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「からかいたい」4
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変な出会いをしてから数日。
今度こそ神をからかってやろうと仕事終わりに事務所へ顔を出したら、丁度事務所の階段から椎名さんとつよしと女王様が下りてきた。
神のプロポーズ後、初めて見る女王様は、とんでもない事になってた。
今までは、エロくて艶かしいオーラが妖艶に漂って完成された美しさが近寄りがたさを感じさせていたが…。
今の女王様は、エロいのは相変わらず…いや、むしろもっと艶々してるか?だが一番感じるのは何だかキラキラして〝可愛らしい〟という表現を強く感じた。
椎名さんには懐いているのか、綻んだ顔が、何だかいつものミステリアスな何考えてるかわからない妖艶な微笑みより柔らかくてふにゃっと幼い笑顔を浮かべてる。これは相手が椎名さんだからか?…それともポンコツのプロポーズの成果か…
マキ「あっ!賢史さん♪」
俺に気がついた女王様は、ニコニコしながら手を振ってくれたが、その顔から幼い可愛らしい笑顔は引っ込んで隠れてしまう。
以前朱雀と間違えてホテルに連れ込んで酷いことをしたから、女王様は俺に対して警戒してる。まぁ、以前より柔らかくはなったが、きっとこの先も女王様が俺に気を許すことはないだろう。
っていうか、女王様が真に心を許してるのは、恐らく神だけだろう…。俺が見た中では、水森泉や修二や奏一には懐いてるように見えたが、あの日、瀧本邸で感情むき出しのマキを見た時、こいつの持つ弱さや甘えや愛される事に不器用な幼さを見た。それは、今まで見たどんな場面のマキとも違って、暗闇の中で必死に神が好きだと叫んで泣いて嗚咽を漏らすほど必死に求め、でも、「あなたの為にならないなら、僕は声を殺す」と言っているようで痛々しかった。
まぁ、それまでは、俺自身マキを信用してなかったし、今だって多少、綺麗で若い女王様はいつか神を置いて飛んでっちまうんじゃないかって気はぬぐいきれない。…が、号泣したマキを見て、今まで見ていた女王様像が、かなり作られたものなんだと痛感した。
そして何より、あのお別れで一番痛感したのは…
女王様が神をオアシスのように渇望して、でも幻だと、求める気持ちを押し殺して、神を縛りすぎないようにしてるのかと思ってたが、違ってたってこと。
神が、無意識にマキを溺愛して離れられなくて、でも、あいつの過去と、不器用な心が、闇の多過ぎるがゆえに綺麗に見える女王様をどう触れていいか迷って苦悩して、最善を目指すがゆえに最悪の結果を導き出してて…。
…俺は、神に次こそは幸せな恋愛をして欲しいと思うがゆえに、一番大事なことを失念していた。
神は、とても大事な人をこそ、泣かせてしまう。
女王様と神じゃ、互いに深い闇を抱えてて、神に明るい未来を望む俺としては、純粋で真っ直ぐ神を愛する人間が神にふさわしいと思っていたが…
マキと別れてる間の神は、完全に死んでた。
修二の時よりヤバかったと思う。
マキの実家の問題も、自分の過去のせいでマキが狙われるかもしれないと鬼気迫ってて…、このまんまじゃマジで倒れると、俺も周りも気が気じゃなかった。
そんなに好きだったなら、好きだと言えばいいのに、変なところで頑固で、自分のルールは曲げないアホぶりで。どうしようかと思ったぜ…。しかもそれを自覚してないあたり…、マジで手がかかる…。
まぁ、悪いのは俺か…。
完全に見失ってた。神に相応しい相手じゃなきゃ…ではなくて、神の本当の幸せを見てやらなきゃダメだったんだ……。
マキが、本当に神を好きで、神は暴走が止められないほどマキを好きで、お互いがお互いを思って、狂ったもの同士、失いたくないと執着してる。
聞こえは悪いが、二人の中身をよく考えればお似合いなんだよな…、愛に飢えた猛獣同士だから……
マキ「また大好きな百目鬼さんに会いに来たの?」
悪戯っぽく笑う女王様。
矢田から浮気の話を聞いたんだろう。からかうようにヘラヘラ笑ってやがる。
