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番外編⑦泡になって消える狂愛に口づけを
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百目鬼さんは面白くて可愛い♪
優しいんだか、酷いんだか、相反するものを飼ってて、コントロールが上手くいってない
転ばないように手を引いてくれたり、
座るのに椅子を引いてくれたり、
ミルクとガムシロの数覚えてたり、
時々修二を思い出して寂しそうな瞳をしたり
それでいて口が悪い、
無愛想で顔が怖い、
僕を探って主導権を狙い、
動き出した頭は意外に冴えてる
僕にはやっぱりライオンの皮を被ったティーカッププードルに見える。
怖い顔がむしろ可笑しくて可愛い♪
店員「こ、こちらでよろしいですか?」
マキ「プレゼントなんでリボン付けてくださいね♪」
マダラトビエイを店員に渡し、満足そうに笑ったマキは、店員に何色のリボンを付けますか?聞かれ、わざとピンクを選ぶ。
ため息しか出ない百目鬼に、買わない方のぬいぐるみを押し付け会計していると、店員が期間限定の可愛いキーホルダーを勧めた。
ラ◯センとコラボしたキーホルダーには、繊細で美しい海と魚と空が描かれている。
ラ◯センだ、いいなぁ超綺麗。
百目鬼「ああ、これ修二が好きなやつだ…。お前もこの絵が好きなのか?」
マキ「うん、大好き♪綺麗でしょ♪」
百目鬼「…すいません、これ一つ」
マキ「?…」
??
百目鬼がお金を出し、キーホルダーを1個レジに置いて会計するのを、マキは不思議に眺めていた。
店員「お包みしますか?」
百目鬼「そのままで」
店員「ありがとうございました」
レジから離れると、百目鬼は疲れたようにため息をつきながら、そのキーホルダーをマキの頭にコツンと当てた。
百目鬼「ほら」
マキ「…」
マキは、キョトンとして瞳を瞬く、キーホルダーをつまんでる百目鬼の大きなゴツい手をジュピター色の瞳で不思議そうに見上げた。
百目鬼「……なんだ、その顔」
マキ「…へ?」
百目鬼「……ほら、早く受け取れよ」
受け取らないマキに苦い顔をした百目鬼がマキの目の前にキーホルダーを持ってくる。
マキは百目鬼がキーホルダーを自分に渡そうとしてるのをどうにも認識できなかった。
ジュピター色の瞳が不思議そうに瞬いて、百目鬼を見つめる。
百目鬼は、その困惑する瞳にジワジワと可笑しさが込み上がってきた。
百目鬼は、キーホルダーを買ったら、マキが馬鹿みたいに騒いで喜ぶと思っていた。
しかし、マキのジュピター色の瞳は揺れて。
〝これ僕の?僕になの?僕に買ったの?何で?嬉しい…でも何で?僕に?僕になの?〟
と、言ってる気がして可笑しくてなってきた。
百目鬼「フッ…。自分で交換しようって言い出したんじゃないか。要らなかったのか?」
マキは、不思議そうに瞬く瞳を、百目鬼からキーホルダーに移し、両手を出した。
百目鬼がキーホルダーをその手に持たせてやる。チャラッと音を立てたキーホルダーは、マキの手の中に収まった。
マキ「……………ボク…に?」
マキはキーホルダーに視線を落としたまま、無感情なカタコト言葉で喋り出した。
百目鬼は、マキのつむじを見ながら、教えてやる。
百目鬼「…お前にだろ?」
マキ「……ボク…に、クレたの?」
百目鬼「…そうだって言ってるだろ。要らないなら返してこようか?」
意地悪く言うと、マキは何故か納得したように、額を腕で拭った。
マキ「…ソッカ…そうだよね、ドッキリだ。あはは、ビックリしたなぁも〜…」
百目鬼「何でだよ!お前に買ったんだよ!」
何でドッキリだ!って苛立った百目鬼がマキの頭にビシッと突っ込むと、猫が潰れたみたいな声で「に¨ゃ!!痛い!」って恨みがましく見上げた。そうしてキーホルダーが視界に入ると、また不思議そうな顔でキーホルダーを見つめた。
百目鬼はきりがないので、マキの腕を掴んで車に向かった。
水族館を出て、駐車場の百目鬼の車に向かう。時間は3時ごろと少し半端な時間だった。百目鬼は助手席にマキを押し込み、運転席に乗り込む。シートベルトをして、助手席のマキを見ると、マキは、まだキーホルダーを眺めていた。
マキ「…………………………」
百目鬼「…」
マキ「…………………………」
百目鬼「…煙草吸うぞ」
マキ「…うん」
百目鬼がジッポでタバコに火をつけて、一息つく。
マキ「………………百目鬼さん」
百目鬼「ん?」
マキ「………ぁ…りがとぅ…」
百目鬼「!?」
