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番外編55ひと夜咲く純白の花の願い
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全身が痺れて麻痺するようなゾワッとした嫌な緊張感に襲われる。
絶句とは、まさにこのことだろう。
頭の中は言葉の意味より。
その裏に隠れているものを瞬時に探し出そうとする。
………酔っ払いがなんか言ってる…。
冷静な第三者的自分が頭の中で呟く。
彼の吐いた言葉は、そのままの意味じゃないと警告し鐘を鳴らす。
百目鬼さんの、大きいのに情けないほど縮こまった体に抱きしめられながら、彼は、僕の耳元で〝迷惑の理由〟をこう言った。
『お前の気持ちには答えられない、お前と付き合うことは出来ない………、だけど……、嫌いじゃなくて……でも、好きとかじゃなく……………………ほっとけない…………かわ…いいんだ…、かわいくて…困る…』
かわいくて困る…
嬉しいはずの言葉なのに…
なぜこんなに胸が痛むのか…
百目鬼さんは、この言葉がどれだけ複雑な言葉か分かってる…だから言わなかった…
僕は冷静だ…
冷静になれ…
マキ「百目鬼さん酔ってるでしょ…」
百目鬼「酔って…ない…」
マキ「酔ってるでしょ?」
肩に埋まってた百目鬼さんの顔を覗くようにして、目と目を合わせて優しく尋ねると、百目鬼さんの顔が歪む…
百目鬼「ッ…」
マキ「ウイスキー…、何杯飲んだ?後半ロックにしてたよね?」
百目鬼「ぅ……よッ…てる、酔ってなきゃ、こんなこと言えねぇよ…」
やっぱり。
良かった…酔っ払いだった。
マキ「あは♪そうだよね、僕はずっと嫌われてると思ってた♪」
百目鬼「嫌い…だったさ、嫌いのままなら良かったんだ。言えるわけねぇだろこんなこと、言ったらマズイだろ」
シラフの時に、話してくれれば…
もう少し違った気持ちになったろうけど…
これは酔っ払いの戯言だ…
これは酔っ払いの言葉…
明日には覚えてない…
後悔するに決まってる
マキ「うふふ、嫌われてると思ってるより良いよ」
きっと…
酔ってなければ、聞けなかったろう
聞けた事が嬉しいようで…
でも、これがどれだけ残酷な言葉か…
気持ちに答えない…
好きではない…
なのに構いたくて
かわいい?
僕は冷静になれてる
ビリビリ痺れる内側が今にも泣き出しそうだけど…
大丈夫、僕はちゃんと考えれてる。
かわいいの意味を履き違えたりしない…
嬉しいけど…嬉しくない言葉だ…
それって気になってるって事で…
押して押していけばもしかしたら好きってものに傾くかもしれなくて…
出会った頃より大昇格してる……
これからも変わっていくかもしれない…
でも…
僕が…修二に勝てる日が来るとは思えない…
百目鬼さんの中で、修二への気持ちは、大事なもので、愛情で罪悪感で罪で…大切な人
修二の友達の僕を好きになるって事は、百目鬼さんの中では〝罪で、裏切り…〟
そうゆう意味の〝迷惑〟
百目鬼さんは、僕の気持ちには答える気はない…だから、言わなかったんだ…ぬか喜びさせると分かっていたから…
嫌われてるよりマシ…
マシだと思わなきゃ…
なのになぜかな?
震えと泣きたい気持ちが止まらない…
百目鬼さんは優しい…
修二の信じた通り…
優しい男だったよ…
僕のこと…考えてくれてた…
マキ「聞けて良かった♪」
シラフの時に聞けたらもっと良かった
甘い残酷な言葉…
今僕に言ってることを、百目鬼さんは明日、必ず後悔する…
百目鬼「良くねぇんだよ…、良くねぇよ…、俺は今、もっと言っちゃっいけねぇ事言いそうだ」
マキ「ふふっ、それってもう言っちゃってるのと変わらないよね…」
百目鬼さんの本音…
僕にとって嬉しい言葉がまだ隠されてそうだけど…
こんな極上に甘い毒はない…
聞いても傷つくだけだ…
でも…、聞きたい…今を逃せば、もう聞ける機会はないだろう…
百目鬼「グッ…」
マキ「言っちゃっいけない事って何♪?」
ジュピター色の瞳で上目遣いに見上げる
百目鬼「ッ………。俺は…」
マキ「俺は?」
百目鬼「お前にムカついてる…、好きだって言ったくせに…、さっさと乗り換えやがって…やっぱりその程度だったって…」
百目鬼はマキの右手を掴み、手首の傷をマキに突きつける。
百目鬼「俺以外の跡…」
ギラつく瞳で睨みつけ、手錠の擦れ跡に歯を立て噛み付いた
なんて残酷で甘い痛み…
百目鬼「跡つけてきやがって…」
マキ「…」
残酷な甘い毒…
僕だけがこのまま死ぬ…
死ぬのなら…
最後なら…
もう…いいか…
マキ「………僕、惚れ薬で他の人に惚れてきたよ」
百目鬼「!?」
マキ「他の人を好きになってセックスしてきた…」
どうせ…
明日覚えるとは限らない…
マキ「…だけど…残ったよ…、この気持ちは…、百目鬼さんを好きだって気持ちは…今もちゃんと心の中に…残ったよ…」
百目鬼「は?惚れ薬?」
かわいいなんて言うから…
ちょっと仕返し
聞きたがったのは僕だけど…
引き止めたのは百目鬼さん
この言葉でちょっとは混乱すればいい
ちょっとした仕返し…
百目鬼「惚れ薬飲んだのか?」
マキ「うん」
百目鬼「他の奴に…惚れてきた?」
マキ「信じなくてもいいよ。かわいいなんて言うから…。
ただ、そうだった…本物だったよって言っときたかっただけ」
百目鬼さんはどう思うかな?
ちょっとは嬉しい?
迷惑が膨らむ?
ちょっと困ってくれたらいいな…
マキ「百目鬼さんのこと、惚れ薬じゃなくて好きだったよ」
百目鬼「…」
目の前で唖然としている百目鬼さんが、可笑しくて、ざまぁって思って可愛くて…
イタズラに唇を重ねた。
馬鹿みたいに優しく…
触れるだけのもの…
マキ「百目鬼さん…好きになってごめんね…」
百目鬼「ッ…」
百目鬼さんが動揺してるのをいいことに、もう一度唇を重ねた。
苦くて…切ない…残酷な甘さ…
マキ「神さん…好き…」
心臓が締め付けられてそのまま止まりそうなほど…
惚れ薬じゃなくて
心から…あなたのことが好きでした…
百目鬼「ッ…馬鹿が…」
一方的なキスだったのに…
百目鬼がマキの唇に噛み付いた
舌を絡めて激しく貪る
そして乱暴にベッドに押し倒した。
乱れた髪…
濡れた唇…
雪のように白い肌…
百目鬼「だからッ…これ以上…かわいくなんじゃねーよ!…」
泣きそうなジュピター色の瞳…
百目鬼「泣かしたくなっちまうだろうが!!」
マキ「…泣かして…」
艶かしく切ない微笑みを浮かべて、両手を広げ…
マキ「あなたに泣かされたい…」
百目鬼「ッ……マキ…」
2人ベッドに身を沈める…
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