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お兄ちゃん相関図模様
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俺は何も聞かず、俺の持ってたライターの火を差し出し、それに気がついた吉良は、新しいタバコを出して咥えた。吉良はタバコの煙を深々吸って、天を仰ぐ。
吉良「………」
奏一「……」
スパスパと無言でタバコを吸い、遠いい目をした吉良は、ボソリと呟いた。
吉良「…修二君は元気ですか?」
奏一「ああ、元気だよ」
吉良「…じゃあ、上手くいってんすね」
奏一「…そうだね」
吉良「俺、卒業したらあいつらは別れると思ってました」
それはどうゆう意味だろう?
確かに、ノーマルのむつと華南はいつ女の子に傾いてもおかしくない。
吉良「…やっぱ覚悟が違うと結果も違うんすね」
ふとしたセリフに、むつを思い出した。
むつは、この俺に向かって、『俺には覚悟がある』と断言した。
奏一「……むつのことか?」
吉良「むつは、やると決めたらやる奴だ、鬼の特攻隊長様の奏一さんにも啖呵切りました?」
奏一「ああ」
吉良「やっぱ恐ろしい奴らだな、修二は奏一さんにビビらねぇし、むつは奏一さん相手に啖呵切るし、華南は2人のためなら喜んで病院送りになるだろうし、俺には無理だな…、覚悟が足りなかった。だから。終わったと思ってて終われてない…」
飲み会を突然抜け、憔悴してこんな話し…
まさか…
本田とキラリの授かり婚発表。と関係あるとしたら?
奏一「…本田か?」
吉良「…………奏一さん俺を軽蔑します?」
奏一「えっ?」
吉良は、俺の弟がむつや華南と付き合ってるのを知ってる、俺と修二の仲が良いのも知ってる。
だから、俺にはそういうのを話しても理解があると思って言ったんじゃないのか?
吉良「結婚する本田さんをお祝いするどころか、疑惑のかかる発言するなんて…」
吉良は、俺の反応を伺うようにチラッと見た後、タバコを吸い込み、軽い口調で語った。
吉良「先に言っとくと、本田さんはノーマルだし肉体関係とかは無いし、普通の男っすから安心してください。男好きなのは俺だけですから。
本田さんが高三の時、一年坊の俺が勝手に惚れて、騙して付き合わせて、卒業した本田さんが外の世界を知ると同時に俺に騙されてたって気づいただけですから…。男同士なんて間違いだって…」
それは、ドキッとする言葉だった。
目の前の吉良は、悪びれてるが、らしくなく弱音を吐くほど傷ついてる。
失恋したんだ…。相手は男だけど、失恋して辛い気持ちは俺たちと変わらない。修二は諦め癖があるから、ああなんだと思ったが、目の前の普段弱音とは無縁な吉良が、〝男同士は叶わない〟と初めから諦めたように言っている。
吉良「ちゃんと吹っ切ったはずなのに、さっきの話し本田さんの口から聞けなかったことがキたみたい」
奏一「そんな風に言わなくても、ずっと好きだったでいいんじゃないか?」
吉良「ハハッ、ずっとってことはないっすよ。叶わない恋を抱えるキャラじゃないし。他に好きな奴できたりした、まぁ、でも男同士なんで、ほぼほぼ叶わないし、気持ちを伝えることもない。目の前で女に掻っ攫われるなんて当たり前だし。ああ、男に掻っ攫われたこともあるな、フッ、修二に」
修二にッ!?
