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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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【マキside】
見渡す限り広がるキラキラした輝きに溢れ、降り注ぐ光の海に幸せで息が止まりそうなほど嬉しかったあの時、どうしてあの瞬間に、止まってしまわなかったんだろうか…
暗闇に蹲っていた。
前にも、大切な人を失ってそうした。
だから今回もそうなると思っていた。
だけど泉がやって来て、怒れるむつ君がやって来て、お説教しながら優しく手を引く修二が来て、気づかない振りしてフォローしてくれる華南が来て、最終兵器奏一さんに叱られて、僕は以前のように自暴自棄にならずに済んだ。
ご飯も美味しく食べられるし、みんなと今まで通り話せてる。少し落ちてた体重は、ほとんど元に戻った。
だけど、元に戻ってしまえば、僕は今まで通りに戻る。体が元気になったら、疼きも復活した。何て貪欲で淫乱なんだろう…、失恋に寂しさを感じていても、体は肉欲を求める。
どんなに悲しい気持ちがあっても、燃え勃つペニスでぐちゃぐちゃにかき回して欲しいと男を求める。
修二たちに守られて元気になった僕は、結局、失恋の痛手より性欲が勝る。
そして心は反比例するように、時間が経って日付が変わるたび、一枚一枚何かが剥がれ落ちてその虚無を大きくする。
鳴らない携帯が、百目鬼さんと終わったんだと僕に思い知らせる。
そんな僕を、修二は見逃さずにあれこれ考えてくれて、心を痛めてくれる。
そして、修二は言うんだ、100パーセントでぶつかって来て欲しい…と…。
百目鬼さんにもそうしろと…。
百目鬼さんに…もう一度ぶつかっていって、粉々に砕けたら、どうすれば良いのかな?
修二に無茶なお願いをしてみた。
修二たちのセックスを見せて欲しいと、修二は顔を真っ赤にしながら、それでも断らなかった。
修二が断ったら、桜木さんのところに行こうと思っていたのに、修二が断らないから行きそこなった。
修二は、何日経っても根を上げない。
ちょっとフラフラになりながら、僕の前でむつと華南に抱かれてる。
修二がとろとろに愛されてるのを見ながら、羨ましいのと可愛いなぁって思いながらさらに奥深くの複雑な感情に包まれながらほんの少し満たされる。
僕の心はずっと迷子だった。
感情的な自分は泣き喚き。
冷静な自分は無理なものは無理だと言う。
子供の様な自分は今直ぐ会いに行きたいと駄々をこね。大人な自分が会って何するの?と問う。
これは素直じゃないんじゃない。本当の気持ちだ。どれも僕の本当の気持ち。
百目鬼さんに会いたい、会ってやり直したいと言いたい、でも、百目鬼さんにとって、僕との関係が良いものに思えない、百目鬼さんは僕を要らないと言った。
僕はずっと本当の気持ちをぶつけてきた。好きだとか、側にいたいとか、捨てないで欲しいとか。だけど、百目鬼さんが僕に出した答えは、『要らない』だった。
百目鬼さんの優しさを汲み取っても、修二の時みたいに跳ね除けられても執着する様な気持ちは、僕には持ってもらえなかったと感じてしまう。百目鬼さんは危険に飛び込む僕を、危険から遠ざけるために離れたんだと、それが優しさだと思いながら。それでも離れた事実が、『要らない』ってことなんだと重く心を沈め込む。
自分に悪いところがあったとか、直さなきゃいけないとか、色々分かってるけど、分かってる自分と分かってない自分が葛藤する矛盾。好かれてたんだと信じてるのに、この結末を「やっぱりね」と囁く声がして、「終わった」と思いながら「終わりたくない」と叫び、そして振り出しに戻る。
ぐちゃぐちゃで自分ですら自分が分からない。
だけど、僕がどんなに迷子になっても、手をつないでいてくれる人たちがいて、迷子なんだけど、真っ直ぐ歩いてる。
色々置いてけぼりのものもあるけど、行き先は見つけられてないけど、優しく手を引かれて導かれ、僕は真っ直ぐ歩けてる。
マキ「泉!、泉!、見て見てぇ!」
泉「見てますよ」
マキ「キャワイイ子犬さんがいっぱいいるぅぅ♪♪」
泉「そりゃいるでしょ、ここペットショップですから」
冷ややかな泉のツッコミを無視して、僕は目の前の楽園に釘付け。
ケースの中には、愛くるしい可愛すぎる子犬ちゃんたちがいっぱい。
マキ「ああー可愛いなぁー」
うっとりため息つきながら、ガラスに張り付いてる僕に、泉はため息まじりに僕の首根っこを掴み、ガラスから引き離す。
泉「マキ、変態が来たと子犬たちが驚くでしょうが」
マキ「やん♪変態なのは生まれつき♪それに先生様が、愛情いっぱい注ぎなさいって言ってたもん」
泉「それは、ちゃんと購入してからの話でしょうが、全く、いくら愛情いっぱい注げって言われたからとしても、注ぎ方が間違ってるんですよ」
マキ「ふーんだ、間違ってても仕方ないもんねぇ、これからなんだもん、それに本当の僕はこうゆうやつだもんねぇー」
犬を飼うのは、先生様に勧められた。
僕は、先生様にことの成り行きを話し、自分をなんとかしたいと話したら、先生様は、犬を飼ってはどうかと言った。
最初は、僕なんかが命を育てていけるわけないって思ってた。だけど、見つけちゃったんだ、何気なく見ていた犬の本の中に、あの可愛らしい犬種を…。
小さな小さなボディがティーカップに収まってる衝撃の可愛さ…
ティーカッププードル。
百目鬼さんがこんな所にいた…って思った。
泉に百目鬼さんみたいで可愛い、これなら飼いたいって言ったら、泉は苦い顔して。
泉『恋は盲目って言いますが、アレがコレに見えるなんてマキはどうかしてますね』
って失礼なこと言って来た。
プンプン!失礼な!百目鬼さんは可愛いんだぞ!ああ見えて、いっぱいいっぱい可愛いとこあるんだから!
