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(番外編)純愛>♎︎<狂愛12
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昔…。
清史郎さんの家を飛び出した時、いつか、新しい恋をして、大好きな人と毎日エッチして、毎日大好きだよって言って、大好きだよって言ってもらいたいと思ってた。
それで、外にデートに行って、手を繋いで、行く場所はどこでも良い、手を繋いで一緒ならどんな所もきっと楽しくて、やっぱり大好きな人のこと、大大大好きだなって再確認して、大好きだよってまた言って、その人に子供みたいだって笑われて、その人が耳元で「俺も大大大好きだよ」って言ってくれたら良いなって…。
清史郎さんの時、一度も好きだと言ってもらえなかったから、今度はいっぱい言って欲しくて、大好きな人に大好きって言ってもらえる日を夢見た。
1日の終わりは、その人の腕の中で眠って、1日の始まりは、その人の腕の中で起きて、おじいさんになっても、側にいられれば良いって思ってた。
だけど、SEX狂いの僕は、誰にも僕自身を好きになってもらえなかった。
いつしか、理想のことは忘れてその日暮らしが当たり前になってた。
だから、修二たちと出会った時。
修二が一途に恋してて、ヘラヘラ誤魔化して一歩も前に進めないのに、側にいれれば良いって、ちょっと僕に似てたから、臆病な恋を叶えてあげたくてちょっかいかけた。
幸い、華南はちょろい感じだし、むつは修二のこと大事にしてたから恋の種を蒔けば上手くすれば上手くいくと思ってた。
華南とむつに蒔いた種は、僕の想像を超えた。上手くいけば良いなぁくらいに思ってたのに、2人は、僕の理想のように修二の手を引いて、修二は思いの外闇が深かったけど、2人の真っ直ぐな想いが、日の当たる場所へと導いた。
3人は、僕の理想。
子供っぽい所がいっぱいあるし。
臆病で未熟だし。
友情から愛情に変わるのが時間がかかったし、まだまだ手探りだけど。
トラウマまで作った闇から抜け出して前に進む。
無鉄砲で正直で突拍子も無い上に天然なのに、太陽のように眩しく熱いむつと。
エロ魔神で、経験豊富で変態ちっくなのに、誰より懐の広い包容力男子の華南と。
チャラケたり時にお兄さんやお母さんみたいにしっかりしてるのに実はかなり臆病、だけど誰より心根が強くて純粋な修二。
あんな風な恋がしたい。
あんな風に想い合って。
支え合って成長する、素敵な恋がしたいと思って憧れた。
きっと毎日幸せだろうなって。
笑顔が絶えない修二達を見て羨ましかった。
清史郎さんの家を飛び出して、夢見て、でも現実は、毎日いろんな人とSEXして、恋することなんて忘れてた。
忘れてた夢を、修二たちが思い出させてくれて、そして僕は、百目鬼さんに出会って、この人が良いと思った。
百目鬼神さんの側にいたいって思った。
だって、百目鬼さんは、僕の欲しいもの全部持ってた。
百目鬼さんを癒して、側にいたい。
もし、叶うなら、好きになってもらいたいなって…。
側にいられれば良かったのに、百目鬼さんが素敵で可愛くて頑張ってるから、全部欲しくなっちゃった。百目鬼さんに、好きになってもらいたかった。
僕は、なんでも上手にできると思ってたのに、百目鬼さんとの距離が縮まるに連れて、色々分からなくなってきた。
百目鬼さんに恋してから、胸は痛むばかりで、彼の不器用な優しさは胸が壊れるほどドキドキした。
恋って、温かくて幸せなものだと思ってた。
でも違った。
痛くて、ドキドキして、不安で、怖くて、苦しくて、幸せで、嬉しくて、訳わかんなくなるもの。
涙が止まらなくなるもの。
修二達は、恋して成長して強くなったのに。
僕は、失うのが怖くて不安で、弱くなった。
百目鬼さんは、どうなのかな?
イライラしてて落ち込んでる。少しづつ猛獣は落ち着いてるけど…
本人は酷くなったとお困りの様子。
百目鬼さんと僕たちの間に種を蒔いていたとしたら、その種は、どんな姿をしているだろう?