驚いて目を見開くと、吉良はクスクス笑い出す。
吉良「ええ、入学してきた時からずっと可愛がってた奴を、修二に取られちゃいました」
奏一「むつか!?」
吉良「ふふっ、そおっす。今はちゃんと応援してますよ」
奏一「………あの学校多いいのか?」
吉良「男子校なんで、まぁまぁいましたよ。ただ、ほとんどが、卒業と同時に火遊びはお終いだと終われる程度の手っ取り早い性欲処理だったり、恋だと錯覚してただけ。むつ達みたいに真剣に将来を考えるカップルは一握りだ。世間の冷たい目も有りますし、恋は片方だけ真剣でも意味がない…」
吉良の口調は軽い感じだが、瞳は悲しげで、こっちの胸が痛む。
彩さんの言葉が脳裏をよぎり、痛感する。
『人それぞれですが、ゲイもバイもレズも変わりません、人を好きになります』
人を好きな気持ちは、変わらない。
奏一「軽蔑はしない。お前は、俺が他言しないと分かってたから漏らしたんだろ?修二のことを受け入れてる俺なら、聞いてくれる、本田に不利なことにはならないと信じてくれたんだろ?」
吉良「………奏一さんはやっぱ、カッコイイすね」
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谷崎「奏一、本当に大丈夫か?」
奏一「大丈夫だよ、タクシーで帰る。それに羚凰がいるしな」
吉良と話した後、俺は吉良を会場に引き戻し、ヤケ酒に付き合った。
飲み会が終了し、授かり婚のせいか仲間はどんちゃん騒ぎでベロベロの酔っ払い多数。その対応に亮司が追われ、割とまともな俺は、タクシーで帰るからと言って方向が途中まで同じの羚凰を連れてタクシーに乗り込んだ。
谷崎「俺は、潰れた他の奴面倒見なきゃならない、奏一、お前、自分が思ってるより酔ってるからな」
奏一「はいはい」
谷崎「羚凰、同じ方向だから頼むけど、奏一寝かさないでな、こいつ寝るとヤバイから」
羚凰「了解しました」
奏一「余計なこと言うなよ亮司」
なんてやりとりしてたけど、俺は酔うと弟溺愛話しをして寝てしまうのが順序みたいなもんで、羚凰に修二の話しをして、ウトウトしてた。
順番的に羚凰の方が先に降りる。
羚凰の降りるとこまでもう数キロというところで周辺の景色が目に入った俺は気がついた。
この場所は…
奏一「俺、ここでいいや」
羚凰「え?谷崎さんは奏一さんの家はもっと先だって言ってましたよ、本当にここでいいんですか?」
羚凰は俺の家の場所を知らない。
タクシーの運ちゃんに亮司がことずけ、羚凰より後に降りるからと聞いてるだけ、実際は二駅くらい先。
だけど俺は、この場所で降りたかった。
釣りはいらないと運ちゃんに札を渡し、降りてフラフラしながら歩き出すと、後ろから羚凰が追いかけてきて俺の体を支えて歩く。「送ります!」「本当に大丈夫ですか?」「お家こっちなんですか?」と声をかけられて「煩くするならついてくるな」って言ったら黙って俺を支える。
とあるマンションに着き、慣れた足取りで中に入りエレベーターでついた場所で、目指す部屋にたどり着きインターホンを鳴らした。
深夜1時。常識で考えればとても迷惑な時間だけど、俺は酔ってて一つのことしか考えてない。
羚凰が不思議そうに部屋の表札を眺め、俺の名字とは違うこの家に眉をしかめる。羚凰はこの珍しい名字が読めなかったのと、なぜ自宅でないのか…とでも思ったのだろう。
玄関の中から音がして、扉が開く。
俺は中から出てきた人物に抱きついた。
奏一「ごめん彩さぁーん」
忽那「あらら、ずいぶん出来上がってますね」
羚凰の腕から彩さんに抱きつき、酔って呂律の怪しい俺を、彩さんは優しく抱きとめてくれる。
羚凰が唖然としてる中、俺は言いたかった事を口にする。
奏一「俺、俺、気持ち悪くないから、ごめん、言葉に出なかっただけだから…」
忽那「分かってますよ、安心して下さい。むしろ悩ませてしまってすいませんでした。玄関じゃ寒いですから、入ってください。お連れの方も入って」
彩さんに会った途端、気が緩んで「気持ち悪いか?」と聞かれて直ぐに答えられなかったのが申し訳なくて申し訳なくて、酔ってフラフラな俺は、玄関で縋るように謝って離れようとしなかった。
羚凰「……………」
とりあえずご近所のこともあるだろう、中に入った俺は彩さんに水を飲ませてもらう。
そんな俺を見て、驚いてる羚凰は、言葉を無くしてる。
奏一「彩さん夜中にごめん、こいつ羚凰、元朱雀で、俺の店の社員」
忽那「はじめまして、忽那彩です。奏一の弟の修二君の通っていた高校の保険医です」
羚凰「っ!?貴方が保険医さん?
あっ、すいません、俺、犬凪羚凰です」
保険医が男だと知らなかった羚凰は、驚いた様子だったが、律儀に挨拶は忘れない。
だが、羚凰は、この後真剣な顔してとんでも無いことを口にする。
羚凰「初対面で失礼を承知で伺います。お二人はお付き合いされてるんですか?」
………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?!
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