キーホルダーを嬉しそうに両手で抱き込み、上がった肩に顔を隠すようにして、照れた上目遣い、ジュピター色の瞳が嬉しそうに恥ずかしそうに細められ、頬を桜色にして照れながら微笑む。
その表情に、百目鬼は、一瞬ドキリとして、煙草を落としそうになってしまった…
百目鬼は、今まで生きてきて、1度もそんな顔を人にさせたことはない。
修二には、どんなに頑張ってもできなかった。…ずっと、そんな幸せそうな顔をさせてやりたかった。
百目鬼「ッ……」
マキは、もう一度キーホルダーを眺めて
マキ「…僕…貰ったの…初めて…」
嬉しそうに呟く。
そして、思い出したように、ピンクのリボンのついた袋を出した。
マキ「はい百目鬼さん♪」
百目鬼「…ありがとよ…」
ピンクのリボンのプレゼントを苦笑いで受け取って、百目鬼が袋から出したマダラトビエイをイルカの隣に並べた。
百目鬼「満足したか?」
百目鬼は、マキが何故ぬいぐるみを買ったのか理由に気がついてるみたいだった。
マキがまた、にっこり微笑むので、百目鬼は目のやり場に困り、行き先を決めてないのに車を発信させる。
マキは、ずっとキーホルダーを眺めていた。
うわぁぁぁ…綺麗…、初めて貰ったプレゼント…。嬉しい…嬉しい…どうしよう…すっごい嬉しい…。
嬉しすぎて…胸の中がきゅぅぅぅ…っとして、ふわふわして、きゅぅぅぅ…ってなる…
車が信号で一時停止して、その揺れで、車がどこに向かってるのか気になった。
方角が、先生の家の方角がだと分かると、急に寂しくなった。
マキ「あれ?、もう帰ろうとしてる?……」
百目鬼「……お前、体は大丈夫なのかよ…」
マキ「へ?」
思った答えと違ったのでキョトンとして目を瞬いた。
百目鬼「歩きっぱなしで疲れないのか?」
マキ「休めるとこ連れてってくれるの?」
マキがいやらしく笑うと、百目鬼は〝休める場所〟がラブホテルのことだと察して、ため息と一緒にハンドルにもたれた。
百目鬼「…下品なやつ」
マキ「やだぁ〜百目鬼さんいやらしい♪」
信号が変わり、ため息ついて車を走らせる。
百目鬼「帰るのは先生の家でいいのか?」
マキ「えー、もっと遊んでよぉ」
百目鬼「さっきは可愛い反応したくせに、もう胡散臭い顔に戻ってるぞ、その作り笑いやめるなら考えてやる」
マキ「…やめたら、考えてくれるの?」
百目鬼「ああ…」
マキ「……百目鬼さん、暗いんだもん」
百目鬼「……悪かったな…認めたくないが…慰められた。だが、静かなのは元々だ」
マキ「じゃあ、メイちゃんと付き合う?」
百目鬼「…椎名さんとは付き合わない。本人にもそう言った。」
マキ「えー、メイちゃん絶対オススメだよぉー、マゾだし、優しいし、百目鬼さんと相性良さそうだって直感したんだ、僕、こうゆうの外したことないよぉ」
百目鬼「お前の勘がそうだとしても、俺の勘はそう感じてない、それに、気持ちはそんな簡単に消えたりしない…」
マキ「修二を諦めないの?」
百目鬼「…諦める…。諦めるつもりだ…。俺の欲しかったものも…修二の欲しいものも、俺には生み出せない、昨日ので心底思い知らされた。……そうだな、修二が高校卒業して、あいつらと一緒に住んで…それでも…あの幸せそうな顔のままだったら…、このしつこい気持も消えるかもな…。修二には迷惑な話だな…」
片思いを諦めなきゃいけないと覚悟する瞬間は、えぐられるように苦しい…
辛いだろう……僕も…そうだった…
マキ「…それまで1人?」
百目鬼「……次なんか考えられない…それに俺の病気治ってねぇーみてぇだし…。嫌なんだ…昨日みたいな激情に呑み込まれたセックスが…」
マキ「……」
百目鬼さんは、乱暴なセックスをして後悔する…。でも、興奮してくると、また罵倒と激情が始る。そして絶頂を迎え頭が冷えると後悔する。その繰り返し。
百目鬼「修二を散々苦しめた…、もう一度やり直すために封じ込めたつもりだった…。でも、昨日はタガが外れた…」
解き放たれた欲望は、相手を縛って貪る。
百目鬼さんは大事な事に気づいてない。
サドにも色んな種類がある。
百目鬼さんはおそらく渇望タイプのサドだ。
マキ「…」
百目鬼「…」
マキの手の中のキーホルダーがチャラッと鳴る。
マキ「……百目鬼さん、いいこと教えてあげようか?」
百目鬼「いい事?」
マキはゾクリとするようなジュピター色の瞳を妖しく揺らし、妖艶に微笑む。
マキ「そう、いいコト。だからホテル行こ」
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