って言ったら鼻で笑われた。
泉『いいんじゃないですか?そう見えるならそう見えるで、可愛いものを可愛いという気持ちを我慢しなくても』
僕がポカンとしていたら、泉は遠回しだと気づいて言い直した。
泉『好きだと思う気持ちを無理やり殺すことないと思いますよ。好きなんだからしょうがないじゃないですか。マキにはアレが可愛く見えて大好きなんですから、今直ぐその気持ちを抹殺しようなんて無理なんですよ』
まさかそこに繋げてくるとは思わなくて驚いた。だけど、諦めなきゃいけないのか…とか、無理なんだ…ってぐちゃぐちゃだった気持ちが、ふっと和らいだ。
それから、犬を飼ってベタベタに可愛がろうと思ったら、色々必要なものがあったりしたりして、ふさぎこんでいられないと思った。
いろんなものを調べてるうちに、ふと、家もペットOKのところじゃなきゃダメじゃんって思ってた。雑誌を買って妄想して楽しんでたら、華南に見つかった。華南になんの犬種飼いたいか聞かれ、プードルって言うのが修二にバレたら百目鬼さんに似てるからだって直ぐバレると思って内緒にしてくれって頼んだ。華南は、犬を飼ってる友達が居ると紹介してくれて、僕は思わず飛びついちゃった。
思わぬハプニングで飼い主の疑似体験を二日間程させてもらっちゃった。
それから、気持ちは上を向いてるつもりだったけど、修二は僕の心の靄に気づいてて、色々話してくれた、ちょっと意地張ったりとかしちゃって、そしたら修二が、100パーセントで僕にぶつかって欲しいとか言うから、嫌われてもいいと思ってぶつかったら、修二は顔を真っ赤にしながら僕を受け止めようと必死になってくれた。
そして今に至る。
好きなものは好き、頼りたい時に頼る、甘えたい時に甘える、泣きたい時に泣く。
感情のままに行動して、好き勝手やって、それでも、誰も何も言わない、ギュって抱きしめてくれるんだ…
だけど1人だけ怒る人がいる。
それは奏一さん、僕の行動を見て、僕の話を聞いて、良くないと思うことは良くない、駄目なものは駄目って叱る。時にはゲンコツが降ってくる。超痛い。
百目鬼さんとのこと、百目鬼さんが僕に怒ったことを、一つ一つ説明付きでお説教。何が悪いかどうするべきか、百目鬼さんの100倍の言葉で説明してくれて、納得するまで終わらない。ある意味、鬼。
でも、頭ごなしじゃなくて、僕の話も聞いてくれる。僕の気持ちも汲み取って答えを出してくれる。
凄いなって毎日尊敬する。この人が修二を育てたから修二はあんなに優しくて強い子になったんだと改めて思う。
みんなに見守ってもらいながら僕は、無理にこの今の気持ちをどうこうしないでもいいのかなって思い始めた。
好きでいるのも、諦めるのも、なるようにしかならないと思い始めた。
ただ、望まず閉じ込めず。ありのままにしておこうと思った。
だから…、諦めた訳じゃないけど、期待もしない。
だから、アレが出来たと電話がかかって来た時、それは要らないと思った。それはもう…持ちぬしにとって要らないものだから…。
今の僕を保つには、アレはもう要らない…
泉「マキ?どうしました?」
マキ「あっ、可愛い子が居すぎてボーッとしちゃった、あは、あはは♪」
泉「…また、ピンと来る子はいませんか、残念ですね」
マキ「あは♪そうだね、じゃあ今日はもう帰ろうか」
どの子も可愛いんだけど、まだこの子っていう子には巡り合わない。でも、今はまだ準備期間だから、今直ぐ決めようと思ってる訳じゃないけど、修二たちの家を出た後直ぐ買いたいから、探してるんだけど、なかなかピンとこないというか、どの子も可愛すぎるというか…。
百目鬼さんみたいな可愛い子、いないかなぁ…。
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