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溺愛7
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僕の瞳の色を12色で言ったら。
真ん中が黒で、その周りに茶色、1番外側が灰色って感じ。角度によっては、灰色の部分が緑色にも見える。
黒の瞳孔の周りの虹彩の模様が濃くて、まるで曇り空みたいなモヤモヤの模様みたい。
僕は自分の瞳を綺麗だと思ったことはない。
だけど、神さんは、僕の瞳は宇宙みたいでジュピター色で綺麗だと気に入ってくれてて、僕がこの瞳でジッと見つめると弱い。
だけど…
宝石みたいなエメラルドグリーンの瞳の方が、きっと…綺麗だ…
…。
『ふふ、本当だ、若い若い。…大人になるとそんな風に真っ直ぐは言葉にできないのよね…。臆病になるのよね』
初めての時は、なんの疑いもなく全てあげられた…
だって、全部初めてだったから…
全て捧げて、全て要らなくなって…
どうでもよくなって好き放題した結果。
今になって、僕の全部をあげたいと思う神さんに出会えたのに、僕には神さんにあげられるものは何も残ってなくて。…全部自分で汚してしまったから…。
神さんには、あんなに素敵な気持ちをいっぱい貰ってばかりなのに…。
今になって、自分が綺麗だったら良かったのにと、後悔する。
こうやってだんだん臆病になるのかな?
失敗して、失敗して、次の失敗が怖くなるのかな?
僕がこんな風に不安なら、神さんはもっと不安なのかな?
こんなに幸せなのに…
モヤモヤする…
……怖い……。
神さんに、この素敵な幸せを貰って、僕は、何を返したらいいかな?
修二「…マキ?」
マキ「ッ…あはっ♪修二」
このモヤモヤするものを、誰かに聞いてみたかった。
誰かにって、誰だろうって…、修二の顔が最初に浮かんだ。でも…、修二なら、〝気にしすぎだよ。百目鬼さんなら大丈夫だよ〟ってきっと言う。
……そう、言われたいだけなのかな?
言ってもらえたら、安心出来るのかな?
むつ「修二、ほっとけよ、マキの奴また百目鬼のこと考えてるんだぜ」
修二「むーつ。マキが来なきゃ来ないで、心配してブツブツ言うくせに、マキと百目鬼さんのこと気になってって仕方ないでしょ、悪態ばっかつかないの」
むつ「別に気になってねーし!」
修二「はいはい、そういうことにしときます」
むつ「おい!」
修二は、相変わらずむつのお母さんみたい。
というか、前よりどっしりとした感じで、修二の笑顔が柔らかくて温かい。昔のむつを見ると嬉しそうに笑いながらどこか切なげだったものは、なくなった。
羨ましい…。
修二たちのことがずっと羨ましい。修二たちは、僕の想像の通り、理想のカップルだ。
相談しに来たのに、いつもの調子でむつをからかって、修二をからかって、美味しいおやつを食べたら、もうこんな時間。
今日はもう諦めて帰ろう。神さんの仕事が終わっちゃう。
修二「待ってマキ、駅まで送るよ」
マキ「えっ、大丈夫だよ。修二は夕飯の支度あるでしょ」
修二「うん、その夕飯の買い忘れ」
そう言いながら上着を羽織る修二は、僕が何か言いたそうなのが分かったって顔してた。
修二には、…いつもバレちゃう。
修二は何でもかんでもでしゃばったりしない、そうしなくても、むつが先にやっちゃうし、華南がフォローするし。修二はいつも、2人の後ろで見守ってる。でも、控えてばかりでもない。本当に必要な時は、怒鳴って、内に秘めた情熱を放出する。
その熱は、むつみたいに焦がすような熱さじゃなくて。華南みたいに優しく包み込む温かさだけじゃなくて、両方を持った、情熱と優しさを持つ熱。
修二達の住むマンションか、出て2人っきりになったら、修二がさりげなく話してくれる。
修二「…僕ちゃんはさ、いつまでたっても慣れないよ。むつも、華南も、2人いると色々やり方違うし、慣れたかなぁって思った頃には、2人とも変化してるから。ほんのちょっとのことだけど、熱量が1度変わっただけで、のぼせちゃいそう」
マキ「…」
修二「マキは今、毎日のぼせちゃってるんだよ。百目鬼さん相手じゃ、かなり高温だし温度差激しいでしょ」
修二は、僕のことも分かってるし、百目鬼さんのことも…よく知ってる。
密に側にいた時間があるんだから、当たり前なんだけど…。
マキ「…もう、普通の温度を普通だと思えなくなってる…。分かってるのに、思っちゃうんだ。修二もそうだった?」
修二「そうだね。でも、むつと華南相手じゃ、そんな風に考える時間すらくれないし」
マキ「…信じてないんじゃないんだ…でも…」
神さんが何度も言ってくれた。
〝信じろ〟って…、側にいる、ずっと一緒だって、僕のこと好きだって…
修二「…兄貴がね、いつも言ってるんだけど、〝でも、だって〟は言い訳だって気づいてる時言っちゃう言葉だって」
マキ「…言い訳…っていうか、夢見てたことがいきなり叶ったら、誰だって驚くでしょ、僕はそんな感じなだけで、これが夢だって信じてないのとは違うんだ。神さんは分かってくれないけど…」
修二「…マキの気持ち分かるよ。僕ちゃんもそうだった。だけどね、むつと華南が許してくれないんだ。保険をかけるなって、落っこちた時の衝撃を和らげようと、落ちた時のためにアレコレ備えるのを、むつと華南は許さない」
マキ「修二には、それくらいが丁度いいよ」
修二「その言葉、そっくりそのまま返しますぅ」
マキ「…、僕は、備えてるわけじゃない。命綱すら百目鬼さんは嫌がるって知ってる。ただ真っ直ぐ、そこに道があると信じて進まなきゃ、百目鬼さんには届かない」
修二「…届かないとか、そこに道があるとか、もうそういうことじゃないんだよ。マキはガッチリ百目鬼さんの手の中だから、もう、百目鬼さんはベッタベタに甘やかしてお菓子の家を建てちゃうくらいの甘さだから」
修二の時もそうだった?
