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ー芽生え歌うー17
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神さんに萌え殺された。
ライオンの着ぐるみを着たティーカッププードル
恐ろしいほどの可愛さなんだけど…
確かに昔、暴走して獰猛な猛獣が暴れたんだろうけど。こんな可愛い神さんが、なんでずっと恋人いなかったのか分からない。
確かに言葉は乱暴で、会話も3回転半するから誤解することもあったろうけど、僕の見てる限り、神さんが隠れた世話焼きで、心配性で優しいのは元々持っていたもの。学生時代の奏一さんも、修二のことがある前は、兄貴的に慕ってた。
それに、今は、檸檬さんや杏子さんや矢田さんや賢史さんに雪哉さんに烏磨さん、それに菫ママ達。
神さんはみんなに好かれてる。
確かに、神さんは昔修二が好きで、片思いを引きずってたけど、神さんを好きな人もいたと思うんだけどな…。
だって神さん、今、モテモテで、ユリちゃんとかつよしとか、みみちゃんとか礼ちゃんとか、みんなに優しくて素敵な人とか言われてるし。可愛いのもバレちゃってるし。
僕は大好きで大好きで仕方なくて、毎日神さんの温もりに温められてこんなに幸せなのに…
百目鬼「マキ、皿洗い終わったか?」
マキ「もう少しぃ♪」
今日一日、ビックリするぐらい刺激的な幸せだらけだった。
朝は、不意打ちでいってらっしゃいの濃厚なキスされて、大学帰りにお使い頼まれて、事務所のお手伝いさせてもらって、階段でキスされて…、檸檬さんを子供みたいに威嚇する神さんがいて…、夕飯は僕の好きなもの作ってくれて、デザートまで用意してくれてお腹いっぱい♪。
部屋に帰ってきて分かったけど、神さんはどうやら海外の恋愛映画のDVDを見て、〝カッコイイ男〟を勉強したみたい。書斎に隠してあったのを見つけた。
百目鬼「その洗い物が終わったら、ッ…話がある」
マキ「え…、うん」
話があると言った神さんは、ここ最近ずっとしてた怖いほど眉間にシワを寄せた困ったように苦々しい表情だった。
…みみちゃんの依頼の件での話しかな?
それともユリちゃん?
洗い物が終わってリビングに行ってみると、神さんは重苦しい雰囲気でソファーに座ってた。神さんはベランダでタバコを吸ったのか、服からタバコの濃い匂いがする。
悩んだり考え事をすると、神さんはタバコを吸う。
マキ「神さん、話って?」
百目鬼「…みみさんの…曾祖父さんの依頼なんだが…」
躊躇うような言い方…、もしかして、見つからなかった?
百目鬼「有力な情報があって、東北に居るらしい」
マキ「えっ!?マジ!?生きてたの!?その事、みみちゃんには!?みみちゃん曾祖父様には教えたの!?」
思わず興奮して神さんに飛びついたら、神さんは眉間にシワを寄せたまま、僕の肩を掴んでソファーに座らせた。
百目鬼「落ち着け、まだ情報だ、生存確認は出来てない。みみさんには明日報告する」
マキ「えっ、じゃあいないかもしれないの?」
百目鬼「…いや、それは恐らく生きてはいる」
マキ「…何か困り事?」
今まで守秘義務だとか、アルバイトじゃないからとかで情報を一切伏せてたのに教えるって事は、何かあったのかな…。
図星なのか、神さんは視線をそらして僕から手を離す。
百目鬼「…あのな…マキ…」
言いづらそうにする神さんの顔をのぞき込むように近づいて、僕は何でも協力するよって見つめて膝の上の神さんの手を握った。
百目鬼「……に、行く…」
マキ「ん?」
百目鬼「俺が、相手を探しに東北に行く」
マキ「あ、そっか、神さんが直接行ってくるんだね。ならきっと大丈夫だよ、きっとご健在できっと幸せに生きてて、曾祖父様と再会できるよね♪いつ行くの?」
神さんならきっと見つけられるってワクワクした目で見てたら、神さんの眉間にさらにシワが寄る。
百目鬼「…早い方が…、それに向こうで何日かかかる。調べのついた住所から引っ越ししてて…」
マキ「そっか、向こうに行ってみないとって事だね。分かった。お家の事は任せて、ミケもキングも僕もお利口さんにしてるから♪」
百目鬼「……平気なのか?」
マキ「何が?」
百目鬼「俺がいなくて寂しくないか?」
ふえ?
神さんの真剣で困ったような瞳が、睨むように僕を見てる。
…もしかして、曾祖父様の昔の好きな人で修二の事とか考えて僕に気を使って考えすぎちゃってるのかな?
