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ー芽生え歌うー14
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久しぶりに梅さんに会った。
梅さんは、何度百目鬼事務所に来ても僕が居なかったから、神隠しにあったんじゃないかって心配してた。
神さんと別れてたから暫くいなかったとは言えないからなぁ…アハハ。
神さんが梅さんに、いつも差し入れいただいてるお礼にとケーキを出したら、梅さんはとても喜んでた。
梅さんとのお話は楽しくて、おばあちゃんってあったかいなぁって心がポカポカする。
神さんは、仕事をしながら合間合間に梅さんの話し相手に参加して、話は、いつの間にか神さんの恋愛の話へ…
梅「しかし、百目鬼さんはいつ結婚するのかねぇ?こんなにイイ男なのに」
神さんが笑って誤魔化してると、梅さんは僕に向かって言った。
梅「マキちゃんもそう思うよねぇ?」
マキ「ふふ♪、うん♪百目鬼さんは凄くイイ男だよ♪」
梅「あらあら、マキちゃんは百目鬼さん大好きなんだねぇ」
マキ「うん♪大好き♪」
本当のことだから、ニコニコ答えた。梅さんはウンウンと頷いて、百目鬼さんはみんなから好かれてると微笑んでる。
事務所内は、誰も何も言わないけど、杏子さんと檸檬さんと矢田さんが、仕事をしながらチラッと神さんの方を見たら、神さんはワナワナ震えてた。
あらら、怒っちゃった?って心の中で舌をペロッと出してたら、梅さんが今度は百目鬼さんにふりだした。
梅「マキちゃんは可愛いねぇ、うちの孫にしたいくらいだよ。百目鬼さんもこんな可愛いマキちゃんと一緒にいたら、結婚するにできないねぇ。百目鬼さん、マキちゃんが可愛くて仕方ないでしょう」
梅さんに見られて、百目鬼さんの顔が営業スマイルに戻る。
百目鬼「ええ」
!!
営業スマイルとはいえ、ハッキリとした口調で返事をした神さん。
にこやかに梅さんに答えると、梅さんはそれを聞いてウンウンと頷いてる。
梅さんからの視線が外れた途端、神さんは自分をチラ見してた、檸檬さんと杏子さんと矢田さんをギロッと睨みつけ、3人は何事もなかったかのように作業に戻った。
…あっぶない…、心臓飛び出すかと思った…
それから和やかな時間が過ぎて、梅さんが帰るって言うから、僕は梅さんをお家まで送り届けた。
帰り道は、自然と鼻歌歌いながらスキップしてた。
今日は嬉しいことばっかり。
途中心臓壊れちゃうかと思ったけど、梅さんと楽しい話をしながら、ずっと神さんの側にいられた。
仕事中の神さんはかっこよくて犯したくなるのを何度も我慢した。
ふふふ♪楽しいなぁ…
やっぱり百目鬼事務所のアルバイトに戻りたいなぁ…
神さんの隣に少しでも長く…
神さんの声を少しでも近くで…
僕が役に立てることはなんでもするのに…
ステップ踏みながら百目鬼事務所に戻ってくると、建物の前にまた神さんがいた。
今度はタバコを吸っていて、僕を見つけると携帯灰皿に突っ込んで仕舞い込む。
マキ「どうしたの?」
百目鬼「タバコ休憩だ」
マキ「もう終わり?」
百目鬼「上着着て行かないで寒くなかったか?」
ゾクッ…
なにッ!?
なんでそんな優しい目でイケメンボイスで喋るの!?
マキ「あは♪平気だよ、すぐそこだし♪」
百目鬼「そうか」
神さんは、僕の頬を優しく撫でながら、びっくりするくらい優しく笑った。
ちょっと!神さん今日おかしくない?
惚れ薬飲んじゃったんじゃないかくらい甘々なんだけど!?
百目鬼「今日はありがとな」
マキ「僕こそありがとう♪久々に梅さんとお話できて楽しかった♪」
百目鬼「良かったな。さぁ、冷えないうちに戻ろう」
神さんが僕の肩をそっと抱いて階段を上り始めた。
ハッキリ言って僕的には、この人誰!?ってくらいドキドキしてて困るんだけど!?
