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キングの冒険10
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さすが、むつ。
この場の空気をどうしてくれるんだ。
華南もどうフォローして良いのか頭抱えてるし。
マキは怒ってもいいのに、礼とみみに見つめられて笑ってる。
マキ「ふふ♪むつって可愛い♪」
マキが否定しないから、この場をフォロー出来ない華南。そして、むつは、これ以上余計なこと言わないぞと両手で口を塞いだがもう遅い。
だって、全部言っちゃったんだもん。
そんな気まずいこの場の空気を最初に破ったのは、みみだった。
みみ「そ、そっか。マキちゃん綺麗だし〝彼女〟が居て当たり前だよね。百目鬼さんって〝彼女〟がいるんだね」
みみが、その場の空気を収めようとして、その言葉に華南がハッとする。
たしかに、百目鬼が〝男〟だとは言ってない。
話を誤魔化せるかとその場を伺ったようだったが、マキから少しだけ話を聞いてる礼が、さっきまで賑やかだったのに大人しくなってしまってるのが不自然だった。
礼は、おそらく百目鬼が男だと知ってる反応だ。
みみもそれに勘付いてて、あえて誤魔化そうとしてくれてる。
むつ!どうしてくれるんだ!!
マキ「ふふ♪。みみちゃん違うよ♪〝彼女〟じゃなくて、僕の〝カ・レ・シ❤︎〟」
みみ「ッ!」
マキは迷う様子もなく、可愛らしく頬杖ついてニコニコ答えた。
みみがどう受け止めようか戸惑って、礼に視線を向けると、隣で礼がそれを知ってたかのように頷く。
華南は両手で頭を抱えちゃうし、むつは俺のせい?ってキョロキョロ助けを求めてた。
そんな大変なことになってるテーブルに、救世主が現れる。
修二「お待たせしました。お飲物お持ちしました」
トレイに飲み物を乗せて現れた修二。
俺たちのテーブルの空気を感じ取ってて、あえて触れずに飲み物を配ってくれた。
さすが修二!
修二「今、デザートもお持ちしますね。少々お待ち下さい」
修二がテーブルを離れて、少しだけテーブルが沈黙したけど、修二の登場で空気がリセットされて、気まずさはさほどなくなってた。
マキ「ふふふふ♪そんな深刻にならなくて平気だよ。まぁ、むつくんはいつも通り正直だけど、少し成長したよね、前までは謝ったりしなかったもんね」
むつ「ごめん」
マキ「礼ちゃんには、僕が男の人を好きなことは言ってあるよ」
マキがあっさりむつを許すから、むつはいつまでもそんなんなんだよ!怒れよマキ!
俺がキャンキャン吠えても、マキは優しく俺の頭を撫でてなんだか楽しそうに笑うばかり。マキはバラされた事ちっとも気にしてないみたい。
礼「あの!」
急に礼が右手を上げてみんなの視線を集めた。
礼「私が、マキちゃんと仲良くなったキッカケは、私が腐女子だからなんです!」
礼は、恥ずかしそうに顔を赤くしながら、マキとの出会いを正直に話しだす。自分は安全な人間だとか示すために、秘密を共有する事を選んだみたい。
礼「私とみみちゃんは、選択してる講義がほぼマキちゃんと一緒で、ずっとマキちゃんと話してみたくて、何度か話しかけたけど、マキちゃん笑顔でかわしてて近づけなくて。だけど夏休み明けたらマキちゃん全然人が変わってて、益々綺麗になっちゃって可愛くなっちゃってて人が群がって大変だったんです。そんなある日、私とみみちゃんが人のいない庭でお昼を食べてながら、いつもみたいにアイドルの話とか、好きなBLの話とかして盛り上がってたら、マキちゃんがいつの間にか後ろにいて…、腐ってる話を聞かれちゃってて、ドン引きされると思ったら、マキちゃん普通に『僕もそのグループのリーダーかっこいいと思うな♪歌も好きだよ、新曲カッコ良いよね』って、入ってきて、それから一緒に居るようになって。マキちゃん普通に私たちの会話に混ざってBLの話もアイドルの話もするしで、私とミィちゃん…あっ、私とみみちゃんは、そういう話全然平気で、むしろ全力で応援してるんです!」
前のめりで一生懸命話す礼。
マキは華南とむつに向かって、ほら、平気でしょとでも言うようにニコニコ笑ってる。
礼「話聞いてたって言っても本当にちょこっとで。マキちゃんは、毎日美味しそうで可愛いキャラ弁当持ってきてて、こんな可愛いくて美味しそうなの誰が作ったの?って聞いた時凄く嬉しそうに笑ってて、こないだ大学に、黒い車でスーツの強面な男の人がマキちゃんを迎えに来た時、同じように嬉しそうな笑顔だったから、マキちゃんに聞いたら悪戯っぽく笑ったマキちゃんが『僕の好きな人だよ』って、その時に、男の人が好きなんだって聞いてて…」
話を聞いてるどころか、ほんの触りしか知らなかったんじゃないか…、むつがペラペラ全部喋って、養子縁組の事までバラしちゃったよ。
マキ「そ♪だから、礼ちゃんとみみちゃんは平気だよ♪」
むつ「…ごめん」
華南「マキがいいならいいけど」
マキ「ふふ♪ダメならそもそもむつを紹介しないよ♪」
華南「それもそっか」
むつ「えっ!ひでー華南」
華南「酷くはないだろ」
むつ「うぅ…」
今回ばかりは吠えないむつがシュンと落ち込んだ。そんなむつを叱らず、優しく頭を撫でる華南とニコニコ見てるマキ、みんなむつに甘い!
