アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
〔裏番外〕狂愛♎︎<純愛25
-
うーん。
なめらかなクリームプリン
焼きキャラメル香ばしプリン
プリンアラモード
抹茶プリン
マンゴープリン
どれを買ってやろう……
深夜0時を過ぎたコンビニに、強面で若干髪の乱れたしかめっ面の俺が、デザートコーナーの前で仁王立ち。
リストには無いが、マキにデザートを買ってやろうと思った。だか、今日に限って品揃えが豊富でやがる…。
マキとはよく2つ買って半分こするが、選ぶのはいつもマキ。
マキ『どーれーに、しーよーうーかぁな。ふふふ、今日はコレとコレ、半分こして食べよう♪』
百目鬼『2つともお前が食えばいいだろ』
マキ『もう、好きな癖にぃ、ア〜ンして食べさせてあげるから♪♪』
いつもいつも、ニコニコしながら、人を気性の荒いペットみたいに扱って手なづけるように、ヨシヨシしながら強制的にア〜ンと食べさせられてたなぁ…。
とてもじゃないが、賢史や菫や事務所の奴らには知られたくない……。
はぁ〜、結局、全種類買っちまった…。
思いの他重たくなったコンビニ袋をぶら下げて、馬鹿みたいに足早に家に帰る。
別にマキに言われたからじゃない、あんな淫獣1人にしといたらなにしでかすか分かったもんじゃない。
こんなにデザート買ってったら、ガキみたいに喜ぶか、それとも「そんなに食べたかったのぉー」とゲラゲラ笑うか……。
だけど気の利いたこと一つくらい出来なきゃ賢史にどんなチョッカイ掛けられるか分かっもんじゃない…。
少しでも喜んだ顔を…、少しでも良い…マキが笑顔でいられれば……
心の中でブツブツ言いながら、玄関の鍵穴に鍵を差し込んで回した瞬間、ゾッとした。
鍵が開いてる……
考えるより先に、乱暴に玄関を開け中に飛び込んだ。
百目鬼「マキッッ‼︎‼︎」
マキは何者かに狙われている。
コンビニに行ったわずか10分間ほどで…
まさか………
マキ「おかえりなさぁーい♪」
元気そうなマキの声がリビングから聞こえてきた。
玄関には、見覚えのある靴。
雪哉「神!」
百目鬼「雪哉…」
リビングから飛び出してきた雪哉が、俺を睨んで詰め寄ってきた。
雪哉「ちょっとちょっと!言えよ!!教えとけよ!マキ様居るんなら!いつからそうなったの!?知らないから来ちゃったじゃんか!合鍵使って入っちゃったじゃんか!!」
ご立腹であせあせしてる雪哉が、俺の胸を拳で小突く。
その様子を、リビングのソファーにちょこんと座ったマキが、複雑そうに眺めてる。
マキ「……………」
散々世話になりながら、雪哉に報告するのをすっかり忘れていた。と言っても、マキとどうなったか俺の口から言って知ってるのは、賢史だけだが…
百目鬼「わ、悪かった。昨日菫たちに呼ばれて行ったらマキがいて、それで…」
雪哉「あー、あー、生き返った顔しちゃって、もう!マキ様いない間のお前の顔マキ様に見せてやりたいよ!」
百目鬼「大きい声で言うなよ」
雪哉は大きくため息をついた後、俺の部屋の合鍵を出して小声で睨んできた。
雪哉「鍵返すよ。ケーキを冷蔵庫に入れといたから2人で食べな。後、マキ様のことフォローしろよ」
百目鬼「一緒に食えばいいだろう。お前には散々世話になったし説明する。ところでマキにフォローって何のだ?」
俺の質問に雪哉は愕然とした顔をして、また大きなため息をついた。
雪哉「はぁー、神ってそうゆうとこダメだよな」
百目鬼「何がだ」
雪哉「俺に感謝してくれて礼をしようっていうのは神の良いところだけど、今はタイミング最悪」
マキがいる時に雪哉が混ざるなんて今までにも何度もあったことなのに…?
