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俺たちの秘密〜むつ〜
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一学期最終日の今日。
1時間もしないで、学校から帰り、バイト開始前の有意義な時間になるはずだった。
登校した途端、谷崎に呼ばれた。
谷崎「2人共、落ち着いて聞けよ。昨日、橘が怪我をして入院した。頭をぶつけたらしいんだが、今はもう落ち着いてるが詳しくは分からない、病院は…」
あんまりビックリして言葉にならなかった。
直ぐに病院に駆けつけると、華南の兄、東紫(とうし)さんが病室にいた。
ベッドには白いガーゼに網を頭に被った華南が眠っていた。
怪我はそれだけで、あとは擦り傷と打撲だと、東紫さんは説明してくれた。
東紫「追いかけられて、階段から落ちたんだって。間抜けだね。しかも眠りっぱなし、医者は脳に異常は無いから起きてなんともなければ問題ないってさ」
誰だ…誰にやられた!?
イダテ?高橋?ヤナギ?
むつ「華南、華南」
修二「…」
ベッドで眠っている華南の枕元で、名前を呼んでみるが、華南の反応は無い。
むつ「華南、起きろよ」
修二「…」
むつ「起きて誰にやられたか説明しろ」
修二「…」
むつ「って、修二、黙ってないで…」
声かけろよ。と、続けようとして、俺の後ろにいた修二を見たら、修二は黙ったままもの凄い怒りを瞳に宿していた。
修二「……るさない…」
うお!修二のやつ完全にキレてる…
普段、怒っても笑ってる修二の眉間には、物凄くシワが寄っていた。
東紫「……」
東紫さんも俺と同じで驚いたんだろう、何か言いかけた口が開いたまま固まった。
東紫「…あっ、修二君?」
修二が病室から出て行こうとしたので、東紫さんが修二を呼び止める。
東紫「華南は襲われて怪我したってゆうより、逃げて階段から落ちたから、ボコられたわけじゃ無いからね。救急車呼んでくれた人がそう言って…」
修二「…。少し、顔を洗ってきます」
静かに答えた修二の隠し切れてない怒り、東紫さんは修二が報復に行かないか不安そうだ。俺が着いて行こうと立ち上がろうとしたら、ベッドの脇に触っていた手が温かいものに包まれた。
華南「…む…つ…」
寝言のように呟いた声に、添えられた手を握り返し、枕元で呼びかけた。
むつ「華南?華南!」
華南「…いいよ…もう一回…」
瞼を閉じたままヘラっといやらしく笑った華南は、どうやらいかがわしい夢の中。
こいつ!散々心配してやったのに!
この…
むつ「馬鹿!」
あまりの怒りに腹に一発入れてやりたかったが、それは流石に躊躇って、握っていた手をはたいた。
華南「痛ッ!!…ん?え?むつ?…え?東紫?」
東紫「おー、起きた起きた」
華南「…痛ッ!?痛ったー!??どこ?」
むつ「起きたか!、お前誰にやられた!」
目を開けた華南は軽くパニックになっていて、頭を抱えて痛がり、状況が掴めていいないようで、眉間にはシワをすっごい寄せて、なんとか開けた感じの片目がキョロキョロと周りと俺と東紫さんを行ったり来たり忙しい。
華南「…っつー!!…あれ?あいつらは?」
むつ「あいつら?あいつらって誰だ!?」
俺がでかい声で迫ると、華南は額を押さえて不快そうに強く目を瞑る。
華南「ぅう…痛い…むつの声…」
むつ「誰にやられたかはっきりしねぇからだろ?」
東紫「まぁまぁ」
華南は混乱してるのか、上手く会話にならずやりとりしていたら、看護婦がやって来て注意された。何も聞き出せていないのに、もう直ぐ医者が検査するから病室から出てろとまで言われたが、俺はベッドに噛り付いた。
むつ「それで、誰にやられた?」
華南「…俺…ッ助けらた…」
むつ「は?」
華南「あいつら…あの…緑の奴から…」
むつ「あ?緑から?華南それじゃわかんねぇよ、華南!」
看護婦「他の患者さんのご迷惑になりますので」
年配の看護婦が強い口調で言って、俺の腕を掴んで来た。そのタイミングで1人の男が俺たちに声をかけてきた。
男「あの〜、華南君は?」
大部屋の入り口にいたのは、見知らぬ男。
黒のサングラスにダークブルーのスーツ、派手な頭で小柄な人物、チンピラみたいなしゃがれ声で明らかにそっち系の下っ端に見える。
1番入り口の近くにいた東紫さんが明らかに不快そうに尋ねた。
東紫「誰?」
男「あっ、自分救急車呼んだ者ッス、あの…落し物を届けに…」
東紫「あ!ありがとうございます」
チンピラ風のその男は、どう見ても、加害者側に見える…。
男が手にしていたのは華南の携帯。
男の出現とほぼ同時に医者も現れ、俺たちは病室を追い出された。
廊下で男に頼んで救急車を呼んだ時の状況を聞いたら、男はしゃがれ声で話出した。
男「えっとですね、俺が男たちを見張ってたらですね。あっ…何で見張ってたかは秘密なんスけど。華南君がコンビニ前で騒いでて、男たちは華南君に気付くと『あいつだ』とか何とか言って、華南君の後をつけだしたから、ヤバそうだなぁ~って思って俺も着いて行ってですね、人気の無い公園近くで両者が言い合いだしたからヤバイなぁ〜って思って、間に入ったんスよ、でも、相手強面のチンピラで、華南君に逃げるよう言ったんス、ただ…。逃がした方向直ぐ階段で…」
なんか…説明にやたらツッコミどころが多くてすっげェ怪しいんだけど…。
強面のチンピラってあんたもなんだけど。
むつ「相手のチンピラって誰?」
男「ここらの商店街に最近移動してきたチンピラっスね、見たこと無い?赤い頭とか緑の頭とか派手な奴ら」
あ!…
こないだマキに絡んでた奴らだ!?
それで名前出てこねぇのか…、名前なんて知らねェもんな。
腹が立つことに変わりはないが、襲ってきた奴らが誰か分かってスッキリすると。あることに気がついた。
むつ「あれ?修二は?」
キョロキョロ辺りを見回しても姿は無く、トイレに行くと言ったきりで、トイレを覗いても修二の姿は無かった。
あいつどこ行っちまったんだ??
すっげェ怒ってたけど、華南やった相手は修二が知らない奴だし。修二が出てったの説明聞く前だったし、誰かと勘違いして誰かに焼き入れに行っちまったのかな?修二が?あの冷静な修二が…?
捕まえようと電話しようにも、移動しなきゃならなくてイラっとした。
男「あっ、携帯なら裏の駐車場のが近いっすよ、俺も行きますから」
むつ「ありがとうございます」
東紫「行くの?」
むつ「修二探してきます、また後で」
俺は男に着いて行き、華南の病室から30秒もかからない場所にある裏の駐車場に出た。
出たところで直ぐに携帯を取り出す。男は会釈して自分の車の方に歩いて行った。
ーツーツー
修二の携帯は、何度掛け直しても通話中で、全く通じない。
くっそ!あいつ何やってんだよ!
電話中なら喧嘩の最中ってことないだろうけど、修二が冷静な判断が出来ないなんてビックリだし。喧嘩になったりピンチに陥ったら激昂する俺や華南を止めてヘラヘラ笑って解決策を練る奴なのに。
「むつ君?」
急に呼び止められ顔を上げる。
むつ「あっ」
先程のチンピラみたいな男の前に止まってる車の後部座席から、見覚えのある顔がこっちを見ている。
むつ「百目鬼さん」
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