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キングの冒険3
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ーガサガサッ
大学敷地内の木のある茂みに潜入成功!
だけど、肝心のマキを見失った。ワフゥッ。
これは全部百目鬼のせいだ!
車を降りる時、どうやって見つからないようにしようかと悩んだが、それは意外に簡単にクリア出来た。
マキが助手席のドアを開けて降りようとしたら、百目鬼が引き留めてキスしだした。朝からどんだけマキに甘えれば気がすむのやら。
まぁ、その間に俺は車から降りて、物陰に隠れて百目鬼が帰るのを待った。今百目鬼に見つかったら連れ戻されて終わっちゃうからな。
だけど百目鬼は、マキが大学の正門をくぐって見えなくなるまで見送るから、マキを見失っちゃったよ!
しかも、正門には、怖い見張り番みたいな奴がいて、って言っても百目鬼の方が数倍悪人ヅラだけど。簡単には中に入れそうになくて、少しウロウロしちゃったぜ。やっとの思いで隙間をくぐって入り込んだ先は、緑が生い茂り、その向こうには見たことないほど大きな建物があって、人がいっぱい歩いてた。
うぅ…。この中からマキを探すのか…。
俺にとってマキを探すのはそう難しくないけど、こんなに人がいっぱいいたら見つかっちゃう…。
入り口にいた怖い奴に捕まるのもやだし…。
マキは、甘い匂いがするんだ。果物みたいな優しい甘さ、凄く凄くいい匂い。
俺の自慢の鼻でマキを探し当てるぞ!!
クンクンッ。
あっ!いい匂い!あっちだ!
なるべく草むらや物影に隠れて俊敏に移動を繰り返し、ついに見つけた!
ハァッハァッ…。うわー、超美味そうなご飯!
すげーいい匂いの美味そうな料理が並んでる!
ここってなんだ?食べていいのかなぁー♪
「きゃっ!びっくりしたぁ。見て見て、食堂の外にちっちゃいトイプードルがいるよ!」
やべっ、中にいる人間に指差された、見つかっちまった!
逃げろッ!!
俺は慌てて逃げたけど、大学内は人で溢れてる。
走り抜けるとみんな俺を指差して騒いでカシャカシャ写真を撮ってくる。
俺は逃げ回って隠れて。その内鐘が鳴って、外にいる人間の数が減った。
うぅ、なんか寒いなぁ…、俺ってば、いつもあったかいお家の中にしかいないから、外はこんなに寒いんだな…。うぅ。でも、弱気は言ってらんねぇーよ!早くマキの所に行かなきゃ!マキを敵から守らなきゃ!!
だけど時間が過ぎて鐘が鳴るけど、マキのところになかなかたどり着かなかった。
ー♪♪♪♪♪♪♪♪ー♪♪ー♪♪
「つっかまえたぁあーーッ!!」
キング「キャイーンッ!?」
突然体が宙に浮く!
ぎゃー!!敵だ!!敵の襲来だ!!
なんだなんだ何が起こったんだ!!
「あははは♪可愛いい!タイムラインで流れてたのこの子の写真だ、やったぁ♪捕獲しちゃったぁ♪♪」
俺は高々と持ち上げられ、下から聞こえてくる楽しげな女の声にパニックで何が起こってるのかさっぱりわからない。すると今度は違う女の声がして、俺を捕まえてる女に注意した。
「か、可哀想だよ。びっくりして震えてるじゃん、持ち方雑だよ」
ふ、震えてるだと!だ、誰が震えてるか!び、ビビってないぞ!俺はビビってなんか無いんだぞ!!
ガタガタ…
くそっくそっ!こんなの武者震いだかんな!!
キング「キャンキャン!キャイーン!」
くそっくそっ!こいつ力強い!全然離れねぇー!
楽しげな女は俺をガッチリ掴んで離さない。そして、もう1人の女が携帯を取り出して興奮気味に言った。
「早く茉爲宮君に教えてあげようよ♪〝あの茉爲宮様〟が、お礼にお茶くらいしてくれるかも」
そう言って浮かれて何処かに電話しだした。
うわー!敵に捕まった上に、俺、どっかに売られちまうのか!?ヤバイ!逃げなきゃ!
マキー!マキー!助けて!!
渾身の力を振り絞って暴れたら、女子の付け爪が吹っ飛んで隙ができた。
「キャッ!?」
今だ!!
俺は女子の手から逃れて全速力で逃亡した。
走っても走っても、人間人間人間知らない人間!!
マキー!マキー!はぁはぁ…
マキー!助けてぇー!!
敵ばっか怖いよぉー!
マキー!!
うわーん!!ミケー!!
ミケのいる、お家に帰りたいよー!
うわーん!ミケー!!助けてぇー!!
走り疲れ、外は雨が降り出した。寒いし、お腹減ったし、何故かマキの匂いがそこらへんからする気がするのに雨でどんどん薄くなる。もうだめだ。俺は一生ここから出られないんだ…。ミケにも…マキにも会えないんだ。
倒れこむようにポテッと横たわったそこは、雨がしのげる何処か建物の中、でも暗くて、物がいっぱい置いてあるような感じだけど、周りは闇だらけ…
外から聞こえる雨音。
俺は絶望と空腹と、ビッショリの体にブルブル震えてた。
ーキューグルル…
盛大なお腹の虫が鳴って、我慢も限界だった。
うぅ…ミケ…マキ…。
…ど…百目鬼ぃぃ…
百目鬼のご飯がたべたいよぉぉぉ…
いつもだったらマキを待ちながら、お客がいない時は百目鬼に遊んでもらって、骨型の噛むお菓子もらって…、それからお昼に美味しいご飯もらって…
うぅ…、もうだめだぁ…
ああ…俺…死ぬのかな…
雨音だけが響く中、俺は力尽きて目を瞑ってしまった。
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