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〔裏番外〕狂愛♎︎純愛13
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マキ…
俺はどおしたらいい?
マキは、正気に戻るのを酷く嫌がった。でも、惚れ薬のマキに何を言っても、本物のマキの心には届かない。
俺は無理やりマキを正気に戻し、混乱してるマキを抱き上げ、運んだベッドの中で朝まで優しく本物のマキを抱いた。
百目鬼「…マキ」
マキ「あっ、…ど…めき…さん…」
溶けた瞳が不安げに揺れる。
こんなに熱く何度も抱いても、その淋しげな色は消えない。
百目鬼「俺が好きか?」
マキ「…き……好き…」
俺は今更気付いた。
俺はずっと、マキの中の〝惚れ薬のマキ〟を探していた。
マキが時々、憂いたように月を眺めてることがあった。消えそうな気がして気が気じゃなかったが、今思えば、揉めたり、俺が暴走した後、ああしてる気がする、もしかしたら、この事を考えていたのかもしれない。
マキ『百目鬼さんの望む僕でいたい…』
修二『百目鬼さんは僕じゃダメだって思った』
雪哉『今の説明じゃ、そうとしか聞こえない。マキ様にも、そんなようなこと言ったのなら、きっと、そうとしか聞こえてないと思うよ?』
俺は…俺は…、マキのこと…
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どんなに悩んでも、世の中は回ってる。
飯食って、仕事して、飯食って、寝なきゃならない。
その日は、姫香さんのウエディングドレスとプランの最終決定日。
ここまで、何事もなく。そして手がかりもない。出来れば式前に片付けたかったが、犯人の手掛かりはほぼない。
試着が終わり、ドレスや式の最終の話し合いをしている間、俺は会場を巡回していた。
その時、耳のイヤホン型の無線にザザッと音がして、マキの声が響いた。
マキ『百目鬼さん!玄関ホール!」 』
緊迫した声に、ついに犯人が現れたと玄関ホールに駆け出した。
百目鬼『動くな!』
無線にそう叫んだ、だが、マキがそれを聞くとは思えなかった。
案の定、マキは犯人を追いかけてやがった。
犯人を見失い、報告に戻ってきたマキの頭を叩いて怒鳴りつけた。マキは、謝ってはいたが、おそらく反省してない。目がやる気に満ちていて、〝次こそ捕まえてやる〟ってな雰囲気だ。
その日、俺はマキを家に連れ帰り、フローリングに正座で1時間説教してやった。
ストーカーっていうのは、いつヤバイ行動に出るか分からない、だから無闇やたらに追いかけないで、妹役に徹する事を約束させた。
百目鬼「分かったのかマキ!」
マキ「はい、分かりました。2度と勝手な真似はしません」
これは、一歩間違えば大怪我の元になる。だから怒ったんだ、これは決して行き過ぎた感情じゃない。マキは直ぐ無茶する。これでも叱り足らないくらいだ。本当ならベッドに縛り付けて泣いて謝るまで…
雪哉『神はマキ様の心に優しくない!』
ああ、しまった、つい…クソ。
百目鬼「…分ったならいい、飯食うぞ」
俺は直ぐに夕飯の支度をして、マキとテーブルで食べ始めた。マキは、リスみたいにほっぺいっぱい頬張って本当に幸せそうにモグモグする。
優しく出来ない俺の手が作った飯を、どんなご飯より美味しいと食べてくれる。俺の母親の味付け…、俺が作ったのを褒めるのと同時に、俺の母親が褒められてる気がして嬉しくなる。
毎日作ってこの顔を眺められたらいいのに…
そのためには命が幾つも必要だ…
俺はビールを飲みながら、テレビを見てるフリをして、マキの幸せそうな顔を見ていた。
ふにゃっととろける笑顔は、本当に無防備で、一口一口何度も噛んで味わってる。マキは、とても箸の持ち方が綺麗で、パクパク食うが、食べ方が上品だ。
マキは出生の話をした時、愛人の子だけど、良くしてもらったと言っていた。マキは、食べ方も綺麗だし、字も綺麗だ、頭も良いし、教育は良く行き届いてる。だから、〝良くしてもらった〟のが本当だろうとは思うが…、では、何故マキはこんな性格なんだ?
俺が連れてくまで、動物園も水族館も映画館も行ったことがないと言っていた。
それにマキはどうして、心配されることを極度に嫌がり、人の心配はする癖にあんなに犠牲的に生きる?