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
茉爲宮家から裸足で連れ出された僕は、2時間阿修羅より怖い無言の百目鬼さんの車で帰還。車を降りると、毛布に包まれたまま、百目鬼さんに抱えられて百目鬼さんの自宅に帰ってきた。
帰ったら、家の中には何故か、ゲージの中でギャンギャン吠えるキングが…。
むつに預けたのに、ここにいるってことは、百目鬼さんは修二の家に行ったみたい。
百目鬼さんは、僕を運びながら低い声で「何された」と聞いてきたので「まだ…」と言いかけると、僕をソファーの上に降ろした。
百目鬼さんは目を合わせてくれない。でもそれは、僕の目が赤くて濡れてるから、もう泣き止んだけど、瞼は腫れてるし、まつげも前髪も濡れちゃったし、鼻が真っ赤だから。
そして百目鬼さんは、キングのゲージの側にあった荷物の中から、キング用のリードを取り出し、僕の足に取り付けた。
そんなことしなくても、逃げないのに…
そんなことを思っていたら、僕が座ってるソファーを僕が居るのに軽々持ち上げて、リードの持つところを、ソファーの足に通して取れなくした。
ええッ!?
百目鬼さんって強い上にメッチャ力ある。
百目鬼さんの武勇伝を、奏一さんから聞いてたけど、実際の所を一度も見たこと無いから、百目鬼さんの力に驚くばかり。
百目鬼さんが、『俺を守ろうなんてお前おかしいんだよ』って言ってた意味が、ちょっと分かった気がした。
弁護士連れてきたり、警察に賢史さんって友達いるし、北海道にいきなり行って宿泊手配してくれる友達いたり…
僕の場合は、僕の体しか無いし、手段も方法も子供の考えの領域。
改めて、百目鬼さんは、僕より人脈の広い、賢い大人なんだなぁって、今初めて実感した。
百目鬼さんは、僕をリードでソファーに繋ぐと、僕の鼻水のついたワイシャツを脱ぎ、脱衣所に向かう。
待ってる時間。吠えるキングを宥めてたけど、直ぐに帰ってくると思った百目鬼さんはリビングに姿を現さなかった。
次第に、僕の中に恐怖心が広がる。
さっきはああ言ってくれたけど、百目鬼さんが怒ってるのは変わり無い。
許せないから戻ってきてくれないのかと不安になって、脱衣所の方に向かったら、何やらボソボソ声が聞こえてきた。
百目鬼『だから…、奏一に聞いてる…、頼むよ…。ああ、ああ』
奏一さんに電話してるの?
百目鬼『無理だ、俺はそんな器用なこと出来ない、あの分からず屋に怒鳴ったって無駄だとわかってるが、怒鳴らずにいられない、それだけのことをあいつはした。あ?……すまん…ああ、分かった…』
あっ、電話が終わったみたい。
ソファーに戻らなきゃ!
慌ててソファーに戻って毛布に包まった瞬間に、ワイシャツの変わりに白いTシャツを着た百目鬼さんが戻ってきた。
百目鬼さんはやっぱり眉間にシワを寄せ、阿修羅より怖い顔してる。
百目鬼さんは台所で飲み物を用意して、ローテーブルを挟んで対面で座り、僕にマグカップを渡してきた。
マグカップは甘いチョコの香り。
これは、修二の家で奏一さんがよく作れたホットチョコレート。
奏一さんに、僕を落ち着かせるにはどうすれば良いか聞いたのかな?
でもね百目鬼さん。今はまだ外の気温が温かいし、素肌を晒しちゃいけないと思って毛布に包まってるけど、結構、僕今熱くて…
でも、そんな百目鬼さんが怒りながら怒りすぎちゃいけないって一生懸命考えてくれた結果なんだよね。これからどんな風に怒られるか、物凄く反省しなきゃいけないのに、僕の胸は、不器用な百目鬼さんの優しさに胸がいっぱいでキュンキュンしてる。
百目鬼「…ふぅー」
百目鬼さんは、頭の中に渦巻く怒りのガスを抜くように緊迫した様子で息を吐き、慎重に口を開いた。
百目鬼「いいかマキ、俺は今怒ってる。変な取り繕いと言い訳はお前の身を危険にさらすことになるから、そのつもりで答えろ」
マキ「はい」
百目鬼「ふぅー。…お前にも言いたいことがあるだろうが整理したい、まず、コレはお前が書いたものか?」
百目鬼さんが取り出したのは、一枚の紙。
そこには、パソコンの文字でこう書かれていた。
〝百目鬼神には、今後、二度と関わらないと誓う〟
という一行。
そしてその下には、僕の直筆のサインがしてあった。
えっ?!
コレは…
僕の時と同じ…
成一が百目鬼さんにこれを見せたの?!
僕、こんなの書いてない!!
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