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(番外編)純愛♎︎狂愛23
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それは、幼い頃見た映画のワンシーンだった。
『ねぇ、せーしろーさん、このお姉さんは、どうしてお兄さんを食べちゃうの?』
『あはは、〝ユウキ〟には、食べてるように見えるのか?違うよ、これは、キスといって、大好きな人にする愛情表現なんだよ』
『きぃすぅ?』
『〝ユウキ〟の可愛い唇と、〝ユウキ〟の大好きな人と、唇を触れ合わせて、好きですって体で伝えるんだ』
『じゃあ、せーしろーさんのこと大好きだから、せーしろーさんとするぅー』
『あはは、私も〝ユウキ〟が大好きだけど、それは、大きくなって、もっともっと好きになった大好きな人にとっておきなさい』
『え…、きすぅ…しないのぉ?』
『そんな悲しそうな顔しないで。今は理解できなくても、そのうちもっともっと大好きな人に出会うから、大切なものだから、とっておきなさい。それに、ほっぺになら、いくらでもしていいぞ』
『本当!せーしろーさん大好き!』
『ありがとう、私もユウキが大大だーい好きだよ』
『ねぇ、せーしろーさん、お姉さん今度はお布団で裸でなにしてるの?』
『あー…、ユウキ、君にはまだ早いな…』
『ねぇ、どうして目隠しするの?』
『ユウキ、大人になったらね』
『ねぇ、どして?せーしろーさんはいつも、分からない事は聞きなさいって言ってるよ』
『ははっ…。そうだったね、まいったなぁ、そうだなぁ。ユウキに特別に好きな人ができたらね。キスの次に、ああして抱きしめ合うんだよ』
『じゃあ、せーしろーさんとする』
『ユウキ…、私とは出来ないんだよ』
『なんで?』
『うぅっ…、なんて説明すればいいんだ』
『せーしろーさんでも分からないことがあるの?』
『ユウキ、もう少し大きくなったら教えてあげるよ、ユウキはいい子だろ?』
『うん、僕、いい子』
僕が幼い頃は、女の子みたいで可愛い、中性的で羨ましいと、よく言われていた。
周りにも、幼い頃はどっちにも見える子供は良くいた。だけど、幼稚園から小学校に上がる頃には、だいたい男の子らしくなっていく、しかし、僕は違った。
僕は、ズボンを履いていても、黒のランドセルを背負ってても、女の子じゃ無いの?って言われた。
それは年を重ねるごとに、艶めかしくなっていく…
清史郎さんは、僕を眺めてボーッとする事があった。
『清史郎さん?』
『あっ、いや、すまない…、ユウキは可愛いなぁと思って…』
そして事件は起こった。
変質者に物陰に連れ込まれ、服を脱がされた。
幸い男は、僕のチンチンを見て逃げていった。
僕の有様を見た清史郎さんは、発狂するようにブチ切れた。
その日、お風呂で肌が赤くなるまでゴシゴシと洗われ、僕は身体検査しれた。
怖かったね何処を触られた?と、何度も聞かれ、清史郎さんは上から順番に触って聞いてきた。
僕は、体を弄られたことを話してしまい、清史郎さんは隅々撫で回す。
その時は、男が触れることのなかった下半身に触れることはなかった。
僕はその身体検査が気持ちよくて、触ってもらえることが嬉しかった。
その日から毎日、何もなかったのか身体検査。
だけど、そのうち、触られて変な気持ちになってくる。
『ん…あっ…』
『可愛いね、どうしたの?胸が気持ちいいの?』
『気持ち…いい…けど…』
『けど?』
『おちんちんがムズムズする』
『あぁ…、ユウキは男の子だったね…』
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
僕はいつも…、誰かの大切な人になるには、その人の条件を満たせない。
清史郎さんは、僕が男の子であることを受け入れきれなかった。〝マリア〟の代わりなのだから、しょうがない。
百目鬼さんは、元々僕と正反対の清楚系が好きで、僕が修二の友達だということが引っかかってた。
僕の好きになる人は、僕を好きにはならない…。なのに…。ここ数日の僕は、どうかしてた。
百目鬼さんに我慢させてたこと…
ずっと知ってた…
甘えすぎた…
いい子にならなきゃ。
奏一さんの処に行った百目鬼さんは、朝方帰ってきた。
百目鬼さんは、目を合わせてくれない…。
布団に入った百目鬼さんは、僕に背中を向けた。
マキ「ごめんなさい…」
百目鬼「…」
百目鬼さんの背中を見つめながら言ったけど、百目鬼さんは振り向かず、僕の視線はベッドのシーツに落ちた。
マキ「嫌だって言ったのは、百目鬼さんが嫌なんじゃなくて、セックス…しない方がいいんだと思って…」
ちゃんと言うから、聞いて…
マキ「百目鬼さん…、僕とシても、終わってから後悔してるでしょ?百目鬼さんのこと好きだから、僕はいっぱいシたいけど、百目鬼さんは、違うでしょ?だから…。百目鬼さんに跨るの我慢することにしたんだ」
チラッと百目鬼さんを見たけど、百目鬼さんの背中は振り向かない。
マキ「百目鬼さんからセックスしたいと思ってもらえるまで…自粛しようと…。
でも、僕は百目鬼さんのこと考えるだけでシたくなっちゃうから、オモチャで毎日ヌいてて…。頭ん中抱いてもらうことでいっぱいで…。だから、嫉妬してもらえて嬉しいとか思っちゃって…ごめんなさい…」
百目鬼「…」
マキ「それと、結婚式場に居たのは、僕の育ての親の叔父さん。偶然会っちゃって、泣かれた…。僕…家出してるから…」
叔父さんの話しをしても振り返らない。
寝ちゃったのかな?
マキ「僕は、百目鬼さんと付き合ってから、百目鬼さん以外、誰ともセックスしてないよ。僕は、百目鬼さんのことが好きだから…。
百目鬼さん…、ごめんなさい。我慢させてごめんなさい、僕、いい子になるから」
僕は、百目鬼さんが、大好きだよ…
百目鬼さんは…もう…疲れちゃった?
その日、僕の弁解を百目鬼さんは全部聞いてくれたと思う。
だけど、大きな背中が振り返って僕を抱きしめることはなかった…。
そして、その日を境に、百目鬼さんは僕と居ても、奏一さんの所へ行くようになった…。
仕事だから当たり前だけど…
未来を暗示してる気がして不安になる。
やりたかった仕事も、ストーカー事件も片付いたのに、百目鬼さんが僕とゆっくりすることはなかった…
そしてついに、その時が来た…
《しばらく忙しい、事務所に来なくていい》
メールは、短く、そう書かれてた。
マキ「……やっぱり…」
目の前がボヤける…
もう、ダメなのかな?
僕は、振られちゃうのかな?
寒いよ百目鬼さん…
もう、星を見ることはなくなっちゃうのかな?
嬉しかったのに…来年の約束…
約束…信じたのに…
時計…いらなくなっちゃうのかな?
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