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体育祭と俺たち〜修二〜
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突然のマキの出現。
体育祭をやってるこんな日に来なくてもいいだろうに、マキは満面の笑みで現れた。
細い腕をスルリと僕ちゃんの背中側から首に巻きつけ、わざと胸を掴んでキュッと抱き寄せる。その時、ふわりとマキから香ってきた香水に、ドキッとした。
あれ?この香り…いつものマキの香水じゃない。これは…
マキは僕ちゃんの反応を満足そうに眺め、妖しい仕草ですり寄って唇を耳に近づけ囁く。
マキ「可愛い子、あんまりいないねぇ〜」
マキは分かっててこの香水を使ってる。ドキドキと無駄に早くなった心拍数。僕ちゃんは知らん顔をしてやった。
修二「ここは男子校だ」
マキ「修二はどの子がタイプ?♪」
マキはヘラヘラ楽しそうに微笑み、僕ちゃんのうなじにフッと息を吹きかけてきた。
修二「ッ…」
ビクッと体が反応して、不本意に熱くなるのが分かる。自分の体がここまでバカだとは自分でも呆れる。
マキが付けていた香水は、華南が使ってるのと同じ香水だった。
マキ「ふふ。気に入った?」
この、何考えてるか分からない厄介な男に、僕ちゃんは借りがある。だから、その借りを返すまで、マキには逆らえない。
華南の予想通り、むつはマキに電話で文句を言ったらしい。だから、僕ちゃんも華南もマキを無下には扱えず、今もマキが僕ちゃんにベタベタ触るのを華南はやきもきしていて、マキはそれを楽しんでいる。
マキ「あっ、可愛い子発見♪」
マキが楽しそうに呟いて、見ていた方角からものすっごい不機嫌なむつが飛んできた。
むつ「何しとんじゃマキ!!」
マキ「あは♪」
言葉と同時にむつが修二の頭を鷲掴みにして下を向かせるように強引に力を入れ、首に巻きついていたマキはスルリと離れた。
修二「むつ君痛い痛い!」
むつ「お前はバカか、顔がヤバイ!チャンネル切り替えろ!マキ相手に何電源OFFってんだ!!」
ぅえ?…顔やばい!?うぅ…だからチャンネルって何?!
むつ「ん?」
修二に向かって怒鳴ったむつだったが、ピタリと動きを止め、クンクン鼻を鳴らし、マキに近づく。
むつ「あ!てめー、何華南のまねしてやがんだ!」
マキ「ハハッ、さすが獣ちゃん、鼻が効くね」
マキが華南と同じ香水を使っていることにすぐに気がついたむつ。
修二「むつ、むつ、手ぇどかして、首がもげる!!」
マキに対する苛立ちを、全て修二の頭を押さえてる腕に力がかかり、グイグイ押し込んでいたむつは、慌てて手を離した。
むつ「ごごめん、って!顔真っ赤なままじゃん!」
修二「これはむつが頭グイグイ押すからだよ!!」
むつ「俺ぇ?お前がエロい顔してるからわりーんじゃん」
修二「ぇえ?!何それ」
マキ「わぁあ♪超ラブラブゥー♪」
ぶりっ子みたいに両手を前に持ってきて、クネクネ動くマキに、すかさずむつの鉄拳が飛んだ。
マキ「ッと、危ないなぁ」
むつ「チッ、避けるなよ!…で?何でさっきっからお前は黙って見てるんだ?あ?華南!」
ギクリと肩を揺らした華南。
表情が硬く…乾いた笑を漏らす。
僕ちゃんはすかさずむつの気を逸らす。
修二「あ!ほらむつ!雷太!次雷太が走るよ!」
校庭の真ん中に10人が並んでスタートする、修二が指差すと、丁度次が雷太の出番で、むつが雷太の方を向くと、雷太はニコニコしながら大きく手を振った。
むつ「ってか、あいつってどうなの?」
話題がそれて、安心した華南がむつの振りに答える。
華南「早いと思うぜ?部活やってんの見る限り」
むつ「ってかあいつ何部?」
むつは雷太に興味ないんだな…、1枚目のラブレターの自己紹介に書いてあったのに…、って、むつは元々ノーマルだから男の雷太に興味無くて普通か…
マキ「ふーん」
マキは、むつに懐いた珍しい犬コロに興味を示し、雷太をジッと観察した。
マキ(ふーん、あれはなかなかいい筋肉の付き方してる、身長低いけどまだまだ発展途上?顔もベースは悪くなさそうだね。日焼けした肌とか羨ましい。2年位で美味しく育つかな?)
修二「マキ、心の声漏れてる。ってかイタズラすんなよ」
マキ「あれ?漏れてた?ふふ」
先生『位置について、ヨーイ』
ーパァァン!!
一斉に飛び出し、3人が先に出た、実力差があまり変わらず団子状態で、雷太は真ん中辺り。
むつの怒鳴り声が飛んで、雷太は後半加速し、前を走るやつを抜き去って1位でゴールした。ゴールした雷太は満面の笑顔で犬の尻尾のように両手をブンブンと振っていた。
むつが手を振り返してやると、一層喜んで手を振る。
克哉「むつ、次出番だよ…あれ?」
出番を知らせに現れた克哉が、マキ存在に気づいた。
克哉「マキ君じゃん、また紛れてんの?前も思ったけど、肌白いねー、修二も白いけど。っていうかそのジャージぶかぶかじゃない、サイズイイの探してきてあげようか?」
相変わらず一言で済ませられない克哉。
マキ「紫外線対策で大きいの借りたんですよ、曇りの日の方が紫外線いっぱいで肌に悪いんですよ」
克哉「そっかそっか、あ!それならイイ日焼け止め持ってるよ、さっき修二にも貸したんだ。う〜ん敏感肌ようの赤ちゃんにも使えるやつで…」
マキ「ああ、僕もう塗ってますよ」
克哉「あっ、そうなんだ、そうだよね、綺麗に手入れしてある感じだし、手の爪も綺麗だもんね」
むつ「克哉、マキなんか口説いてんの?趣味悪くねぇ?」
むつの一言にギョッとした克哉。そんな気などサラサラない…。
修二「むつ…」
むつは、「だってそうじゃん」って顔したが、むつと克哉は気づかないのだろう。僕ちゃんは、マキの無言の笑顔が怖い。華南は察してくれたみたいで、僕ちゃんと目が合う。
マキ「次は何かな?あ、むつ達は出番で、修二は見学なんだね。じぁあ一緒に見よっか?♪」
マキ…なぜプログラムと出場の有無を知っている…。
むつ「じゃ、俺達行くわ修二」
そう言って、むつと克哉、隣の陣地の華南が立ち上がる。次は、各学年半数参加の騎馬戦だ。
むつ「マキ!てめー、修二から離れてろよ!」
むつ…それは逆効果です。
マキ「はーい♪」
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