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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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お酒の瓶を渡されて、急に緊張した。
菫ママを見ると、菫ママは優しく微笑む。
僕は、一度大きく深呼吸して、胸元の羽根籠ネックレスを握りしめた。
僕は、意を決して百目鬼さんと賢史さんのいるテーブルに一歩一歩近づく…
マキ「失礼しまーす♪」
明るい声を響かせてテープルの前で立ち止まると、百目鬼さんと賢史さんが同時に僕を見た。
賢史「あれ?マキちゃん、もしかしてその酒注いでくれるの?」
マキ「うん♪菫ママがご褒美だって♪」
賢史「おっ、バランタイン30じゃん、良い酒だねぇ。こっちおいでよ俺のお隣にどうぞ」
ご機嫌の賢史さんが自分の隣をポンポン隣を叩く。
百目鬼さんはその様子をジッと見ていた。
…大丈夫。
自分に言い聞かせながら、笑顔を作った。
マキ「菫ママが百目鬼さんと2人でどうぞって♪」
賢史「良いのかなぁ、神と2人じゃきっと、一本空けちゃうぜ、なぁ神」
百目鬼「…おい、さすがに一本は…」
賢史「なんだよ、今日はペース遅いなぁ、ああ、寝不足だから寝ちまいそうなのか?良いじゃん良いじゃん寝たら寝たで、家すぐそこだろ?俺が送ってやるよ」
ニヤニヤ意味深に言う賢史さんに、百目鬼さんは眉間にしわを寄せる。賢史さんは分かってて笑ってる。
賢史「さっ、マキ、どうぞどうぞ」
いつの間にか呼び捨て。ニヤニヤそう言って僕の手からお酒の乗ったお盆を取って腕を引いて賢史さんの隣に座らせた。
テーブルにお盆を置くと、僕の腰を抱いて体を密着させ、僕の太ももを撫でる。
賢史「今日は露出が少ないねぇ、折角の夏なのに、長ズボンだなんて色気がないなぁ」
あまりベタベタ触るから、太ももを撫でる手をつねったら、賢史さんは「イテテッ」とか大袈裟に痛がっておちゃらける。
マキ「オイタばかりして、賢史さん子供みたいです」
賢史「男は何歳になっても子供なの。それに普段じゃないとふざけてられないからねぇー」
そう言って再び僕の太ももを触ろうとしたからベチッと叩いといた。
マキ「セクハラばかりするなら賢史さんの分は入れてあげませんよ♪」
賢史「あー、どっちも捨てがたい」
マキ「こっちの腰に回した手も引っ込めないと、菫ママ呼びますよ」
そう言うと、参ったと降参するように、賢史さんは両手を上げて、僕から手を離した。
マキ「菫ママがソーダ割りでって言ってましたけど、お二人ともそれで良いですか?」
賢史「いいぜ」
百目鬼「あぁ」
マキ「はい、かしこまりました♪」
軽い口調で賢史さんとやり取りしながら、心臓はバクバクいってて、バランタインのソーダ割りを作るのに手が震えないように気を配った。
慎重にお酒を混ぜて、2人に提供する。
賢史さんは手渡したらすぐに口を付け、その奥深い味わいを堪能して「美味い!」って絶賛した。
マキ「百目鬼さん、どうぞ」
出来上がったお酒を百目鬼さんに差し出した、間に賢史さんがいるから、百目鬼さんにも手を伸ばしてもらい手渡す。
百目鬼さんがゆっくりグラスに口をつけるのを見つめて、百目鬼さんが一口飲み込むのをジッと待った。
マキ「…薄かったりする?」
寝不足だって言ってたから、賢史さんのより気持ち少なめに入れた。
上目遣いで尋ねると、百目鬼さんは僕と目が合わないように僕の方を見て「美味しいよ」と言ってくれた。
マキ「良かった♪」
ホッとして自然と笑顔が溢れる。
味のことじゃない、会話できてることにホッとして、嬉しくなっちゃった。
百目鬼「…」
マキ「薄かったり濃かったら言ってね♪調節するから♪」
百目鬼「…あぁ」
百目鬼さんは視線を斜めに逸らしながら返事した。だけど、そんなことは良いんだ。会話できてるだけで、なんだか嬉しい。きっと付き合ってたら、視線を逸らされたと嘆いたかもしれないけど、追い出されないで会話してもらえてるから、そんなことは今は気にならない。
そうして暫く、たわいもない話でお喋りした。だいたい賢史さんがベラベラ喋ってるんだけど。
賢史さんは隙あらば僕の体にボディータッチしてきたけど、僕はニッコリしながらつねったり叩いたりして成敗した、賢史さん本当にしつこい。
賢史「だから、一回デートしようって、そしたら俺の良さが分かるし相性も分かるだろ?」
賢史さんは酔いが回ってきたのか、饒舌に口説いてきて、体を密着させて太ももを撫で回す。いくら体を離しても、何度も体を寄せてくる。
マキ「ふふ、賢史さん酔っ払ってきたの?そんな口説き方じゃ誰もデートなんか行かないよ、下心丸見え♪」
賢史「ハハッ、紳士的に誘って襲うより、俺の下心丸出しの誘い方の方が紳士的だと思うだろう?」
マキ「賢史さんオヤジ臭ぁ〜い」
鼻を摘んで女の子みたいに言ったら、賢史さんが笑った。
賢史「お前は女子高生か」
マキ「わっ!頭くしゃくしゃにしないでよ」
賢史さんは僕の頭を両手でわしゃっと乱すから頭がボサボサに…
ーダン!
