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百目鬼から見たマキ…
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帰りの飛行機は、二人して眠った。
寝不足と、2日目の今日は、飛行機の時間まで観光して回ったから疲れてしまっていた。
俺の腕に腕を絡め、肩にもたれて眠るマキの右手には、俺のやった腕時計が付いている。
俺はそれを眺めながら、いつの間にか寝てしまっていた。
北海道に行き、結局オーロラは見えなかった。だが、マキの心には触れることが出来た。
結局、昨日は晩ご飯を食べる前にもう1ラウンドした。そのあとハンバーグを作って、マキは幸せそうにそのハンバーグを頬張って食べた。
食べ終わったらまた始まって…
マキが仕返しだとかなんとか積極的に跨ってきて…散々俺の上で暴れた。
マキのやつ…どんだけすれば気がすむんだ。
せっかくだから、俺が誘って外で満天の星を寝転がって見た。
防寒具と毛布にくるまって眺めた星を、マキははしゃぎながら見て、幾つか流れ星も見つけて喜んでた。
その幻想的な世界の中で、マキは、ポツリ、ポツリ、と話し出した。
マキ『ねぇ、百目鬼さん』
百目鬼『ん?』
マキ『ごめんね。僕のせいでお金使われちゃって』
百目鬼『そこは、俺が勝手にやったことだ』
マキ『ねぇ…、
……僕のこと聞きたい?』
百目鬼『ああ、聞きたい』
マキ『本当はもう全部知ってるんじゃない?…百目鬼さん、探偵だし…』
百目鬼『…先生様に、聞いてみたことがある。そしたら先生様は、〝マキ以外の口から聞けば、知ることは出来るが、分かり合うことは出来なくなる〟そう言われた』
マキ『……』
百目鬼『お前の口から話してくれるか?』
マキ『…そんな重い空気出さないで、だって、僕にとっては、それが〝普通〟なんだから…』
百目鬼『…』
マキ『…………誕生日が二つある理由…知りたい?』
百目鬼『ああ…』
マキ『…たいしたことない、ただの大人の都合だよ。僕が生まれた日、母が亡くなった』
百目鬼『…』
マキ『…母は、僕をこっそり産もうとした。だけど容態が悪くなって、僕を産んで亡くなった。母は、世の中から僕の存在を隠したかったんだ。僕ね、愛人の子供なんだ。父親が妻子持ちで、お偉いさんなんだって。だから、母は、病院に行けなかったみたい』
百目鬼『…』
マキ『大丈夫。父親は、母をちゃんと愛してた。葬儀もしてくれたし、僕のことも育てようとしてくれた。だけど、出来なかった。僕のこの瞳の色と髪の色が、純日本人の父親の家庭で育てるには、体裁が悪いから。親族で話し合って、親戚に預けられた。その日が丁度3月2日。出生届も出してなかったし、再出発の意味も込めてね』
百目鬼『…それで…』
マキ『ふふ。やっぱ聞きたい?
僕、良くしてもらったよ、愛人の子なのに、父親の妻は、普通に接してくれたし、親戚も本当に大事に育ててくれた…。
僕を引き取ったのは子供が大好きで、独り身だった伯父さん。彼は自ら引き取りたいと言ってくれた。本当は両親(りょうおや)のいるところにって話もあったらしいけど、僕の外見のこともあって、独り身の伯父さんである、彼が引き取った………………………。』
百目鬼『…マキ?』
マキ『……だけど……。僕…生まれてきたのはまちがいだったんだ』
百目鬼『…』
マキ『…僕、母親似なんだ。見た目は女の子そのもの。そして、日増しに母に似てきた。それが彼を狂わせた…』
百目鬼『彼?』
マキ『…僕の、育ての親。彼は、本当に大切に育ててくれた…。僕を本当の子供のように大事にしてくれた。大好きだった。
だけど……僕が…小4の時、それは崩れる。変質者に女の子に間違われて僕が襲われた。男は僕を裸にして僕の股間に付いてるものを見て逃げた。何もされなかったけど、それを聞いたあの人はその時歪んでしまった。
男に襲われかけたと聞いて、〝他には渡さない〟って僕の体に触れたんだ。僕も、彼が大好きだったし、キスも、体に触れられるのも、自然なことに思った。その日から、毎日キスして、愛撫された。僕を他の人間に触らせたくないと悲しむ彼に、僕は、僕の全てあげようと決めたんだ。
体を触るだけだった彼に、〝セックスしよう〟と言ったのは僕だ。愛し合う方法がそれしかないと思った。僕は、彼を愛してて。彼は僕を愛してくれた………。
そう信じてた……………。』
百目鬼『何があった…』
マキ『………知ってしまったんだ……。
彼は……僕を好きだったんじゃなかったって…』
百目鬼『…』
マキ『彼は、僕の母を愛してたんだ。僕の中の母の面影を愛してた……』
百目鬼『…そう、言われたのか?』
マキ『人から聞いて。彼に聞いたよ。
……否定しなかった。
僕は彼に夢中になり過ぎて何も見えてなかったことに気付いた。
だけど…、全部遅かった、…彼の温もりを知ってから離れるなんて出来ない。〝それでもいい〟って僕が言った…』
百目鬼『…』
マキ『あは♪、百目鬼さん怖い顔してる。ほら、聞かなきゃよかったじゃん』
百目鬼『そんな風に思ってない』
マキ『ふふふ、僕にとっては、ただ通ってきた道ってだけ』
百目鬼『マキ…。お前はお前だ。他の誰でもない。どんな道だったにせよ、お前はお前なりに頑張ってきたんだ、それを俺が〝大変だったな〟って言ったとしても、俺は、お前を憐れんでるんでも同情してるんでもない。俺の話を聞いた時、お前は俺を叱って慰めた、お前は俺に同情して憐れんだのか?違うだろ?俺だって、言いたいし、抱きしめるくらいしたい…お前が俺にやったんだ。俺がやっても拒否るなよ』
マキ『…』
マキは、星空の下で、俺に過去を話し、悲しげに微笑む。だから抱きしめて、あのあとたっぷり甘やかしてやった。
マキは、俺の腕の中で子供のようにずっとくっついて、甘やかされた。
今日女装の格好で観光してる間も、俺の腕を握りしめ、無邪気に微笑んだ。。
これは、俺をマキの心の中に少し入れてもらえたと考えていいのだろうか?
全部聞いたわけではない、随分〝綺麗にまとめてある話しを聞いた〟感じがするが…
少しは心を開いてくれたと…
そう思いたい。
アナウンス『お客にお知らせします、当機は間も無く着陸態勢に入ります…………』
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