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(番外編)純愛>♎︎<狂愛23
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奏一さんはとっても怖いです。
奏一さんにコッテリお説教され、一つのソファーで隣同士向かい合い、僕はソファーの上に正座してお叱りを受けてます。頭にゲンコツ頂いたので、頭のてっぺんがジンジン。
奏一「この大馬鹿タレ」
両手で痛む頭を抑えながら、涙目の僕は、懇懇と続くお叱りに思わず舌を噛んじゃうほど心に響いて反省してます。
マキ「…ご、ごめんなしゃい」
奏一「…。みんな、マキのことが心配なんだぞ。もうあんなことしちゃダメだ」
マキ「……ごめんなさい」
シュンと縮こまり、僕はひたすら謝る。
奏一さんのお叱りは、百目鬼さんみたいにガァーッと怒鳴るだけじゃない。
静かに言い聞かせ、理解してるか問い、納得いかないならとことん話し合うスタイル。
だから、僕の姑息な話術は全く通用しない。前も思ったけど、奏一さんには全く敵い。
僕は背中をシュンと丸めて、奏一さんが懇懇と諭して下さる言葉を胸に刻む。
だけど、奏一さんに怒られ心から深い反省しながら、僕は、正反対の感情にも包まれてた。
奏一「…、マキ、顔を上げて、俺の目を見ろ。言いたいことは残らず言いなさい。俺は命令してるんじゃないんだよ。溜め込んで謝っても、マキは納得できないだろ?」
マキ「ごめんなさい…。反省してます。ただ…知ってて欲しいのは、僕は、犠牲になろうとしたんじゃなくて、ちゃんと帰ろうとした…、僕だって男だもん、一発蹴りくらいれてやりたかった。…でも、結果が全てだから…、僕は、判断を誤って、また皆様に心配かけた…。だから、本当に反省してます」
奏一「…マキ、お前の気持ちが分からないわけじゃない、守りたいって本能が働いたら、とっさに手が出るもんだ。だけど、行動に移す前に想像しろ、マキが怪我したりしたら、その後の俺たちがどんな風に悲しむか」
マキ「……………悲しむ?」
奏一「マキ。俺も、百目鬼も、怒ってるんじゃない、悲しいんだ。それに以前言ったろ?男なら、引き際を誤るな」
静かに、だけどその言葉はどれも胸には熱位くらいで…。奏一さんは、鋭くひやりとするような瞳で、熱い愛のお説教。僕は、本当に心から反省してる。
だけど、そのお説教を嬉しいと思ってしまう。
僕は、こんな風にお説教されるのは、奏一さんや、百目鬼さん、修二やむつや華南に出会ってからが初めて。
泉はお説教って言うより、注意し、後は自己責任ですよって嗜める。
先生様は、誰彼構わずSEXすることには怒ったけど、僕の性格とか生き方とか、そういったことに強くは入ってこなかった。
清史郎さんは、怒ったことない。
まぁ、教育の面では厳しかったけど、それ以外は「優絆はお利口さんだね、これからも良い子でいるんだよ」と言って褒めてくれた。
マキ「本当にごめんなさい…」
奏一「…うん、反省して危ない事はもうしちゃダメだよ」
マキ「はい」
奏一「いい返事になったね」
奏一さんの表情が和らいだ。そしていつもの優しい顔で頭を撫でてくれる。
奏一「お説教終わり。マキが無事で良かった」
奏一さんの整った顔が近づいてきて、僕は奏一さんの腕の中に包まれてた。
回された腕はギューっと僕を抱くのに、その腕は温かく優しい。
驚いて目をパチクリしていた僕は、なんだか擽ったい気持ちが広がって、ジンワリ心が温まる。奏一さんの強い腕に抱きしめられながら、優しさに包まれるような安心感は、初めての感覚で、なんだか恥ずかしい。
賢史「あらら、女王様が生娘みたいな反応してらぁ、顔が真っ赤だよ」
百目鬼「………」
賢史「おーおー、こっちは違う意味で心の中真っ赤で大変だなぁ…、ハハッ」
僕と奏一さんが話してるのを、百目鬼さんはジッと黙って見つめてた。
それは知ってたけど、僕は奏一さんの腕に抱きしめられながら、初めてに近い感覚にそれは何だろうかと身を委ねる。温かくて、擽ったくて、恥ずかしくて、胸がギューっとした後ホッと緩んでいく…。
そういえば、修二にも同じような気持ちになったけど、奏一さんの時の方がより強くて、包まれてる感覚が強い…。
奏一さんの腕の中って…
気持ちいいなぁ…
ぬくぬくとして強くて、ギューっとされてるのにふわふわの毛布で包まれてるみたい。
百目鬼「ッ…奏一」
気がつくと、百目鬼さんが、僕と奏一さんの真隣に困ったように険しい表情で立ってた。
奏一「なんだよ」
奏一さんは抗議するように、さらに僕をギュッと抱きしめる。
百目鬼「ッ…ッ…話がある」
奏一「だからなんだよ」
百目鬼「マキから離れてから…」
奏一「このままでも聞ける」
えー…っと…。
僕はどうしたら…。
奏一さんの腕の中は気持ちいいし、嫉妬してて顔が歪みまくってる百目鬼さん可愛いし。僕の心臓はドキドキ。
その時ふと見ると、カウンターに雪哉さんがいるのが見えた。
雪哉さんも来たんだ♪
雪哉さんとカウンターで話してるのって…この前会った弁護士さん?だよね…。確か烏磨さん?
あっ、賢史さんも混ざった。みんな知り合いなのかな?
僕の意識が百目鬼さんと奏一さんから逸れてたら、突然、奏一さんが小さくだが声を荒げたから驚いた。
奏一「ァア¨?!」
次の瞬間、奏一さんの右ストレートが百目鬼さんのみぞおちめがけて飛び出した。
奏一「俺に言うのは違うだろ!」
えっ?
何?聞いてなかった…
百目鬼「ッ…違う、ケジメのつもりだ」
うわっ、超痛そう…
奏一「てめぇーのそういうところがマキを不安にすんだ!」
えっ?
僕?!
その時。
ーガチャ!!
むつ「こんばんわーー!!お待たせしましたぁ」
百目鬼さん奏一さんの緊迫した空気を破るように、むつの明るい声が響き渡った。
むつは、僕を見つけるとニカッと笑う。
むつ「マキー!さっきそこで見つけたからゲストを連れて来たぜぇー!」
むつに続いて華南と修二も入ってきたが、ゲストとやらは見当たらない。
マキ「誰?」
僕がキョトンとするのを見て、むつはゲストが着いてきてないのに気がつき、ドアの外で声を荒げる。
むつ「おい!何やってんだよ!ビビんなよ!マキが居っから来いよ!!」
むつが外から引きずってきたのは…
マキ「あっ!つよし!!」
つよし「こ、こここここんばんは…」
卒業して以来見る、相変わらず小さくてオドオドして前髪の長い、岩龍剛(がんりゅうつよし)が涙目で登場した。
菫ママの店に、こないだほどお姉様方はたたないけど、同じくらいの濃い面子の集合っぷり…
更には偶然だろうけど、懐かしい顔まで見えて、なんだか凄く賑やか……
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