突然の叩きつけるような音に驚いた。
グラスがテーブルに乱暴に置かれ、百目鬼さんがグラスを僕に差し出しながら睨んでる。
百目鬼「お代わり」
マキ「あっ、ハイ」
手ぐしでサッと髪を整えて、百目鬼さんからグラスを受け取り新しいのを作ってると、賢史さんがニヤニヤしながら僕の肩を抱き寄せた。
マキ「わっ!溢れる」
賢史「なんだ神、嫉妬か?」
百目鬼「…」
賢史さんは抱き寄せた僕の肩をいやらしく撫でながら、ニタニタ百目鬼さんを眺め、百目鬼さんは賢史さんをギロっと睨む。
賢史「マキと俺が仲良くしてるのが羨ましいんだろ。逃がした魚は大きく見えるからなぁ」
百目鬼「…お前、飲み過ぎだ」
賢史「まだ酔ってねぇよ。これぐらいで使い物にならなくなったら勿体ないしな、なぁマキ」
そう言って賢史さんは空いてる僕の太ももを撫で回す。
僕の手には百目鬼さんのお酒があって身動きが取れずにいたら
百目鬼「…賢史、いい加減にしろ。子供相手に絡みすぎだ」
賢史「子供?今年で20歳だろ?」
百目鬼「今年はまだ19だ」
賢史「今年度20歳だろ」
空気がだんだんピリピリしてきて、止めようにも賢史さんは僕を抱く力を一層強める。
賢史「そうだ、マキが20才になったら俺が良い酒ご馳走してやるよ。誕生日はいつ?」
マキ「え、いらないよ、僕予定あるし」
賢史「あれ、先約?誰と過ごすのかな?」
ニタニタしながら賢史さんが僕に顔を近づけてくるから、賢史さんの顎を下からグイッと押し上げた。
マキ「内緒♪」
僕の次の誕生日は、どこに行くかもう決まってる。
賢史「じゃあ、誕生日の次の日でも良いぜ、祝ってやるから教えてよ。お酒と一緒に良いものプレゼントしてやるからさ」
そう言って賢史さんが僕だけに聞こえるように小声で耳打ちしてきた。
賢史「神の小さい頃の写真とか…」
えっ、見たい!
顔がほころんで声に出しそうになったのを慌てて口を噤んだ。
奏一さんには、朱雀の時と高校生の時の写真は見せてもらったけど、それより小さい時のは見てない…。
って、またしても僕は賢史さんに簡単に吊られそうになってるし…アハッ♪…。
百目鬼「…」
いけないいけない…
マキ「もう離してよ、百目鬼さんのお酒が薄くなっちゃうじゃん」
賢史「誕生日がいつか教えてくれたら離してやるよ」
マキ「…ハイハイ、3月2日ですぅ」
賢史「嘘ついてないか?」
マキ「ついてないよ。百目鬼さんに聞いてみれば?事務所のバイトした時履歴書に書いたし」
そう言われた賢史さんは、ジッと百目鬼さんを見つめる。
百目鬼さんは僕と賢史さんに見られて、瞳を瞬き少し間を開けて答えた。
百目鬼「…、そうだったな…」
賢史「えー、嘘臭えー」
嘘じゃない。
僕の出生届けは3月2日。本当に産まれた日は2月29日だけどね。
賭けだった。重荷になるかもしれないけど、僕は僕の言いたいことを、僕の気持ちを言うって、今度こそ聞いてもらうって…
呆れられてもキレられても、聞きたくないって言われるまでは言ってみようと思う。
僕は胸元の羽根籠ネックレスを握りしめ、賭けに出た。
マキ「本当だよ、誕生日は、オーロラを見に行くんだ。見えないかもしれないけど、夜空の写真撮ってくるから見せてあげる」
賢史「オーロラ?海外行くのか?」
百目鬼「………………」
怖くて百目鬼さんの顔が見れない。
賢史さんに向かって笑いかけるので精一杯。
マキ「ふふ♪海外じゃなくてね、北海道で見れるんだって♪」
百目鬼「…………………」
賢史「北海道?いや、日本じゃ見えないだろ」
マキ「ふふ♪それが見えるんだって♪まぁ、うん十年に一度的にだけどね、目には見えないかもしれないけど、あの空の向こうにはあるんだって♪」
百目鬼「………」
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