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〔裏番外〕狂愛♎︎<純愛13
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賢史「へー、オーロラねぇ。でも見えないかもしれないじゃん、うん十年に一度だろ?」
マキ「うん、いいの。凄く楽しかったから、もう一度行きたかったから、20歳の記念に行くの」
マキは…
なにを言ってるんだ…?
賢史とマキが話を続けているが、2人の言葉が頭に入ってこない。
オーロラを見に北海道に行くって?
誰と?…1人で?
俺が言った言葉だ、マキは見ようとしないだけで、空の向こうにはオーロラは存在するって言ったのは俺だ。
…って事は俺と?
その、さっきっから握りしめてる胸元の服の中には、あの羽根籠ネックレスがあるのか?
だとしたら、マキはなぜ俺を見てビクビク怯えている?
手が震えるほど俺が嫌なんじゃないのか?
マキ「百目鬼さん、お代わりお待たせしました」
百目鬼「…あぁ、ありがと」
不意に渡された酒を生返事で受け取り、視線を逸らしたまま、グイッと一気に半分くらい流し込む。
訳が分からない
その時、上ずったマキの声が、投げかけられた。
マキ「あの…」
賢史「どうした?」
マキ「…賢史さん」
賢史「ん?」
マキ「…百目鬼さん」
名前を呼ばれてマキを見ると、マキはガチガチに緊張していて、膝の上に両手を乗せた状態で右手首を握りしめ、唇を噛み締めて意を決した。
マキ「…ちゃんとお礼が言えてなかったから、言わせて。瀧本の件でご迷惑おかけしてごめんなさい!助けに来てくれてありがとうございました」
ソファーに座りながら、可能な限り頭を下げるマキを見て、なんだそっちかと思った。
賢史「おおっ!女王様にお礼言われるなんて光栄だな」
賢史は、その場の空気を察して重くしないように笑う。
俺はただ見てるだけで、マキから視線をそらしていた。
賢史「まぁまぁ、今後はあんな無茶してくれるなよ。被害者だろうと加害者だろうと、知ってる面が現場にあるのは胸が痛い訳よ」
マキ「うん。あの後、色んな人に怒られた」
マキが謝っていたが、謝ってるだけで、自己犠牲が治ったわけじゃ無い。
マキ「奏一さんにはみっちりお説教された。〝その根性叩きなおす!〟って毎日授業してもらった」
賢史「ハハッ、いるいるそういう熱血系。奏一お兄ちゃんは厳しそうだねぇ」
マキ「うん、厳しかった。でも、忙しいのに毎日会いに来てくれて、僕が納得するまで色んな話をしてくれた…」
そうか、奏一があの後マキをフォローしたのか…。奏一なら凄く気の利く優しくも厳しいお兄ちゃんだからきっとマキもと上手く話し合いが出来たろう。俺じゃ…マキを説得する事も、変えてやる事も出来ない…
マキ「僕ね、昔はずっと1人で行動してたんだ。同級生とか子供に見えるし、だから、こんなに大勢の人と一緒にいたりワイワイする事なくて、修二達と知り合って、なんか楽しくなっちゃって、百目鬼さんと知り合って百目鬼事務所のみんなと出会って、こんな楽しいところがあるんだって…」
マキが急に昔話を始めた。
俺がどんなに聞いたりしても、のらりくらりとごまかしていた話を、今、賢史と俺の前で話している。
マキが変わった。奏一と出会って…
自分の時は全く言うことを聞かなかったと、モヤっとして、胸の中で消化出来ない気持ちが溜まっていく。
賢史「俺とも出会えたしな」
マキ「賢史さんには、意地悪いっぱいされたけど。僕…、賢史さん嫌いじゃないよ」
賢史「えッ?」
マキ「友達思いで、信じた正義に真っ直ぐな所。百目鬼さんに敵が多いいからいつも目を光らせて百目鬼さんを守ろうとしてる所はカッコいいと思う」
賢史「バッ…!!おいおいやめろよ」
マキ「百目鬼さんのこと好きなんだよね♪大好きなんだよね♪」
賢史「ハァー!?キモい!だから、そんなんじゃねぇって」
百目鬼「賢史…」
賢史「見るな神!そんな目で見るな!蕁麻疹出そうだ!
俺はマジに、知ってる顔に手錠かけるとか嫌なんだよ!だいたい何度俺が止めてやったと思ってんだよ!俺がいなきゃ神はとっくに刑務所だろうが!」
百目鬼「俺のはほとんど正当防衛だ」
賢史「おーおー、そのほとんどの残りを俺が止めてやってんだろうが」
百目鬼「頼んでない」
賢史「ッとに可愛くねぇ男だよお前は、それでよくマキちゃんに注意できたな」
百目鬼「…」
取り繕って普通に会話に参加しながら、重く暗いものがジクジクと嫌な音を立てて腐るみたいに…
マキを変えたのは奏一か…
マキ「僕ね、賢史さんみたいになりたかった…」
は?
突然のマキの発言に驚きを隠せない。
こんなふざけたおんさんになりたい?奏一じゃなくて?