賢史「よぉ、女王様。リア充だだ漏れでツヤツヤしてんじゃねぇか」
マキ「ふふ♪いいでしょぉー♪」
賢史「毎晩朝まで激しくて離してもらえなくて噛まれまくって、足腰ガクガクでベッドから出てこれないんじゃないかと心配してやったのに」
俺の言葉に、マキはニコニコしていたが、椎名さんとつよしが顔を真っ赤にしてオロオロしだした。
何だか雪哉みたいに期待感漂うソワソワした仕草の椎名さんと、こういった話に免疫なさそうなピュアな反応のつよし。
しかし、女王様はさすがというか…
マキ「うふふ♪毎晩朝まで離してはもらえないし、足腰立たないけど、僕が大学には行けるように激し過ぎないようにセーブしてるつもりなんだって。今の百目鬼さんは全然猛獣さんになったりしてないのに、まだ気がつかないみたい、不器用過ぎて可愛いでしょ♪」
こいつ、地味に俺に応戦しやがるし…
神にマキの話を聞くと、最近は恥ずかしがったりしてクソ可愛いくてどうにかして欲しいと吠えてるが、この女王様が、恥ずかしがったりとか、想像できない。いっぺん見学したいもんだ。女王様の仮面の下の、純粋で恥ずかしがり屋の幼いマキとやらを……
賢史「神で満足できなかったらいつでも相手してやるぜ」
マキ「ふふっ♪僕は百目鬼さん専用だから賢史さんの形は合わないよ♪」
ニコニコヘラヘラしてるが、女王様の顔には満たされて幸せそうな雰囲気が滲み出てた。
手を伸ばしたいけど伸ばさない、泣いてるのに泣かないフリ…、自分は愛されないと泣いていたマキは、神の狂愛の腕の中で、ぬくぬく暑苦しいくらいの愛情に抱きしめられて、神の気持ちを信じ始め…、神に愛されてるんだと実感し始めてるみたいだ…。
キツイくらい抱きしめられて、同棲して独占されて束縛されて、将来籍まで入れる約束をして、そこまでしてやっと、実感し始めるってどんだけ愛され慣れてないんだよ。ここまでしたら普通は狂愛に押しつぶされて窒息するもんなのに、マキは、これだけの狂愛に雁字搦めにされてやっと、神の気持ちが自分に向いてると、愛されてるのかな?って怯えながら、神の腕の中で辿々しく神を抱きしめ返す気になったらしい……
どんだけだよ……。
俺からしたら、神が狂ってるなら、マキも神以上に狂ってると思うがな……。
つよし「マ、ママママキさん、ここ外ですよ、な、何て会話をしてるんですか、泉さんに怒られますよ」
真っ赤な小動物が小さな手をぶるぶる震わせながら抗議してきた。気が弱いのか、度胸があるのか、この小動物は面白い。
マキ「やだぁ、学校じゃないんだから泉に怒られたりしないよ、それに僕のが百目鬼さんの形になっちゃってるのは事実だもん♪つよしが誰かの形になる時は、僕が事前準備お手伝いしてあげるからね♪」
つよし「ぎゃっ!な、ななななんてこと言うんですかッ!!」
つよしは処女で男いけるのか…
ってか、中学生だろ?まぁ、処女だろうなぁ…
椎名「こらこら、マキはつよし君のこと可愛いからってからかわないの」
マキ「はーい♪」
からかうのをやめる気は無いって顔して笑ってやがる…。
マキ「そうだ賢史さん、つよしが賢史さんにお礼とお詫びをしたかったんだって」
賢史「は?お詫び?」
お礼は、送ったことに対してだろうが、お詫び?
ビクビク縮こまる小動物つよしが、申し訳なさそうに俺に深々謝り出した。
つよし「こ、こないだは、ユリちゃんが失礼なこと言ってすいません、あ、あと、肩は大丈夫でしたか?」
ボサボサの前髪で見えないが、おそらく、あのつぶらで綺麗なエメラルドグリーンの瞳が涙目で申し訳なさそうに揺れてるんだろう…。
マキ「あはは♪ウケる♪賢史さんドロップキックされたんでしょ♪」
賢史「随分楽しそうだな、ただのドロップキックじゃないぞ、ハイヒールが刺さったんだぞ」
益々ゲラゲラ笑うマキ。つよしは申し訳なさそうに縮こまり、ユリのしでかしたことに羞恥で真っ赤になりながら益々落ち込む。そしてなぜか、ハイヒールでドロップキックと聞いて椎名さんが慌てて口元を隠してそっぽを向いたが、隠した顔は一瞬ニヤけてたように見えた。
つよし「す、すいません」
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