…。
さっきっから、マキがこっちを見て気色悪いほどニコニコ笑ってやがる。
百目鬼「マキ」
マキ「え?」
百目鬼「俺の顔になんか付いてるか?」
マキ「凛々しい眉とつぶらな瞳が付いてる♪」
マキは、キャハッと答えた。
こいつは、つぶらな瞳の本当の意味を知らないらしい。こいつは馬鹿だ。マキは俺が可愛く見えるらしい。
俺は、マキが小悪魔猫にしか見えない。
その猫耳と尻尾をなんとかしなけりゃ、心臓が持たない。
今晩はどうやって跨られないように切り抜けよう。俺が今まで言ったことがマキを傷つけてたなら、アレを渡して、少し話しをして、マキの心に優しく出来るようにならなけりゃ。
マキ「百目鬼さん、お皿洗い終わったから、僕帰るねぇ〜♪」
百目鬼「は?」
俺は耳を疑った。
マキから〝帰る〟と言われたのは初めてだし、そもそも今日は泊まれる日だ。
怒ってる?
百目鬼「明日は日曜だぞ?」
恐る恐る聞くと、マキはあっさり返してきた。
マキ「うん、明日は9時頃事務所だよね?」
百目鬼「そうだが、マキ帰るのか?泊まっていかないのか?」
今までと態度が違う…、怒ってるんだ…
マキ「お泊まりセット持ってこなかった。ほら最近はずっと無かったし」
そうだ…、俺が避けたんだ…自業自得だ…。
百目鬼「…ッ…悪かった」
マキ「え?なんで謝るの?全然謝ることないよ、百目鬼さんはお仕事だし♪僕が着替え持ってこなかったってだけだから」
でも、ダメだ、ここで帰したら今後気まづくなる。それに、傷つけたなら、優しくしなきゃ、アレだって用意したんだ。
百目鬼「パジャマなら貸すぞ」
マキ「あはは、百目鬼さんのパジャマは借りれても、パンツも歯ブラシもないし」
百目鬼「……」
そんなに、俺と居たくないのか…
いつもだったら喜ぶのに…。
檸檬に言われた言葉が耳に痛い。
〝嫌われても知らないよ〟
マキ「…それにぃ〜、僕ってば、泊まったらSEXしたくなっちゃうし♪♪」
百目鬼「…」
マキ「あはは♪ごめんね、お仕事忙しいのに僕ってば淫乱で♪」
百目鬼「……もう終わるから…、悪かった。もう一つはもう終わる。姫香さんの依頼だけになったら、時間できるから…」
もう一つのは終わった、後は報告と精算だけだ。そうしたら、何処かに連れてってやれる。それに、チャラけても今日は怒らない。
マキ「ふふッ、お泊まり復活でラブラブSEX復活?」
百目鬼「…………またそれか…」
また、下ネタ交じり…。素直に〝寂しい〟とは言ってくれないんだな…。言ってくれたら、全力で甘やかしてやるし、甘いものもいっぱい食わせてやるのに…
マキ「ふふッ、僕って獣だから〜、襲っちゃうかも♪♪百目鬼さんはゆっくり休んでよ。獣は夜行性にて今から活発になっちゃうからさ♪♪油断すると跨っちゃうぞ♪♪」
そう言いながら、マキが玄関に向かおうとした。ダメだ!帰らせたらどんどん気まずくなる!
思わず抱きしめると、マキはビクッと震えて固まった。
行くな、行くなマキ。
どおしたらいい?どおしたら伝わる?切羽詰まると変な理屈めいた言葉しか出てこない。
百目鬼「お前がいて休めない程俺は神経質じゃない。歯ブラシなら買い置きがある、下着は俺の履いて今履いてるの洗濯しとけばいいだろ、乾燥機あるの知ってるだろ」
マキが戸惑って瞬きしてる。押せばなんとかなりそうな気がした。
あと一押し!
百目鬼「お前が皿洗ってる間に風呂入れといた。洗ってやるから入れ」
マキの顔が赤らんだ。
嫌ではなさそうで安心した。素直になるかと思ったら。マキはやっぱりマキだった。
マキ「あはは♪、やだー百目鬼さんのエッチ。お風呂プレイ?」
また下ネタ…。捻くれてる。わかっちゃいるが…そんな言い方さえしなければ…
百目鬼「はぁー。お前はそれさえ言わなきゃ可愛いのにな…」
マキ「ふふッ♪ですよね〜。僕って下品でゴメンねぇー。僕今日は1人で入るねぇー♪百目鬼さんは襲われたくなかったら入って来ちゃダメたんだからねぇ♪」
百目鬼「おい、マキ」
マキ「覗いちゃダメだよ♪♪僕の裸が見たいなら入って来ても良いけど♪♪ウフッ♪」
ヘラヘラそう言いながら、脱いだ洋服を俺の顔に投げつけて、マキは、バタン!っと浴室のドアを閉めてしまった。
しまった…。
俺、またなんか気に触ること言った?
俺の馬鹿…
やっぱ言葉はムズイ
ってか、パンツを人の顔に投げつけるなよ…
百目鬼「ったく…」
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