マキ「…ッ、神さん」
百目鬼「ん?」
階段の途中で名前を呼ぶと、神さんが止まって僕の顔を覗き込む。
マキ「…なんか、無理してる?」
百目鬼「ッ!?…。してない」
マキ「今、ギクッってなったよ」
百目鬼「ッ……」
マキ「さっき、ゴミ箱にタバコがいっぱいあったし、今も下で吸ってたでしょ。なんかあったの?」
僕の質問に神さんの顔がみるみる歪んで困惑してる。
百目鬼「…お前…、分かってないのか?」
マキ「…何が?」
百目鬼「なんかあったのはお前だし」
マキ「えっ!?」
驚いて脳裏に浮かんだのは、神さんに内緒にしてる大学内での〝ちょっとした〟トラブル。
だけど神さんの表情は、怒ってるって感じゃなくて、困ってるって感じ。
マキ「…僕、何にもないよ?」
キョトンと瞳を瞬いたら、神さんは更に困って悔しそうな顔して僕をその場で抱きしめてきた。
百目鬼「クソッ…」
ギュッと抱きしめられて思考が停止。
暫くして状況を理解した僕は、心の中で絶叫した。
え?
ええッ?
えええ¨え¨え¨!?!?!?
マキ「ええっ!?ちょっ!事務所前!」
百目鬼「お前が悪い」
マキ「何々?僕何にもしてないじゃん!」
百目鬼「お前のせいだ責任取れ」
子供みたいな駄々のコネ方をする神さんは可愛くて、可愛いし抱きしめられてるしで心臓がバクバク忙しいんですけど!!
マキ「ちょっ!責任取って欲しいのは僕の方なんですけど!今日の神さんなんだか甘々で恥ずかしい!さっきだって事務所にみんないるのに給湯室であんなこと…」
百目鬼「それをお前に怒られるとは心外だ。いつも自分がやってることだろ」
マキ「僕は神さんが仕事中の時にあんなことしたことないでしょ。そこの分別はつけてたよ」
百目鬼「お前の存在が分別ついてない」
マキ「は?」
百目鬼「それに、パソコンしてると邪魔してくるだろ」
マキ「あれは、家の中の話じゃん、プライベートの時間でしょ、神さん働きすぎなんだよ」
百目鬼「人が仕事してるのに、後ろから甘ったるい声で絡んできて、俺に抱きついて、邪魔するだろ」
マキ「……ごめん、もうしないから…」
邪魔なことをしたから邪魔だと言われたんだけど、シュンとして謝ると、なぜか百目鬼さんが苦痛の表情を浮かべる。
百目鬼「ッ…。ああ、クソッ…途中までいい感じだったのに…結局こうなる…」
マキ「?。…何?」
百目鬼「お前は…」
そう言われたと思ったら、抱きかかえられたまま壁に押さえつけられて、またしても壁ドンされた。
ワタワタしてる僕を見て神さんがカッコいい顔してクスリと笑いながら唇を重ねてきた。
タバコの味がする甘いキス。
柔らかくなぞって甘やかすようなゾクゾクドキドキするキス。
マキ「んぅ……ぷはぁっ…」
心臓の音が…
ドキドキじゃなくて
ドッドッドッって…
神さんは唇だけ離した至近距離のまま、僕をギュッと抱きしめ、僕の濡れた唇を神さんの親指で拭いながら低音ボイスを響かせて囁いた。
百目鬼「優しくてカッコいい俺が好きだろ?」
マキ「………………」
その時初めて、神さんの行動の意味を理解した気がした。
マキ「…ぼくぅ…、いつもの神さんの方が好きかな?」
ニッコリ答えると、神さんは瞳をパチクリ驚いてる。
百目鬼「はぁ?」
マキ「どんな神さんも好きだけど、自然な神さんが1番可愛くて1番好き、怒鳴ってるのも可愛いのもカッコいいのもみんな好きだけど、そのままの神さんが1番だよ♪どんな神さんも大好きだから、そんなにカッコよくしないで、襲いたくなっちゃうから」
百目鬼「ハァッ!?」
マキ「ふふ♪、カッコいいのも可愛いのも、いつも思ってるから大丈夫。…でも…今日は一日中びっくりしすぎて、慣れない神さんの新しい顔を見て、本当は…、ずっと心臓壊れちゃうかと思った…」
百目鬼「ツッッッーーー!!!!!」
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