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お兄ちゃん相関図模様
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不思議少年マキは、上半身裸で俺の手を握りしめ、どこか人離れした妖艶さを漂わせながら微笑んだ。
マキ「全部取っ払って考えてごらんよ、百目鬼さんが気になってるでしょ?」
百目鬼のことが気になる?
全部取っ払って?
マキ「奏一さんは、今、色んな悩みを一緒くたに考え過ぎ、悩み事はさ、根っこみたいに別れて増えて、どれも関係あることかもしれないけど増えて別物になってる。一緒くたに悩んでも土の中に潜るだけ。根本を見失ってるよ。それに、大人になると立場だとか何だとか人間関係もあるし、あっつこっち波風立てないようにやらなきゃならないかもしれないけど、奏一さんはどうしたいの?奏一さんはどう思ってるの?」
奏一「…俺は…」
マキ「修二はね、奏一さんが大好きだし、絶対的信頼を置いてるし、でもそれって、修二が兄貴なら自分を何でも理解してくれるって考えてるからじゃないよ、奏一さんなら、兄貴なら、丸ごと受け止めて分かり合おうとしてくれるって思ってるからだよ」
奏一「分かり合おうと?…」
マキ「修二が言ってたよ。『全部を知ることはできない、全部分かり合うことは難しい、だけど、分かってもらうように話すことは出来る、話さなきゃもっと分からない。兄貴は、いつでも、何度でも話しを聞いてくれて、正面から向き合ってくれる人。否定も肯定も尊重もしながら、分かり合うまで話してくれる。だから、今まで、気持ちを曲げずに済んだ』って。たしかに、修二は頑固だからね、結構ネガティブだけど、ずっとずっと温めた気持ちは曲げないでいた。奏一お兄ちゃんが、真正面から修二を抱きとめ続けたから、〝修二の心は、曲がらずに済んだ〟んですね」
丸ごと受け止めて分かり合おうとする?
俺は、修二を抱きしめてやることで精一杯だった。
一週間監禁された修二を助け出した後、魘される修二を抱きしめ、修二がむつに会いたくないと言うからむつを何度も追い返した。何があったか聞こうにも、修二が余りにも平気な顔をしようとするから、聞けず。一週間抱きしめて背中を撫でてやることしかできなかった。
修二の寝ている間に俺が買い物に行ってる隙に、むつが合鍵で家に入り込み、修二の心を助け出した。
学校で何度も授業を抜け出してると連絡が来た時、何と無く理由が分かっていたが、あえて修二に言わなかった。そのうち華南が仲間に入りし、3人でつるんでる修二を、ただ見守ることしか出来なかった。
奏一「俺は、何もしてない…」
マキ「ふふっ、違うよ奏一さん。貴方はずっとずっと、修二の帰る場所でいてあげたんだよ」
え?
マキ「奏一さんはきっと、ずっと何度も悩んだよね。家族3人、修二のために今は父親として叱るべきか、兄貴として励ますべきか、年の離れた可愛い弟に、寂しい思いをさせないように両方頑張ってきた。今の修二を見れば分かる、奏一さんは修二にとって素晴らしい家族で、帰る場所」
帰る場所…
マキ「だから、奏一さんは何もかも全部呑み込んで理解して、アレコレしなくていいんだよ。理解するって、全部賛成することじゃない。
修二が一番頼りにしてるのは奏一さん。可愛い弟と〝付き合う奴〟はどんな相手だって弟を幸せにできんのかって厳しい目で見るし、大事な弟を取るみたいでちょっと気に食わない。
奏一さんの好みと修二の好みも恋愛感も違うんだから、その好みが分からないなんて普通だし、修二がゲイであることを理解してあげたいあまり、男同士に捉われすぎてる。男女だって変わらないよ、〝人としてみれば〟、好みが違うのも、大好きな弟の付き合ってる相手が気にくわないのも別に普通のことだよ。奏一さんは、意見が違ったからって相手を嫌ったり、相手の意見を押さえつけて従わせたりしないでしょ?男同士だとか男女だとか、理解しようとしたあまり、かえってこんがらがってる。人間って大きなくくりで見れば、どれもわりと簡単なことじゃない?」
一個一個解くように、マキの言葉は彩さんの言おうとしてることに似てる気がして、彩さんのあの柔らかい笑顔を思い出した。
忽那『修二君のセクシャリティーを理解してあげたい、修二君を理解したい気持ちから、修二君を人として見て受け入れていますが、ゲイのセクシャリティーについては理解できてないし、受け入れることが出来ない。その気持ちが、修二君を理解できてないんじゃないかって悩みの種になってるし、百目鬼やむつや華南が男を好きだという事に疑問を感じてる』
彩さんは修二の意見は知らないから、俺視点で考えてくれてる。
マキは、修二からいろいろ聞いて、俺が百目鬼に取る態度から推測した、修二側からの俺視点。
忽那『奏一、貴方が男を好きにならないのはそれで貴方〝の〟普通です。あなたの常識の範囲で、修二君のことやゲイというものを理解しようとしても、理解できません。理解したいなら人を見なければ。
奏一は、女の子なら誰でも好きになりますか?
