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〔裏番外〕狂愛??<純愛9
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9月に入りしばらく経った。
その日。
一区切りついた翌日だった。
世話になってる菫の可愛いがってる娘の出店祝いならばと、仕事終わりの賢史と落ち合って店に向かった。
途中花屋に寄り、予約してあった花束を抱えて。俺と賢史で1万づつ、計2万もする鮮やかで大きな花束を買った。強面の俺と、むさいおっさんの賢史、どちらが持って歩いても笑い者は必至。
結局ジャンケンで負けた俺が、視界を塞ぐ程大きな色鮮やかな花束を抱えて歩いた。
菫に連絡すると、「サプライズ登場して欲しいから扉の前に立ってて♪」と言われ、渋々従った。
店の中はどんちゃん騒ぎで、盛り上がっていた。俺も賢史も寝不足だから、この無法地帯に入るのは物凄く面倒くさいが、菫ママには、俺も賢史も世話になってる。
数分待って、扉がガチャッと開いた。
「花束デカッ!」
花束で中の様子が見えないし、デカイ花束の中から顔を出すのもダサくて、顔を花束の後ろにしていた。
そしたら、第一声に聞こえて来たのは、どこかで聞いた覚えのある男の声。
そしてワイワイ言ってる奴らの中に、他にも聞き覚えのある奴らの声が混じっていた。花束の隙間から中をのぞき見ようとしたら、菫が楽しそうに言った。
菫「では、これから新しいお店で頑張ってね」
むつ「ありがとうございます」
この声は!!柴田睦美!!
花束が受け取られ広がった視界には、店の中いっぱいの青髭の目立つオカマ軍団と、その中にひときわ目立つ兄弟、そして、マキの姿だった。
百目鬼「は?」
マキ!?
それに修二!奏一まで!!
慌てて目の前の花に埋もれてる人物を見たら、むつが花に埋もれながらこっちを見てニヤッと笑った。周りを見渡しその反応から、ここにいる全員が仕組んだことだとすぐに分かり、視線をマキに戻すと、マキは驚いた顔をしていた。
嵌められた!!
マキがグルかは定かではないが、俺は、まだやらなきゃいけないことを残していて、こんな風にされても困る。
百目鬼「クソッ、こういう事か…」
マキは、驚いた顔をしながら、俺を見て悲しそうな目をした。
マキはやはり、俺には会いたくなかったようだ。
菫の奴…。このパーティーに俺を呼んだということは、主犯か…。こっちにはこっちの都合がある。それに見ろ、マキのあの困惑した目を、あいつは俺に酷いこと言われて振られたんだ、俺には会いたくなかったんだろう。
いつもだったら、俺を見て子供のように無邪気に花が咲いたみたいに笑っていたのに…。ああ、別れたんだ。俺が振って別れたからこうなったんだ…。
思わず菫を睨んだが、むしろ帰るなと釘を刺された。
俺はこんなことされなくても、マキを狙ってるやつを片付けたらマキに話をしようと思っていた。まだ全部片付いてないのに、こんな風に嵌められて、しかも、マキは俺を見て怯えきってる。
いきなり二人にされるのかと思ったが、マキと別の席に通された。
マキはずっと俺たちの方をビクビクした目で見てる。
仕方がないことだが…
これが現実だ。
いつも俺の前でニコニコしていたマキは、俺のことが好きだったからだ。
そんな当たり前のことに今更気づく。
マキのことだから、何事も無かったみたいに笑いかけてくるかと思っていた部分もある。
だから、また話に行けるなんて思ったのかもしれない…。
でも、ある意味良かったのかもしれない。
この後無理やり二人っきりにされたりしたとしても、俺がトチ狂った事をマキに言う前だ。
マキが俺に送るのを止めた腕時計を見つけて、その腕時計に込められた意味に、愛おしくなったなんて馬鹿なことバラす前で良かった。
俺を見ていつでも嬉しそうにしてたマキは、俺が酷い言葉で傷つけて、殺したんだ。
あの夢は、もうマキに近づくなと警告だったんだな…
怯えるマキの視線を受けながら、俺は賢史と酒を飲んでいた。賢史も俺とマキの様子を交互に見てる。
賢史は今頃、空気重っとでも思ってるんだろう。
そんなことを考えていたら、ワザとらしいデカイ声で話す菫の声が耳に飛び込んできた。
菫「あら、マキちゃん少し痩せたんじゃない?」
ワザとらしいデカイ声は、まるで俺には聞こえるように言っていた。
マキが痩せた?そうは見えないが…
4、5メートル離れたマキの顔をじっと見るわけにもいかない、横目でチラッと見たが、マキは普通に見えた。
マキはヘラヘラ笑いながら、菫ママに返したが、そのヘラヘラした笑顔が引きつっていた。
マキ「気のせいじゃない?体重は変わらないよ」
ヘラヘラ笑うマキは明らかに不自然。
すると「痩せた」と聞きつけて、お店のオカマどもがマキの周りに群がり出した。
リボン「ちょっとー!私に対抗して綺麗になろうなんて!」
マリン「あんたとマキちゃんじゃ、月とスッポンよぉー。でも、マキちゃんはこれ以上痩せちゃダメよ、男はね、二の腕にちょっとお肉があるのが好きなのよぉー。マキちゃん痩せすぎぃー」
ヤイヤイ言いながらオカマたちは、マキの体に触りだす。
キャサリン「あらあら、どうしたのマキちゃん、しばらく見ない間にお肌が荒れちゃってるぅー」
ベタベタ触りながら、手を握って撫でたりと好き放題。心は乙女の集団かもしれないが、あいつらはおっさんだ!青髭生えた女装したおっさんだ!
賢史「神…」
百目鬼「…ッ…なんだ…」
無意識にマキのいるテーブルを凝視してしまっていた、そしてさらに。賢史は嫌味のように薄ら笑いで言ってきた。
賢史「貧乏揺すりが酷いぞ、地震かと思うだろ」
ほらほらマキちゃんが気になるんだろぉ
と言いたげないやらしい笑い。
百目鬼「うっさい」
そう言いながら、俺は貧乏ゆすりしながらタバコに手を伸ばした。
苛立ちは、あの訳のわからない感情を増大させていた。
マキに会わなくなって消えていたはずの、ウザすぎる俺の感情。
ギリギリと胃を締め付けて、そのままチクチクと広がっていく。
益々激しくなる貧乏ゆすりに、賢史は呆れたため息を漏らした。
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