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ー芽生えー12
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百目鬼「歓迎会?遊園地?」
その日、帰ってから直ぐに事務所にいる神さんに聞いてみたけど、神さんの顔は想像通り眉間にいっぱいシワを寄せてこちらを睨んできた。
矢田さんが怖がって机の下に隠れ。
檸檬さんがマズイだろって声で書類で顔を隠し。
杏子さんは少し意外そうな顔して僕らを見ていた。
三人が見てることなんかお構い無し、神さんの背後には暗雲立ち込め手が怒りから震えてる。
うふふ♪
可愛い♪
どうしてみんなこの顔が怖いのかな?
マキ「歓迎会は今週だけど、遊園地は12月になってから、冬休みに行こうよって誘われたんだ」
百目鬼「…」
百目鬼さんの表情がみるみる恐くなる。
マキ「歓迎会は百目鬼さんが反対なら断るよ。僕、百目鬼さんの作ったご飯食べる方が好きだし」
百目鬼「…」
…。
あれ?
直ぐに駄目だって怒鳴ってくるかと思ったのに…。神さんの眉間には尋常じゃないほどシワが出来てるし、地響き凄くて神さんの拳はブルブル震えてて、手にしてる書類は再起不能な程しわくちゃだけど…
なんか葛藤してるみたい…
マキ「遊園地は行きたいなぁ、僕、ネズミーランド行ったことないし、友達と遊園地に行ったことないし。ほら、修二たち3人じゃ、僕だけ1人でなんかデートの邪魔してるみたいじゃない?」
百目鬼「…ぐ…、俺と行けば…」
マキ「百目鬼さんメリーゴーランドとか一緒に乗ってくれる?」
百目鬼「うっ…」
マキ「絶叫系とかの他にメルヘンランド船の旅とかあるんだよ、恥ずかしくない?」
百目鬼「…ッ…」
マキ「それに、耳のついた被り物一緒に付けてくれる?」
両手を頭の上でウサギの耳みたいにぴょこんとして可愛らしく小首を傾げたら、百目鬼さんが恥ずかしさに爆発しちゃった。
百目鬼「んなもん付けるわけねぇだろ!!」
怒鳴るもんだから、他のみんなが縮こまっちゃった♪
マキ「でしょ?」
百目鬼「ッ!?」
マキ「百目鬼さんネズミーランド嫌いでしょ?僕はせっかく行くなら全部やりたいし、パレードも見たいし。でも、百目鬼さんは全部やったりしないでしょ?そこは無理なんだって分かってた」
百目鬼さんが何も言わずに僕を困ったように睨んで固まってる。そんな状態に耐えかねてか、恐る恐る檸檬さんが口を開いた…。
檸檬「ど、百目鬼さん、歓迎会ぐらい許してあげたら?マキちゃん大学生なんだから、友達も大事でしょ」
聞こえた途端、神さんが檸檬さんをギロッと睨んで、檸檬さんがまた書類の後ろに隠れちゃった。
そんな中、神さんの携帯が鳴った。
神さんは相手を確認して舌打ちしたけど、その場で受話器を取った、その怒り任せの対応に相手が誰か直ぐにわかった。
百目鬼「何の用だ!、…あ?俺の機嫌は生まれつきだ!」
きっと相手は賢史さんだ。
百目鬼さん「あぁ、その件は調べ終わった。後は報告すれば終わりだ。あ?お礼?お前またなんか面倒なこと頼もうとしてるのか?。…まぁ、そうだが………あぁ、知ってる、マキから聞いた…」
ありゃ、僕の話になってる?
百目鬼「ハアッ!?…」
僕の名前が出たかと思ったら、急に百目鬼さんが大きな声で驚いた。僕をチラッと見て、慌ててコソコソ端っこに移動して、なんだか受話器の向こうの賢史さんと揉め出した。
百目鬼「…バカ…お前が1人で…はぁ?それは…」
いったいなんの話をしてるのかな?
怒りに震えていたはずの神さんは、怒りの矛先が賢史さんに変わってて、なんだか困ったように怒ってたけど、一方的に何かを押し付けられて電話を切られちゃったみたい。
百目鬼「クソッ、あいつはいつも勝手な…」
ブツブツ言ってる神さんが自分の席まで戻ってきて僕の前に座ると、両手を組んでそこにおでこにくっつけて悩むような仕草をした後、その体勢のまま僕を睨み上げてボソッと聞いてきた。
百目鬼「…歓迎会は何時から何時までだ?」
マキ「授業終わりの夕方からだから、5時から7時くらいかな?」
百目鬼「…………ッ…、サークルのメンバーは何人だ。こないだのやつ以外に女はいるのか?」
マキ「うーん、参加者は15人くらいで、男女半々だよ」
百目鬼「…お前の歓迎会なんだな?」
マキ「うん、僕だけ秋から入ったから。まぁ、遊びに行く口実が欲しいんじゃない?サークルはかなり真面目にやってるから、論文表彰された先輩もいるし、だから羽伸ばしみたいなもんかな?」
百目鬼「……分かった。行ってこい」
え?
意外…。絶対ダメって言うと思ってたのに…。
百目鬼「ただ、遊園地は保留だ」
マキ「…遊園地も考えてくれるの?」
思わぬ回答にキョトンと見つめると、神さんは納得いってないって怖い顔したまま、僕をギロッと睨みながら、背中にドス黒い雲を背負ってるのに、それを振り払うように歯を食いしばって絞り出す。
百目鬼「保留だ!」
マキ「ふふ♪うん、分かった」
何かに葛藤している神さん。
僕が誰かと出掛けるのを制限するのは良くないって思ってるのかな?
僕は全然構わないのに。そりゃ友達と遊ぶのも楽しいだろうけど、百目鬼さんと一緒の時が1番楽しいし幸せだし。まぁ遊園地には行きたいんだけど、歓迎会は無理にとは言わないのに…
僕のためにって悩んでるのかな?
束縛ばっかは良くないって?
束縛してくれていいのに…
僕の気持ちは変わらない、監禁されたつもり嬉しいだけなのに…
……
それとも…
アレがまだ気になってるのかな……
その日の夜は、不機嫌になるのかなぁ?と思ったけど、まぁ、イライラはしてたけどそこまでじゃなかった。
不機嫌熱々SEXを期待してたけど、僕の世話が終わった神さんは、腕枕をしてくれて僕を寝かしつけながら言った。
百目鬼「マキ、悪いが賢史の相手をしてくる。お前が寝たら行くが、朝までには戻ってるから安心しろ」
マキ「賢史さんとデート?なら、僕を寝かしつけてないで行ってくれば?」
百目鬼「デートじゃない」
ムスッとした可愛い神さんが僕の頭をぐりぐりして来たから、せっかく神さんが綺麗にとかしてくれたのにボサボサ。
マキ「ふふ♪仲良しさんだね」
百目鬼「お前、俺を怒らせたいのか」
マキ「ううん」
クスクス笑いながら、神さんの腕の中でキュッと抱きついてると、ムスッとした顔のままの神さんが、顔に反して大きな手が優しく僕の頭を撫でて、僕が眠るまで側にいてくれた。
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