人それぞれですが、ゲイもバイもレズも変わりません、人を好きになります。その上で、好みが加わります。それは性格的なことかもしれない、優しいとか頼りになるとか、もしくは体的なことかもしれない、胸が大きいとか筋肉質とか、もしくは見た目かもしれない、可愛いとかかっこいいとか』
彩さんも人を見ろと言った…
そして好みが違うから、全部好きとは感じない。
マキも、言い方は違うけど……
マキ「奏一さん、修二を分かってあげるのと、百目鬼さんを許したり受け入れたりは、別問題だから。奏一さんの気持ちで決めればいんじゃないかな?修二に聞いても、修二もそう言うと思うよ」
不思議色の瞳は、俺をまっすぐ見つめてそう言った。
この子は修二のためにここまでしてるのか?
マキ「迷ったら胸に手を当てて聞いてみて、ほら…」
マキは、歯形とキスマークの付く左胸に俺の持っていく。
奏一「おい!」
マキ「シー、聞いて」
マキの胸の下から、俺の手を叩くように伝わる鼓動。トクン、トクン、と聞こえていたのが、だんだんトットットッと早く弾む。
マキ「好きな人のことを想うと、鼓動が早くなって、きゅぅーって苦しくなるんだよ。それを感じたら、男とか女とか、役割とか立場とか一度忘れてその気持ちと向き合ってみたら?」
修二『あのね兄貴、マキはすっごい不思議な奴かもしれないけど、人の気持ちの分かる凄く良い子だよ』
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改めて考え直してみた。
マキや彩さんの言うことは、俺の心に響いた。
俺は確かに色んなものを結びつけて、これもあれもと繋げて考えてた。
そして、今すぐ全部解決とはいかない、それはずっと分かってた。
だけど解決しないけど、計算式すら見えてなかった問題の解き方のヒントが分かったような気がした。
修二のことは大事な弟だ。これからも、修二のことで何かあっても、俺は修二の家族で、兄であることに変わりはない。
むつや華南に関しては、それぞれに修二を救ってもらったと感謝してるが、修二を大事にできるかどうか、これからも厳しい目で見守る。
彩さんが言ったように、掘り返して悩んでも仕方ない。俺は、守る家族が増えたんだから、その行く末を見守っていけばいいと思えた。
百目鬼のことはやはり今すぐ許すとか許さないとかは言えない…、でも、今の百目鬼のことは、それはそれで知りたいと思う…。
…感じたら、何もかも取っ払って、一度向き合う。
夏「オーナー、大丈夫ですか?」
奏一「…おはよう夏、俺は今日どこか変か?」
今日は全体ミーティング、開店前に3店舗の社員が数名3号店に集まり話しをする日。
夏「いえ、今日はシャキッとされててかっこいいです」
奏一「そうだろう、そうだろう、俺は昨日深酒はしてないし、いつもカッコいいだろ」
夏「残念、今日は二日酔いに効くドリンク買ってきたのに…」
夏は残念そうにドリンク剤を鞄から出した。
それはそれでありがたく受け取る。するとこの会話を聞いていた五月蝿いのが飛んできた。
羚凰「えー!!ズルい!飲み行く時は俺も誘ってくださいよ!!抜け駆けは無しだって…」
奏一「昨日は百目鬼とだ」
すると和み系のワンコは一瞬で威嚇体制の大型犬に…
羚凰「奏一さん2人だなんて危険です」
奏一「店の安全のために働いて頂いてるんだ、そういう言い方するな」
羚凰「ッ…でも…」
奏一「レーオーン」
羚凰「っ…一つだけいいっすか」
奏一「なんだ」
羚凰「俺、黙ってたけど、この店に何度か朱雀の奴が来たんすよ、百目鬼……百目鬼さんが、ここらをうろついてるって聞いたって、奴ら殺気立ってて、一応誤魔化したし、百目鬼さんにも言っときましたけど…」
それでか…、最近店じゃないところに呼び出されると思ったら…。
奏一「そうか…、百目鬼は俺に言うなと言ったんだろ」
羚凰「…ええ。俺は、奏一さんに話して朱雀の奴らに話しを通してもらえば、誤解は解けるって言ったんですけど、それはマズイとかなんとか…」
恐らく百目鬼は、俺が百目鬼を恨んでるって思わせたままにしようとしたんだろ…、現役朱雀も朱雀OBも大勢の奴が百目鬼を裏切り者だと思ってる。奴らを説得することはできない。本当の事など話せないから譲歩もない。
百目鬼は俺とそいつらが揉めないように配慮してくれたんだ。
羚凰「奏一さん、今晩は彩さんのとこ行きますか?俺も一緒に…」
奏一「ああ、今晩は彩さんのところに行く、お前も来い」
羚凰「やった♪」
俺は、もうごちゃ混ぜには考えてない、一つ一つ考えた。
2人には、話さなきゃいけないことがある…。
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