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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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【むつside】
マキは、寝る前に〝風邪薬〟と言って薬を飲んで寝た。薬があると言われても、風邪で食欲がないようには見えない。
いつもだったら、修二に絡んで抱きついて寝るのに、今日は大人しく1人で布団に潜る。畳の部屋で俺たちと雑魚寝なのに絡んで来なかった。
マキの寝息が聞こえ、ぐっすり眠ったんだと確認した俺は、1人で布団から抜け出した。
修二「むつ、どこ行くの?」
パジャマから私服に着替える俺を見て、修二が起きてきた。
むつ「百目鬼のところに行ってくる」
修二「行かないでって言われたでしょ?」
むつ「百目鬼に、何があったか聞いてくる。マキは、自分が悪い風にしか言わねぇーから、本当は何があったか分んねぇーよ」
悔しい。夏風邪なんて嘘に決まってる。俺たちをくっつけてくれたマキが、何であんな風に泣かなきゃならないんだ…。マキは、俺たちより幸せになってくれなきゃ!
修二「マキと百目鬼さんの問題だよ」
むつ「修二は、冷たくねぇか?マキの奴あんなになっちまってるのにッ!!」
俺ばかりが過剰反応して、修二も華南も。修二に至っては百目鬼を庇護しやがる。
マキのことで修二ともめてたら、声が大きかったらしく、華南までやってきた。
華南「おい、マキが起きちまうよ」
ッ、だって、だってよ!!
俺の怒りが収まりそうに無いのを見て、修二がしかないと言った風に息を吐く。
修二「…、電話があったんだ。泉さんから」
むつ「電話?」
修二「もし、マキが頼ったら、助けてあげて欲しいって、〝誰かさん〟が修二に頼んで欲しいって言ってました。ってね」
むつ「誰かさんて誰?」
俺が眉間にシワを寄せると、修二の後ろで華南が察した。
華南「百目鬼さん?」
むつ「は?」
修二は、困った顔して否定しなかった。
意味がわからない。百目鬼の奴!振っといて何様だ!
修二「僕も詳しい話は聞かなかった。だけど、マキが僕たちを避けてる間は、何も聞けないと思って、下手に近づくと、マキは逃げちゃうから。僕ちゃんたちと違ってお金持ってるからさ、それこそ家ごとドロンされたらお終いだからね」
むつ「だから、マキが逃げねぇーように、寝てる間に百目鬼に話を聞いてくるんだよ!」
修二「そんな殺気立って行っても喧嘩して終わりでしょ?」
むつ「俺は、奴を殴らなきゃ気が済まない。だけど、マキが泣くから我慢すんだよ!お前の時だって、本当は百目鬼なんかボッコボコにしてやりたかったよ、だけど、修二が悲しむからって華南が言うから止めたんだ!」
修二は、少し驚いたように目を見開き、そして優しく細めた。
修二「それが分かってるのに、行くの?」
むつ「百目鬼の気持ちを聞いてくるんだよ。俺は、百目鬼なんか大嫌いだけど、マキと2人の時、なんかマキのこと大事にしてて好きっぽかったし、マキがアレでいいって、アレがいいって言うから我慢してたんだ…」
修二を傷つけた百目鬼に、マキが恋してると知った時、マキは馬鹿なのかと思った。あんな奴のどこがいいんだって信じらんなかった。だけど、百目鬼に恋してるマキは、可愛いんだ。いつもはヘラヘラしてるのに、なんかフワッと花咲くみたいに笑うし、付き合いだした時なんかは、女子かって思うほどキャピキャピしながら可愛らしい顔して思い出しデレとかするんだよ。だから、百目鬼のことは嫌いだけど、マキがあんなに嬉しそうだから、付き合って良かったのかなって…、思い始めてたのに…
修二「…百目鬼さんの気持ちを聞いてくるだけで済むの?」
むつ「そうだよ!。本当はボッコボコにしてやりたいけど、これ以上マキのシケタ面みたくねぇーし。俺、こないだ助けてもらってんだよ、自分ではもうどうしようもなんなくて、でも、マキは、厳しいこと言いながらも俺の味方してくれてた。今度は俺がなんとかしてやんなきゃッ!
瀧本の所に1人で乗り込んだマキは馬鹿だけど、百目鬼のためにやったんじゃんか!何で別れるなんて思うんだよ!」
修二「んー、むつは殴る気満々じゃん」
むつ「ッ!…だってよ修二!!」
マキは、普段感情隠してるのに、今はちっとも隠せてなくて、まるで別人みたいに弱っちまってて。本当だったら愚痴とかブチまけて楽になりゃいいのに、『百目鬼さんは悪くない』とか、馬鹿だろ!!
それに、あの背中ッ!!
あんな怪我したのに、百目鬼の野郎を守ろうとしておった怪我なのに、何で別れんだよ!
あん時、惚れ薬でおかしくなったマキを大事に大事にしてるっぽかったのに、何で怪我した恋人を振るんだよ!!一体何があったらそこで終わっちまうんだよ!!
