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キングの冒険17
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百目鬼「……マキ…」
百目鬼がそっと囁くように、苦しそうで優しい声でマキの名を呼ぶ。百目鬼にしては珍しい弱々しい声。百目鬼は苦悩して眉を寄せ、自分に跨ってるマキの頭を下から優しく撫でる。
…あれは、百目鬼が言葉に困った時にするやつだ、マキが言ってた。
マキ「…」
百目鬼の上で跨ってたマキは、百目鬼の大きな手で撫でられて、どこか切なげに瞳を揺らしながら、その不器用な男の言葉の無い言葉に、気持ちよさそうにすり寄り穏やかな愛しむ表情に変わる。
マキ「…」
百目鬼「マキ…」
マキ「…ん?」
百目鬼「…マキ、俺は…」
言い聞かせるように、困ったように寄せられた眉がシワをさらに深くする。
ああ、百目鬼の恐い顔が、さらに恐くて情けなくなる。
百目鬼「お前が好きなんだぞ」
マキ「………」
気持ちよさそうに目をつぶっていたマキが、ピクッと反応してゆっくり目を開けた。ジュピター色の瞳が揺れながら、複雑な表情で百目鬼を見つめてる。
…、ほら、マキ、百目鬼が好きだって言ってるぞ、嬉しくないのか?
マキの読み取れない表現に、百目鬼が困ったように口角を上げて、マキの撫でながら一生懸命な感じで言葉を口にする。百目鬼はいつも困ってる。10も年上なのに、なにも上手くしてやれないと…
百目鬼「…俺だって、お前の1番になりたいし、叶えてやりたい」
マキ「………ズルい……」
百目鬼「……」
マキ「…僕だって、大好きだし、百目鬼さんは1番だし、百目鬼さんの希望を全部叶えたい」
百目鬼「…なら、お前の望みを言え、なんでもいい、なんでも叶えてやる」
マキ「…神さんはいつも僕の願いを叶えてくれてる。神さんと居るから幸せな気持ちでいられる。ずっと一緒にいられるなら…それだけでいいのに…」
百目鬼「嘘つけ…」
マキ「嘘じゃ…」
百目鬼「嘘だ。それだけで良いわけない。側にいるだけじゃないだろ?こういうこともしたいんだろ?」
マキの腕をグイッと引っ張って抱きしめると、マキは瞳を瞬いた後、照れたように困った。
マキ「…それは…したいけど…」
百目鬼「さっきまで卑猥なこと言ってたくせに、どうしてそこで恥ずかしがる」
マキ「…だって…、神さんは…恥じらいのある子の方が好きだし…、毎日は駄目って…」
百目鬼「…毎日シたいのに?」
マキ「…っ…ごめんなさい…」
百目鬼「謝るな。……それに関しては、お前のためだし、俺のためだ。…こんなこと言いたくないが…俺だって本当は毎日抱き合いたい」
マキ「えっ?」
…うわー。百目鬼がなんか恥ずかしいこと言ってる…。それに、抱き合うとか毎日イチャイチャしてるじゃんか…、毎晩マキを抱き枕にして、まだ足りないっていうのか…。
百目鬼「…俺は大人なんだ、お前より10も上だ。こんな恥ずかしい話したくないが、言わないとお前には伝わらない…。上手く言えるか分からないが、俺は恥じらいのある子が好きなんじゃなくて、〝お前の〟恥ずかしがる顔だったり、〝お前の〟素の表情が好きなんだ。こんな恥ずかしいこと言いたくないが、俺は、〝お前が〟好きだし、お前を1秒も離したくない。お前が大学に行ってる間気が気じゃないし。今回だって、キングが迷子の間、俺は接客中でお前の側に行けなかったのは悔しい、お前が困ってたのに…。出来ればずっと目の届く所に置いておきたい。だが、それは出来ないし、今じゃない」
マキ「…今じゃない?」
