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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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マキは、奏一さんとデートした日から、元気になった。
完全にいつもの調子に戻り、修二にちょっかいかけるまでに回復していた。
奏一さんと最後に夕飯食べに行った定食屋さんが効いたみたいだ。
あの日から、毎日その定食屋に出かけて昼ごはんを食べてる。
奏一さんは夜、俺たちのマンションに来なくなった。その代わり、昼休憩の時間を使ってマキをその店に連れて行ってる。
マキの元気を取り戻した定食屋って、いったいどんな定食屋なんだ?
マキ「華南おかえり♪、ご飯にする?お風呂にする?それとも、あ・た・し?♪♪ふふふ」
可愛子ぶりっ子で俺をお出迎えして、ジョーダン言うようになったマキ、こうなってくると、ワンワン泣いたっていうマキは想像もつかない。いっぺん見てみたいなんて言ったら、修二とむつに殴られそうだ。
だけど顔色も良くなってニコニコしてるマキは、つい数日前のやつれて笑えなくなってたのが嘘みたいだ。きっと今のマキを百目鬼が見ても、マキの悲痛さは伝わらないかもしれない。
華南「また、むつが怒るぞ」
マキ「ふふふ♪むつ君が嫉妬して怒るの見るの好きなくせに♪」
クスクス笑うマキは、すっかりいつも通りで食欲も戻っていた。
百目鬼と別れて、1ヶ月半が経っていた。
ある日、雨が2日続いて建設作業が遅れ、内装工事の日程がズレたために早くマンションに帰った。
2時半にもならない時間の上がりに、修二たちとゆっくりできるとウキウキしながら真っ直ぐ帰った。
家に着くと、玄関には鍵が掛かってて。修二達が出掛けていないんだとガックリ肩を落としながら、鍵を使って中に入ると、誰もいないと思ってた家のリビングのソファーに、マキが寝ていた。
おろ…マキがうたた寝とは珍しい。
随分元気になったから、一人で寝れたのか?
そう思ってマキを覗き込むと、マキは雑誌を読みながら眠ってしまったようで、なんかの雑誌を開いたまま下敷きにしていた。
まさかエロ本じゃねぇーだろうな…
なんて冗談まじりで雑誌を見てみたら、それは、賃貸情報誌だった。
すでに目を通してあるのか何箇所か折り目が付けられてて、広がってるページには丸印まで付いてる。
賃貸!?まさかまた消える気か!?
華南「えッ!?」
驚きでデカイ声が出てしまい、俺の大きな声でマキがビクッとして目を開けた。
マキ「ん〜、あれぇ〜?…もう夕方?」
寝ぼけたマキは目を擦りながらのっそり起き上がった。起き上がる時、クシャッと音がして、マキは下敷きにしている物を見てヤバイと思ったのか、すぐに雑誌を閉じてヘラッと笑った。だが、俺はバッチリ見てしまった。
マキ「えへへぇ〜〜♪」
華南「今はまだ3時だよ」
マキ「…あ、そうなんだ…、早く仕事終わったんだね、…。えへっ…見た?」
ジトッと見る俺の顔を見つめて、誤魔化しきれないと悟ったマキは、ついに観念したようだ。
マキ「お願い、修二とむつには黙っといて」
両手を顔の前で合わせて、その後ろでウインクしながら可愛らしい顔してくる。
華南「お前は確かに可愛いが、俺には通用しないぞ」
マキ「やん♪僕とダーリンの仲じゃん♪」
華南「また、消えるつもりか?」
マキ「違う違う」
マキは、大げさと言わんばかりにヘラヘラしていたが、俺がジッと見つめると、だんだん口角が下がってシュンとしてしまう。
マキ「…ぁー…えっと…違うの…、消えるとかじゃなくて…、…っと…たくて…」
モジモジしながら言うもんだから、何言ってるのか聞こえない。マキってこんな顔もするんだな。
華南「マキ、聞こえない」
マキ「…うぅ…、二人に言わないでよ…」
マキは恥ずかしそうにしながら、隠した雑誌を見せてきた。
雑誌の表紙には〝ペットと住める部屋特集〟って書いてある。
華南「ペット?」
マキ「…。うん♪犬飼いたいんだぁ♪」
ああ、奏一さんと犬カフェ行って欲しくなっちゃたのか?
華南「…どんな犬?」
マキ「…………プードル」
消え入りそうな声でそう言った。
プードル?モコモコしたちっこいのか。なんでそんな恥ずかしがってんだ?
華南「ふーん、小型犬が良いのか、お前は大型犬連れてそうなイメージだけだな、犬と添い寝しそうな感じだし」
マキ「それも良いけど、…プードルが良いんだ。可愛いでしょ♪」
マキは、ヘヘッと照れ笑いして、ペロッと舌を出す。
華南「犬が飼いたいなら、別に修二にも言えるだろ」
マキ「ダメ、修二はダメだよ」
華南「なんで?」
マキ「とにかくダメなの!まだ、決めるわけじゃなくて、飼えたら良いなぁってだけだし…。犬って高額だし…」
華南「ふーん、俺の知り合い犬いっぱい飼ってる人いるけど…、たしか、こないだ子犬生まれたって言っ…」
マキ「子犬!!見たい見たい!」
俺に飛びつくようにソファーを乗り越えてきたマキは、その瞳をキラキラさせていた。
マキって犬好きだったのか?だから奏一さん犬カフェ連れてったのかな?
華南「分かった、連れてってやる。なぁ、その代わりと言っちゃアレだけど、毎回奏一さんとどこに行ってんのか教えろよ、そんなうまい店に連れてって貰ってるのか?」
マキ「…………修二から聞いてないの?」
華南「修二はペラペラ喋るタイプじゃないぜ」
マキ「…そっか」
マキは、俯いて少し考えたようだが、暫くして、躊躇うように俺を見上げたあと、小さい声で言った。
マキ「定食屋さんに連れてって貰った…。おばあちゃんの定食屋ってお店…」
おばあちゃんの定食屋?聞いたことないな…
マキ「……あの…ね…」
マキは俺から離れてモジモジしながらソファーに隠れ、背もたれから半分顔を出した。
マキ「怒らない?」
華南「なんで怒るんだ?」
マキ「…」
華南「奏一さんが連れてったんだろ?その定食屋に行ってから、お前元気になったし、いいんじゃねぇ?」
マキ「…そっか」
何かを考えてるマキに近づくためにしゃがんで視線を合わせると、顔を半分隠したマキと目が合った。
華南「その定食屋にどんな秘密があるんだ?」
言いやすいようにニタニタしながらからかい半分で聞いてやると、マキは瞳を揺らしながら、小さな声で言った。
マキ「………あのね……その定食屋って…、百目鬼さんの実家なの…」
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