不器用な神さんらしい…
マキ「2泊とかなら1度してたじゃん、そんなにかかりそう?。僕は一人でも平気だよ、いざとなったらみんないるし」
安心させようと答えたけど、神さんは少しムスッとした。もしかしたら、むつの事を考えたのかも。
百目鬼「…」
マキ「あれれ?拗ねちゃった?もしかして、〝寂しい〟って言って欲しかったの?」
百目鬼「…」
ヤダァー図星ぃー♪、可愛い♪
マキ「ふふ♪、神さんが悩んでたのって、僕が寂しがらないかなぁって事?そんな風に考えてもらったら寂しさも吹っ飛ぶよ♪」
神さんのほっぺにチュッってキスして笑った。
神さんの優しさが嬉しいし、神さんを安心させて仕事に送り出したい。
そう思ってたのに、神さんは僕を睨みつけた。
百目鬼「俺がいない間どうやって寝る?修二のところか?」
マキ「ふふっ♪もしかして修二たちに嫉妬してるの?」
百目鬼「……してない。お前の友達だろ」
マキ「神さん、カッコつけなくていいよ。嫉妬してるなら嫉妬してるって言ってよ。嫉妬くらいで神さんの懐の深さが狭くなったりなんて事ないし、僕は嫉妬してもらえて嬉しいんだよ♪」
神さんは不器用で、自分に自信が無い。
こんなに可愛くて可愛くて可愛いのに♪
百目鬼「ッ…俺は、お前が友達のところに行くのにいちいち嫉妬しないぞ。…チビ猿は気にくわねぇが…、お前の友達だ…」
マキ「えー…、嫉妬してくれないのぉ?修二とイチャイチャしても?添い寝しても?裸でお風呂入ってもぉ?」
百目鬼「なッ!!」
マキ「むつと華南ともお風呂入るよ♪」
百目鬼「ッ………ツッ…ッ、嫉妬しない〝普通に〟入るならな」
殺人鬼だってこんな怖い顔しないだろってくらい眉間にしわを寄せて、怒りを我慢してる神さんの顔は、僕にとっては天使のおちゃめな顔より可愛い♪
僕はもう一度神さんのほっぺにキスして、ニコニコ見つめると、神さんは凄く嫌そうに睨んでくる。
マキ「無理しなくていいのに、僕はカッコつけない神さんも、怒りっぽい神さんも、可愛く無い神さんも全部好きだよ♪」
百目鬼「…………ッ…、お前はいつもそうやって…」
マキ「ん?」
我慢してる神さんは可愛くて、葛藤してる神さんはカッコイイ。
我慢しすぎる神さんに切なくなって、悩みすぎて葛藤しまくりの神さんには胸が痛む矛盾を感じながら。
〝僕のために優しくカッコ良く変わろう〟としてる神さんは、愛しくて可愛い。
でも良いのに、十分かっこいいのに。
悔しそうにする神さんがたまらない。抱きしめてキスして襲いたくなっちゃう!!
百目鬼「俺は、無理してるんじゃない、努力してるんだ。俺が変わりたいのは俺のためだお前のためじゃない。俺は…、友達とお前をネズミーランドに行かせてやりたい」
マキ「えっ…」
百目鬼「お前が修二と仲良しなのも、他の奴らと仲良しなのも許してやりたい。…そもそもおかしいだろ、お前の友人関係を許すとか…」
あらら、むつと華南が「他の奴ら」になっちゃった。
なんだか、僕がユリちゃんに気を取られてる間に神さんは随分こんがらがっちゃってたみたい。
僕がネズミーランドに行きたいって我儘言ったから困らせちゃった。
マキ「…おかしくないよ。〝他の人のルールは〟どうかは関係ないよ、〝僕と神さんのルールは〟友達に嫉妬しても良いし、どういう付き合いを遠慮して欲しいって言うのは自由だよ」
百目鬼「!」
マキ「素直になるんでしょ?〝僕たちのルールは〟とにかく言ってみて、それから話し合って決めるんでしょ?僕は、神さんが初めての恋人で〝恋人のあり方〟はまだ分からないから、一緒にルール決めていこうって言ったじゃん」
世間一般のルールじゃない。
〝僕と神さんのルール〟僕たちの〝普通〟
マキ「神さんは、僕が友達とネズミーランドに行くのをどう思うの?」
怒って睨むように寄ってたシワが、困ったように斜めになって。
ライオンのタテガミがへにょっと萎んだみたいになって。
悔しそうに震える声が、絞り出すように…
百目鬼「…………………………………、
………………………………………、
………送り出せそうにない…」
マキ「うん♪♪」
百目鬼「…でも、友達とネズミーランドに行かせてやりたいのは本心だ。……だが、お前が友達とはしゃぐ姿も見ていたい……、だ、だから……どっ、同伴は、駄目か?」
マキ「ふふッ♪。
ふふふふっ♪♪
可愛い♪、大好き♪」
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