マキ「やーん、毎日美味しくて甘い餌付けされて、僕ってば丸々太っちゃうよー。元に戻れなくなっちゃうー」
聞きたい言葉が喉に張り付く。
知りたいことが、直視できない。
修二「…戻れないよ。もう、とっくに戻れない。それは自分が1番分かってるでしょ?平気でいることなんて出来ない。あの時、痛感したでしょ?〝相手のために離れよう〟なんて出来ない。無かったことにもできない。知らなかった事にもできない」
マキ「別に、もう離れようなんて思ってない、離れられるとも思ってない。むしろ、…」
朝目覚める時、ぬくぬくの神さんの腕の中で、神さんが優しく僕の頭を撫でながら、キュッと僕の腰を抱いて、僕の髪にくちづける。眠気で瞼が開かないのを、ちょんちょんって唇でノックするようにキスしてきて、僕が瞳を開けると、とろけるような優しい笑顔でおはようって言ってきて、優しく甘い唇を重ねる。
マキ「もっと…って思っちゃってる」
今までだったら、隣にいられれば良かった。それで十分幸せで。声が聞けて、姿を見ることができて、その仕草や表情を知ることができれば、それで満足できてた。
修二「……。マキ。マキは、それでいいんじゃないかな?百目鬼さんに溺愛されてて良いんだよ」
マキ「…ッ…デキ…アイ?」
修二「…ふふふ、何その顔、ぐちゃぐちゃじゃん。恥ずかしいの?信じられないの?困ってるの?そんな風に思ってなかった?ビックリして茹だっちゃった?顔真っ赤だよ」
マキ「ッ…なんか、全部言い当てられるともっと複雑なんだけど」
修二「いつもは、楽しそうにマキがやってることだよ」
マキ「修二が虐めるぅー」
修二「あはは。虐めてないよ」
そういいながら、修二は楽しそうに笑ってる。
修二「ねぇ、マキ。何もかも上手くいって順調だと、逆に不安になるもんだよ。急に良いことばかり起こったら、次は悪いことが起こるかなって思っちゃうもんだよ。マキが追っかけてた百目鬼さんの背中は、もう見えないよ。だって、今は、百目鬼さんと正面から向き合ってるんだもん。百目鬼さんの背中を見ようとしても見えないよ、その代わり、百目鬼さんの表情がよく見えるようになったでしょ。百目鬼さんはどんな表情してる?」
修二の優しい瞳が、僕を見つめる。
その柔らかい雰囲気と、いつでも人を癒すような優しい眼差しに、自然と心の中にあった言葉が漏れた。
…。
マキ「……神さんは…、…いつも優しくて…、すぐ拗ねたり嫉妬したり困った顔したり…。子供みたいで凄く可愛いくて、いつでもギュってしてあげたいのに…、ビックリするくらい大きくて大人で…焼けつきそうなくらい熱くて、強くて、かっこいい………」
思わず声にしてしまった。
それを聞いて、修二が、本当に嬉しそうに、本当に本当に嬉しそうに笑ったんだ。
どうして修二は、こんな風に笑うんだろう?
どうして修二は、こんなに綺麗なんだろう?
どうして、修二が笑うと、僕の胸が温かくなるんだろう?
修二「…マキ、せっかく幸せだと思えてるなら、不幸探しをしなくて良いんじゃないかな?マキなら、この心理状態をよく知ってるんじゃない?」
本当は、知ってる。
自分が無駄なことしてるって。
足元見て現実を見ようと必死だって、グルグルしても、結果、神さんのぬくい腕の中に甘やかされて目覚めるって。
目が覚めたら、そこに神さんがいるって、もうそれが当たり前になってる。
僕の反応に、修二がやっぱりねって顔した。
そしてちょっとのムスッと拗ねたように、赤らんだ頬は、恥ずかしいからか、怒ってるからか。修二が口を尖らせた。
修二「ねぇ、僕ちゃん忘れてないよ、マキが教えてくれた事色々。マキが叱咤激励して散々恥ずかしいやり方で僕の体に仕込んだこととか。
マキは、忘れちゃったの?」
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