マキ「僕って、まだ20歳でもないガキで、そんな僕には、百目鬼さんみたいな大人は凄いかっこ良くてさ。百目鬼さんの役に立ちたかった。百目鬼さんが色んなこと頑張ってるから、僕もそのお手伝いがしたかったし、賢史さんみたいに背中を預けて貰える存在になりたかった……」
な………
マキ「僕、百目鬼さんみたいに甘やかしてくれる人に初めて会ったから、どうしていいか分からなかった。だって、僕だって男で、今までは守られるとかされた事なくて、なんかくすぐったくてさ、最初は凄く心地よかったけど、僕だってなんかできるって思ってて、百目鬼さんに何回も遊びじゃないって注意されたけど、僕は僕なりに百目鬼さんの為になったらって思ってて…。だって男だもん、大事なものはこの手で守りたいじゃない」
ああ、やっぱこいつは反省なんてしてねぇ
百目鬼「……それががガキだっつってんだ」
かろうじて怒鳴らず、しかし、音としては低く苛立ちを隠せない。
マキ「…うん、奏一さんに凄く怒られた。〝そういう生意気な事が言いたいなら、それだけの頭と力をつけてから言え〟って…」
まさか、力をつけてからなら守ってもいいとかアホな事言うんじゃねぇーだろうな?
いや、マキなら言う。
マキ「大事な友達とか、大事な仲間とか、大好きな場所とか、僕の力で守りたかった。だけど結果として、事態を大きくしちゃって助けられてちゃ意味ないよね。返っていっぱい迷惑けちゃって、ごめんなさい」
百目鬼「………ッ」
マキ「僕の我儘で、百目鬼さんにはいっぱい心配させて、ごめんなさい。ナイフの前に飛び出すのも、掴むのも殴られて当然だって奏一さんにもゲンコツもらいました」
奏一……、奏一に言われたらそんなしおらしく反省すんのか…。俺が言った時は、全く聞かなかったくせに…
賢史「………。まぁ…、反省してるなら良いじゃん。
なぁ、真面目な話でし喉渇かねぇ?マキちゃん飲み物無いし、なんかもう一杯作って来てあげよう」
マキ「あ、ありがとう」
賢史「気が効くイケメンさんだろ?」
賢史がマキにウインクして、カウンターへと向かった。馬鹿な俺でも分かる。賢史は、ワザと席を外して俺とマキを2人きりにした。
マキ「ッ…ど、百目鬼さん」
マキは、顔色が真っ白で、今にも倒れちまいそうだった。
百目鬼「…なんだ」
マキ「…隣…いい?」
百目鬼「…………あぁ」
マキは、隣に…と言ったのに、俺との間にひと席開けた距離に座った。
近づきたいのか、近づきたく無いのか…
マキの顔色は真っ青に近い
百目鬼「…………」
マキ「…あの、百目鬼さん」
百目鬼「…」
マキ「本当に反省してます。本当にすいませんでした」
反省ね…
少し前まで、俺の隣にいる時はいつも笑顔だったのに。だから、俺の隣でガチガチに緊張して真っ青なマキとどう接したらいいかわからない…
マキ「あのね…、聞いて欲しい事があって…、だから、聞いてて欲しいんだ…」
…
マキ「さっき、修二が言った事気にしないで♪、ちょこっと体調崩して食欲減っただけで、今は食べれてるから♪。修二とか奏一さんにお世話にはなったけど、もうなんの問題もないから、今は元通り元気だから♪」
百目鬼「…そうか」
…なんだ、結局嘘つきじゃないか…
マキは、俺が冷たくしたから、その空気を誤魔化すみたいに笑って、だらだら退院した後の事を話し出す。奏一に面倒見てもらったとか、また一人暮らしをするとか…
マキ「…百目鬼さん…、僕、百目鬼さんと最後に会った日、薬で興奮状態で何も言えなかったんだ…、だから、聞いて欲しくて…。聞きたくなかったら、聞いてるフリでもいいから、隣にいて…」
…聞けというなら聞くさ、今度はどんなに嘘で取り繕う?
マキは、またしても「ごめんなさい」から始まって自分が悪いと話し出す。
マキ「あっ、怒らないで。あの時の報告だから、僕のその考えが間違ってるっていうのは、奏一さんに散々言われたから…反省したし、今もしてる…」
また、奏一…
マキ「…百目鬼さん、僕と付き合わなきゃよかったって思ったでしょ?ごめんね」
は?
マキ「百目鬼さん…ずっと辛そうだったもんね…、僕とSEXした後、必ず後悔してたもんね。ごめんね、エッチな子で…」
後悔?
後悔じゃない、マキとSEXしたことを後悔したんじゃない、暴走する自分に反省しただけだ。…まぁ、毎回SEXしたがるお前には少々困ったが…。キレない自信がなかったからで…
マキ「でもね、百目鬼さん、僕が誘わないとあまりシたがらないでしょ?」
それは、暴走してお前を傷つけるから…
マキ「あれ、よくないよ。百目鬼さん気づいてないみたいだけど、普段もあんまりオナニーしないでしょ、百目鬼さんみたいな溜まりやすい人はこまめに発散しないと」
はあ?!
百目鬼「おい、なんの話をしてる」
思わずマキを見たら、マキはまっすぐ俺を見つめた。
マキ「百目鬼さんがずっと悩んでた事の答え」
百目鬼「は?」
こいつは、いったいなにが言いたい?
聞いて聞いてってお前の気持ちの話じゃなくて、俺の話?
顔色真っ青でなに言い出すかと思ったらオナニーの話って…益々マキのことがわからねぇ
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