百目鬼「お前は大学生だ。将来なりたいものもある。お前は才能あるし、まだ大人になる途中だ。大人になってからでも遅くない、手に職をつけて、お前が大人として胸を張れるようになってから、それからな…。それまでは、カッコつけさせてくれよ、お前の前で情けないばっかじゃ、お前にがっついてばっかでお前をダメにする大人になんてなりたくない。俺の本音なんか、お前を監禁して毎日は抱きしめて溺れさせてやりたいけど、現実はそうはいかない、これは我慢じゃない、未来への貯金だ。今やるべきことはちゃんとやって、それから…」
マキ「未来への貯金…」
百目鬼「お前が大人になって、自分で責任取れるようになったら、毎日でも抱いてやる。…だが、一回や二回で済まないから、今から体力つけとけよ。最近お前は動けない日が多すぎる」
マキ「……、僕が…動けないのは、体力のせいじゃなくて……、神さんが上手いからなんだよ…」
百目鬼「…お前は…」
マキ「違うよ、聞いて。……じ…神さん…気づいてないみたいだけど、…抱き方変わってきたんだよ」
百目鬼「は?変わってねーだろ」
マキ「…ううん…、は、恥ずかしいくらい変わったよ。もう、心臓もたないくらい」
百目鬼「……腰抜けるくらいイイから、動けなくなる?」
マキ「…ッ…、こないだ…だって…、あ、あんなロマンチックなプロポーズしてくれたのに…、す、…好きだなんて言いながら…、する…、とか…、…だから…、僕……、初めて……ッ」
モゴモゴ口籠るマキが、何を言おうとしたのか気がついた百目鬼が、言葉を続ける。
百目鬼「…潮吹いた?」
マキ「ッ!!…ハッキリ言いすぎ!!」
百目鬼「…くっくっ…、そこは恥ずかしいのか」
マキ「神さんが恥ずかしい事するから!!ッ…、違う…、あんな…夢見たいな事して、告白…してくるとか、想像もしてなくて、神さんじゃないみたいにカッコよくて……。もう!!、心臓爆発しちゃったんだもん!!」
百目鬼「つまり、マキはああいう風に毎日抱かれたいってことか」
マキ「へッ!?」
百目鬼が悪戯にニヤリと笑ったのを、マキは声が裏返るほど驚いて顔を真っ赤にして後ずさる。
だけど、百目鬼が逃がしてくれるわけもない。
百目鬼「1つの質問に答えるのに、相変わらず随分時間かかるなぁ、だがそれでもいい、答えが聞けたから、全力で答えてやらなきゃなぁ。なぁ、マキ」
意図的に1番いい声でニヤニヤ囁いて、マキをガッチリ掴んで離さない百目鬼。
マキは真っ赤な顔で怯えるように首を小さく振りながら顔を隠すが、全部百目鬼を喜ばせるだけだ。
百目鬼「可愛いなぁマキ、涙目になったら俺に火を点けるだけなんだぜ」
マキ「ッ…、ワザと…、卑怯者…」
低い低音ボイスを耳元で囁いて、抵抗しようと顔を隠す腕を開いて唇を寄せる百目鬼。
マキがふるふる震えながら、抗えない魅力に引き寄せられて、その唇がそっと重なった。
ふにっ、と唇が触れただけのキス。マキが解けるのを待つように、さらなる羞恥を煽りながら、マキが涙目で抵抗しても、百目鬼は優しく頭を撫でてる時のような柔らかなキスを繰り返す。
マキ「ッ…じ……さ…」
百目鬼「マキ、好きだ」
マキ「ッ!!…ずる…」
百目鬼「フッ…、いい顔…」
百目鬼が意地悪く笑ってマキの唇をぺろっと舐める。
マキはさらに赤くなって、諦めたように力が抜ける。この後、あの日みたいにドロドロに溶かされてしまうと覚悟して、百目鬼を受け入れる。マキはちょっと拗ねたような、ちょっと恥ずかしそうに求める潤んだ瞳で百目鬼を見つめ、マキから重ねた唇に、百目鬼はクスクス笑いながら優しいキスで答えた。
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