ここに百目鬼がいたら、むつを凄い怒鳴ってビシッと叱ってくれるのに…。
その後直ぐに修二がデザートを持ってきてみんなに配った。修二が働いてる1時間半くらいの間、マキと華南とむつと礼とみみは仲良くなって話も弾んでた。
華南とむつと修二が付き合ってる事を、礼とみみには教えなかったけど。礼とみみの中では、華南とむつが付き合ってるんじゃないかと妄想を膨らませてた。
華南「むつ、口の周りにクリーム付いてる」
むつ「どこどこ?」
華南「ほら、ココ」
むつ「んッ…」
そう言って、手拭きで口を拭いてやりながら、テーブルの食べこぼしもさり気なくとってあげる。
だから女子2人は心の中でキャーキャー言いながら、こっそりその光景をチラ見して頭の中で騒いでた。
もしここに、修二がいたらもっと大変だ、普段むつの口を拭いたりは修二の役目で、食べこぼしを拭いたり食べさせたりは華南がやってる。両サイドからむつを構う構図を目撃したりしたら、女子2人は沸騰するんじゃないだろうか?
華南「キングもフルーツならいけるだろ食うか?」
キング「クーンクーン」
華南!大好き!食べる食べる!
尻尾フリフリ答えると、華南が抱っこしてくれて、添えてあったフルーツを俺に食べさせてくれた。
美味い美味い!華南優しい!
マキ「…キングって華南のこと大好きだよねぇー」
華南「おっ、嫉妬か?」
マキ「ううん、それぐらい百目鬼さんに懐いてくれないかなぁって♪…」
華南「キングは人見知りするから、そのうち慣れるだろ、百目鬼さんなんかかんか面倒見良さそうだし」
そんな話を華南の隣で、むつが俺にリンゴを見せてきた。
むつ「食うか?食うか?…やっぱあげなーい」
キング「ワンワン!」(こいつ!リンゴよこせ!)
むつが吠える俺をケラケラ笑って、美味しそうにリンゴを食べちゃった。
マキ、マキ、こいつムカつく!
俺のリンゴ!
俺が吠えてたら、みみと礼が俺にリンゴをくれた。
みみと礼って優しいから大好き!
意地悪なむつなんかあっちいけ!
みみ「犬の性格にもよると思うけど。うちの犬は、家族で弟にだけ言う事聞かないでヤンチャするよ、友達だと思ってるみたい。自分より上か同等か下か犬の中で決めてるって聞いたことあるよ」
むつ「何ッ!?だったら俺に懐かないのは俺を舐めてるのか!」
華南「むつがそうやって直ぐに吠えるからだよ…」
マキ「ふふ♪むつとキングは似たもん同士だから♪」
むつ・キング
「「はぁあ!?・ワァン!!」」
マキ「あはは♪、ね?息ピッタリ♪」
むつのせいでマキに笑われた上に、テーブルのみんなが笑った。
ムカついて、むつをキッと睨んだら、むつもこっちを睨んでくる。そしたらまたみんなに笑われたよ!
そうやってむつと俺の話で盛り上がってると、奏一さんと、私服に着替えた修二がやってきた。
奏一「みんなお待たせ、修二を返すよ」
修二「ずいぶん盛りあがってるね」
修二がバイトが終わった頃には、みんな打ち解けて仲良くなってた。
むつと俺を除いては。
むつ「……フン」
キング「…フン」
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