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25〔裏番外〕ゆくえ……
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ーブーー♪ブーー♪ブーッ
百目鬼「ッ…もしもし…」
ベッドサイドに置いてあった携帯が震え、手探りで掴んで受話器を取った。
眠気で重だるい体を起こして、かろうじて開けた瞳には、カーテンの漏れる光が眩しく映る。
烏磨『ククッ…、昨日はお楽しみだったのかな?』
掠れた声を笑われて、受話器の向こうで愉快そうにしてる烏磨の声。
ハッとして、ベッドの上を確認すると、俺の隣ではだけたマキが眠っていた。結局朝までコースで散々啼かせて気を失わせた。横たわるマキにタオルケットをかけて肌を隠し、マキから少し距離を取り起こしてしまわないように声をひそめる。
百目鬼「何の用だ」
笑われたことに不機嫌になったのに、烏磨はそれに気がつきながら、なお笑いながら続けた。
烏磨『フッ、茉爲宮優絆ちゃんは無事かい?愛し過ぎて、壊してやしないだろうな』
百目鬼「…なんとか無事だよ」
烏磨『クックッ惚気?。幸せそうで何よりです』
鼻で笑ってやがるのに何が幸せで何よりだよ…
相変わらず馬鹿にした喋り方しやがって。
こっちは、ほんの少しマキのことを知れたと喜んでると、なんかしらズレが生じてその度俺がキレちまう。関係が良くなってんのか悪いままなのかよく分かりゃしねぇ。
百目鬼「だから何の用だ」
烏磨『おー怖い。そんな凄んで私を怯えさせないでください、小鳥のように小心者なんですから』
百目鬼「どこがだ、仕事ならヤクザの本拠地に一人で交渉に行くほど肝っ玉座った男だろお前は」
烏磨『私はお話に行っただけです。20人に囲まれてたった一人で熨してしまう方には遠く及ばないですよ』
百目鬼「俺はお前みたいに口が上手くねぇし、ずる賢い頭もねぇからな」
烏磨『褒め言葉として受け取っておきますよ。ところで、不機嫌だからと私を邪険に扱って困るのはあなたなんじゃないですか?ご依頼が終了したので結果報告に昨日からご連絡してるのですが』
百目鬼「終了!?こんなに早く?!」
烏丸に茉爲宮家の件で間に立ってもらってる。だが、あいつらは金も権力も持ち合わせていて、半年は揉めると思っていた。
烏磨『私を誰だと思ってるんですか?』
百目鬼「烏磨様だなぁ」
烏磨『ククッ、ご理解頂けて嬉しいです。成一の後処理は全て終わらせました、裁判になったら困るのはあちらさんですから、そこは瞬殺でしたよ』
百目鬼「ありとあらゆる手段を使って脅したんだろう」
こいつなら、朝飯前だろう。
烏磨『おや、そのネタを提供したのは貴方でしょ?人を怖い人みたいに言わないで下さい。それに成一さんが怖がっていたのは百目鬼神、貴方のことですよ。元朱雀の貴方をね』
百目鬼「怖がってもらわなきゃ困るからな、マキには、二度と会わせないし見せもしない」
烏磨『そこらへんの制約もキチンと作りました。安全は保証します。それから貴方が一番望んでることについてですが、例の件は提案②で承諾を取り付けましたよ』
百目鬼「マジか!」
第一希望ではないが、一ヶ月弱で首を縦に振らせるなんて驚きだ。
烏磨『本気と書いてマジです』
百目鬼「こんなに早く納得するとは思わなかった」
烏磨『…まぁ、私の力だけではありませんね、貴方が彼との約束を果たしていたからでしょう。嫉妬深い貴方がよく我慢したもんですよ』
そうだ、俺も覚悟を決めた。
半年なんてあっという間だ。気持ちを信じられず覚悟もなかったから、目の前の一瞬に縋った。
だが、一瞬縋ったところで、それは手に入ったのとは違う。結局同じ事の繰り返しで、目の前に雁字搦めにしなきゃ安心できない、そうなると、人形を抱きしめてるのと同じだと思った。
俺は、いい子ちゃんのマキを手に入れたい訳じゃない。
今は我慢の時期だ、これからのために、色々と知ったり話し合ったり、マキの言ったように、俺たちのルールを作って…
俺は、もうマキを手離すつもりはない。
マキには、その覚悟があるのか?
返ってこない腕時計は、マキに勇気が芽生えないからか…
それとも…
烏磨『…そうゆう柔軟さは、茉爲宮優絆君の影響ですかね?随分可愛らしく手懐けられましたね、ライオンさん』
百目鬼「あ¨ッ?!誰から聞いた?」
烏磨『ケーキ屋さんで小耳に挟みましたよ』
百目鬼「雪哉の野郎」
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