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体育祭と俺たち〜修二〜
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陣地内の人口が半分になり、人が減ったことで更に目立って孤立する僕ら。
チラチラと遠巻きに見て見ぬ振りの生徒達の視線。まぁ普段からこんな感じだけど、マキの出現で色めき立っているのがわかる。話の内容もだいたい想像がつく。
『あの美人誰?』『4角関係?』『あの2人デキてるの?』どうにも下世話な話題が膨らんでいる。
全く…こっちはなんとか鎮火させたばかりだと言うのに、他校生のマキは呑気に笑顔を振りまいていた。
むつがいなくなってすぐ、マキは隣に椅子を持ってきて僕ちゃんの肩に腕を回して寄りかかる。マキから匂う華南と同じ匂い。なんとか気を紛らわそうとするのに、マキはわざとベタベタして匂いを振りまく。
マキ「ねぇねぇ、なんでジャージ上下着てるの?キスマーク隠すため?の割にはお肌の調子が良くないね」
公衆の面前だというのに、わざとらしい嫌がらせトークを、耳元に唇を寄せて内緒話で一人で楽しんでいる。
修二「どこぞのオネェーだお前は」
マキ「やだやだ、怒りっぽいなんて欲求不満?」
無視が出来ないから返したのに、子供っぽいこの男はケラケラ笑いながらオネェ口調で可愛らしく小首をかしげる。
マキ「今日、相手して上げようか?」
修二「…。それは代価?」
僕ちゃんがニッコリ質問すると、マキは、笑みを深める。
マキ「…そうだって言ったら?」
修二「ご奉仕しますよ?」
マキ「ふーん」
むつ「ゴォラァー!マキー!!」
遠くから、むつの声が飛んできた。マキは怪しい笑みから一転、子供みたいなイタズラっぽい顔でケラケラ笑いながら僕ちゃんを抱き寄せる。
マキ「あはは、騎馬戦がんばってェー♪」
むつ「てめー!こっち直ぐに片付けてやっから首洗って待ってろよ!!」
騎馬がにまたがってスタートラインに立ってるむつは、周りの注目を一気に集めながら、物騒なことを怒鳴り散らす。
周りが、マキに対して『あいつ終わったな』って目を向けているが、周りはマキの見た目に騙されている。
この男は、女みたいに華奢でモデルみたいな中性的美人顏だが、中身は変態調教師でイタズラ大好き腹黒で、腕も立つ超厄介な男なんです!
マキ「修二、今僕に対して失礼な事考えてるでしょ?」
ギク…。ついでにエスパーです。
きっと人間じゃない…。
修二「…、逃げた方がいいんじゃない?」
マキ「え?あぁ、むつ君?すぐ負けて戻ってきちゃうから?腕が立っても身長がアレだよねぇ」
修二「…お前はむつの認識を改めた方がいい」
マキ「?」
ーパーン!
マキが首をかしげると、ピストルの音が鳴り響き、騎馬戦が始まった。
繰り広げられる戦いに、イタズラに含み笑いばかり浮かべていたマキが、いつの間にかキラキラ子供のような瞳を校庭に向けていた。
マキ「うわ〜、むつ君すっご〜い」
騎馬戦は、5色の馬が同時に入り乱れ、前から後ろから帽子を取り合っていたが、赤組むつの騎馬が通った道にはどんどん他の騎馬が崩れて行く。
修二「むつは騎馬戦大好きだからね」
マキ「うわぁお、かっこいいー」
全体を見ても、むつの乗っている騎馬は高い方ではないが、むつの帽子を取るスピード、手を組みあったとしても圧倒的なパワーの違いに、相手の帽子は秒殺でなくなって行く。
ーパァンパァン!!
全体の騎馬が三分の一になったところでピストルの合図が鳴り、生き残った騎馬が、校庭内の各スタートラインに下がる。
華南が軸の騎馬は最後の最後に敗れ。
赤組がダントツで騎馬を残し圧勝。
むつに至っては、帽子を16個も持っていた。
退場の指示が出ると、むつは退路を無視して僕ちゃんとマキのいる赤組の控え陣地にまっすぐ突進してきた。
むつ「マァーキィー!!」
戦いの後の高揚感で興奮状態のむつはすごい形相でマキに掴みかかった。
むつ「修二から離れてろっつたろうがぁ!!」
マキ「むつ君て超かっこいいね♪」
むつ「ぅ…え…?」
胸ぐら掴んだら、マキがヒーローを眺めるようにキラキラした瞳でむつを見るものだから、むつは一瞬にして毒気を抜かれる。
出た出た、マキのむつを手懐ける手法。
マキはすでにむつを攻略しているようで、とにかくスルスル危険な空気を切り抜けるのがうまい。
マキ「いやぁ〜、むつ君には感服するなぁ♪」
むつ「かんぷく?」
マキ「むつ君あんなに俊敏でかっこいいんだねぇ、僕惚れちゃいそうだったよ♪強い男って感じ♪」
むつ「お、お前に好かれても嬉しくねぇし!!」
むつは照れ隠しに吠えたようで満更でもない様子。
マキは気を良くしたむつにすり寄った。
マキ「だからさぁ、修二を1回貸して♪」
照れ笑いしていたむつの表情が一瞬にして凍りつき、次の瞬間には先ほどの騎馬戦の時より早い速度でマキの胸ぐらを掴んだ。
むつ「笑えない冗談だ」
マキ「ふふ、ダメなら3人でもいいよ?」
ヘラヘラしているマキと鼻が触れ合うほどの至近距離でむつがマキを睨みつけ、手が振り上げられたのを見て僕ちゃんは慌てて間に割って入った。
修二「ちょっとストップストップ!」
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