いちいちマキとのことを人に話したくはないが、雪哉には身の回りの世話をしてもらっちまってた……
だから話しても良いと思ったのに…
雪哉「…、逆で考えてみろよ」
百目鬼「逆?」
雪哉「寄りを戻そうとした恋人の家に行ったら、恋人の家の合鍵持った男が出入りしてたら神ならどう思う?」
マキの家の合鍵を…他の男が……??
そう想像したら、なぜかむつが現れて、ニヤニヤしながらマキの家の合鍵をチラつかせてるのが思い浮かんだ。
むつ『なんだ、百目鬼の野郎が来てるのかよ、知らないから合鍵使って来ちまったよ。仕方ない今日は帰るけど、百目鬼いない日は呼べよマキ、合鍵使って夜中に可愛がりに来てやっからよ』
……コロス!!
雪哉「あー、その顔ならマキ様の気持ちも分かってもらえたみたいだね。でも勘違いするなよ、怒るのはお前じゃないからな、お前はマキ様をフォローする立場」
百目鬼「う……」
雪哉「じゃ、俺は帰るから」
雪哉が靴を履き始めると、リビングのマキがこちらを覗きながら声をかけてきた。
マキ「えっ、雪哉さん帰っちゃうの?」
雪哉「ごめんねマキ様!俺はマキ様大好きだから、さっき言っちゃったことは神の口から直接聞いて説明してもらってね!俺はマキ様の邪魔するつもりは、一ミクロンも無いから!神のやつマジに屍生活だったから、マキ様居なくてめっちゃ悲しんでたから!これからはマキ様が神の身の回りの世話とか、ベランダのゴミ出し明日の朝よろしく!!じゃっ!!」
そう言って逃げるように走り去る雪哉。
ちょっと待て!。
なんか余計なことまで言っていったろ!!
さっき言ったことってなんだ??鍵の話じゃ無いのか!?雪哉の奴何をマキに言ったんだ!?
不安の種を残して去っていった雪哉だが何も言えない。散々世話を掛けて感謝の一言も言わず、マキと話せたことも言わなかったのは俺なんだ………。
自分の手際の悪さが憎い。
恐る恐るリビングに入ると、マキがソファーで足を抱えてなんとも言えない表情で、俺の顔を見つめてきた。
マキ「……」
百目鬼「…雪哉に何を言われた?」
マキ「………」
無言のマキは、怒ってるとも悲しんでるとも判断のつかない顔をして俺を見ていたが、その視線が、俺の手にしている合鍵に注がれた。
百目鬼「…これは」
言葉に詰まる。やましいものでもなんでも無いが、これを説明するには、俺の恥を晒さなければならない。
マキ「……」
だが、マキにだけ素直になれと言って、自分のことは情けないからと隠すのも男らしく無い…。
百目鬼「この鍵は、お前と別れてからひと月くらい経ってから雪哉に預けたものだ」
マキ「…」
百目鬼「…見ての通り、部屋にはゴミ袋だらけだろ?お前と別れてからの俺は、雪哉や賢史曰く、目も当てられないくらいの状態だったとさ、仕事を真面目にしてるんだから良いだろうと言ったが、探偵は接客するんだからゴミ溜めにいるやつに依頼したいと思うかって雪哉に怒られて、それでも機能しない俺を見かねて雪哉が世話係を引き受けてくれた時渡したものだ」
マキ「…」
マキは表情を変えることなく、ジッと鍵を見つめてる。マキは今、何を考えているのか…。怒っているのか…、悲しいのか…、でも、雪哉に鍵を渡したのは、深い意味は無い、俺は帰らない日もあるし、雪哉は雪哉の都合のついた時だけ来てた………。
視線が下がっていたマキの瞳が、ゆっくり瞬いた後、視線を上げて、俺を見た。
マキ「……百目鬼さん」
百目鬼「なんだ…」
マキ「雪哉さんとエッチしたって本当?」
ードサッ!!
コンビニの袋が床に落ち、デザートが転がった。
綺麗に飾られていたプリンアラモードは、無残にもぐちゃぐちゃ…
マキ「………」
百目鬼「……それは…」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
779 / 1004