修二「…むつ。殴らないって約束して。話を聞くだけなら、僕ちゃんも一緒に行く」
むつ「え?」
華南「お、じゃあ俺は眠れるマキの隣で添い寝だな。マキのことは任しとけ」
むつ「華南…修二…」
修二「双方の話しを聞かなきゃ分からないからね、だから、手を出しちゃダメだよ?」
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夜10時。
菫ママに頼んで、矢田さんに協力をお願いした。最初は百目鬼の居場所は教えられないってブルブルしてたけど、俺に代わって修二が説明したら、渋々了承してくれた。
百目鬼には内緒で、百目鬼の家に来た。矢田さんは百目鬼が心配だからと付いてきたけど、怒られると怯えていた。
玄関のインターホンにカメラが付いてて、俺と修二の顔を見たら居留守を使うかもしれないから、矢田さんにインターホンを押してもらった。
百目鬼は、すぐに現れた。
玄関を開けた百目鬼は、ズボンを履いていたが、上半身は裸で髪が濡れていた。シャワーしてたみたい。
百目鬼は、矢田さんが俯いてるのを見て、ため息まじりに声をかけたが、直ぐに理由に気がついた。
百目鬼「矢田、どうし……」
矢田さんの横に、俺と修二がいるのを見て固まった。
俺が睨みつけると、俺たちが何しに来たか察したらしい百目鬼は、頭を抱えていつもの言葉を口にする。
百目鬼「修二、俺の所に来るって奏一に許可もらったか?」
百目鬼の義務なのかもしれないが、今回ばかりはこのやり取りに腹が立った。百目鬼だって、俺たちが何で来たか分かってるはずだ。
修二が許可を取ってないと答えると、百目鬼は直ぐに連絡しろと即した。修二は携帯を取り出し、奏一さんにメールしたが、許可無く会ったから怒ったられた。しかも今回会ってる理由を説明できなくて濁したら、今から来るって。奏一さんが合流したら、余計ややこしくなりそうだが、そんなの後だ、俺は、さっさと百目鬼の話を聞きたい。
修二が奏一さんと電話してると、百目鬼の家の中から、男の人が声をかけてきた。
雪哉「矢田ちゃんケーキ持ってく?いっぱいある…、あ、ごめん、お客様だったんだね」
優しそうな顔した男は、歳は俺と百目鬼の間くらい。
百目鬼は、その人に向かって、優しく話しかけた。
百目鬼「悪い雪哉、今日は帰ってくれるか?急用が出来た。また明日来てくれ」
雪哉「うん、分かった」
雪哉、と呼ばれた優しそうな人は、1度引っ込むと、荷物を手にして玄関で靴を履く。
ってか、誰だよ!!
俺の腸は煮えくり返りそうだった。
なんだか、百目鬼が雪哉って奴にやたら優しい声を出してるのが気にくわない。
百目鬼「雪哉、悪かったな」
雪哉「また明日来るから、ほどほどにね」
そう意味深に見つめ合い、雪哉は階段を降りて帰って行った。
むつ「誰だよ、今の」
俺は、今にも掴みかかりそうな衝動を抑えて百目鬼を睨み上げると。百目鬼は呆れたような、感情の薄い顔して見下ろしてきた。
百目鬼「関係無いだろ」
むつ「またってことは、何回も家に呼んでるのか?マキをほっといて…」
百目鬼「マキとは終わった」
サラッと言われて、キレそうになった。だけど、俺がここに来たのは、何故終わったのか聞くためだ。
むつ「何でマキと別れた」
百目鬼「マキから聞いてるんじゃ無いのか?」
むつ「あいつは、自分が悪いとしか言わない。だから、何があったか教えろ」
俺の言葉を受けて、百目鬼の表情は冷めたように冷たい目をした。
百目鬼「めんどくさいから、捨てた」
むつ「あア¨!!」
あまりの言い草にブチッときて胸倉を掴んだら、修二と矢田さんが俺を止めに入り、百目鬼は無抵抗に俺を見下ろしてた。
むつ「テメェー!!」
修二「むつ!乗せられちゃダメ!誤魔化されてるんだよ!!」
むつ「ハア?!」
修二に力一杯制されて、俺は後ろへ追いやられた、そして修二が、キッと厳しい表情で百目鬼を見ると、百目鬼は一瞬「うっ」っと顔を引きつらせる。
どうやら、百目鬼は修二に弱いみたいだ。
修二「僕たち、本当のことが知りたいんだ」
静かに修二がそう言うと、百目鬼は少し緊張したようすながらも、冷めた目で修二を見下ろす。
百目鬼「本当のことも何も、めんどくさいから捨てた、それだけだ」
修二「なぜ、そうなったか教えて下さい」
百目鬼「ッ、何故って、付き合ってみて合わなかった。だから捨てたんだ。もう俺には関係無い。今は、新しい奴と付き合ってる」
むつ「何だとッ‼︎‼︎」
限界だ!マキと約束したけど、耐えられねぇーー!!
修二が俺を止めようと叫んだけど、もう止まらなかった。
修二と矢田さんを振り切って、百目鬼に飛びかかって思いっきり殴りつけた。
鈍い音が響いて、思いっきり百目鬼の左頬に俺の拳がめり込む。
何故か…
百目鬼は、黙って俺に殴られた。
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