」
説教を聞けば終わりだと思ってたマキは、目をパチクリさせたが、奏一さんを甘く見たらこうなる。
華南「諦めろマキ、奏一さんは修二の親父でもあるからな、奏一さんがルールだ」
マキ「へ?」
修二「仕方ないね。兄貴は絶対だから」
マキ「ふえ?」
むつ「ふあぁぁ、あれ?みんなで何してるの?」
そこへ眠そうなむつが欠伸をして登場したもんだから、奏一さんに睨まれた。
奏一「むつ、遅い」
むつ「うわっ!奏一さん!おはようございます!帰らなかったんすか?仕事の時間は?」
奏一さんが視界に入ると一気に覚醒したむつ。シャキっとしてご挨拶。まぁ、むつは昨日、修二と奏一さんが話し合ってる途中で寝ちゃったからな。
奏一「朝ごはん食べたら行くよ。
華南、よかったら乗ってく?」
華南「マジっすか、ありがとうございます!」
奏一「じゃ、みんな朝ごはん食べるから支度して」
奏一さんの一声で、マキ以外の全員が動き出す。奏一さんは、俺とむつにとっても兄貴みたいで親父みたいでもある。奏一さんは、これからマキを客人扱いじゃなくて、俺たちと同じように接すると宣言した。まぁ、マキは大変だろうけど仕方ない。きっと、マキにとって良い刺激になるだろう。
マキ「僕…朝は…いらない…で」
奏一「朝ごはんは生活の基本だよ、しっかり食べなさい」
まぁ、奏一さんは、オカンみたいでもある。
マキ、修二に目で訴えてもダメだよ。奏一さんがいなくても、修二は奏一さんの弟だから、いずれこうなった。
まぁ、修二の方が優しいってだけで、根本は同じだからな。
マキは、奏一さんが用意したみんなより少し少なめの朝食を、何とか完食。
マキにあまり無理はさせたくないが、昨日みたいに食べないんじゃ困る。ここは、マキと似た修二をきっちり育てた奏一さんにお任せするのが得策だろう。
マキ、ファイト。
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